情報科学研究科 修士課程 1回生(当時)
学部1年生の頃の競技プログラミングへの取り組みに端を発し、アルゴリズムやその理論的解析への興味がありました。学部3年生の研究演習(東川先生)にて、東川先生に現在の研究テーマに関連する最新の論文をご紹介いただき、オンライン設定での探索問題という研究分野に触れました。未知の空間において複数の探索者が協調しながら環境を把握していく問題であり、震災発生時の建造物での人命救助などで応用されます。特に、私の出身地である高知では南海トラフ地震のリスクが指摘されていることもあり、本研究テーマを選択する動機としては十分でした。
オンライン問題では、先が見えない中であっても限られた情報をもとに意思決定を積み重ねていく必要があります。まさに人生設計のような問題です。ただし、それを感覚ではなく数理的に扱い、最適な戦略や限界を明らかにする点にこの研究の面白さがあります!
指導教員との面談駆動です。先に面談の日程を予約しておき、その日までに面談で先生と議論するためのネタを全力で作りに行きます。面談では、自分の考えている方向が合っているかを確認してもらったり、問題の見方を一段抽象化してもらったりします。もしネタが用意できなかったら、アルゴリズムや証明の方針についてラフなアイデアをもらい、しっかり検証することで、次の面談のネタづくりにつなげています。
学部時代の研究を国際会議 AAAC2025で発表しました [1]。発表当日は緊張のあまり何も喉を通らず、体調を崩してしまうほどでした。しかし、発表が始まると不思議と気持ちが落ち着き、会場の雰囲気や聴衆の反応を感じ取りながら、冷静に話すことができたと感じています。時間の限られた中での準備でしたので、一枚一枚のスライドを作成する際には、実際にどのように話すかを常に意識しながら、文章や図の構成を工夫しました。東川先生と宮崎先生には、プレゼン全体の構成からスライド中の英語表現に至るまで丁寧にご指導いただきました。
修士課程への進学にあたって、金銭的な負担や、学部卒の方と比較したときに生じる2年間のビハインドなど、慎重に検討すべき点が多くあります。しかし、修士号の取得過程で得られる経験には、これらの懸念を考慮してもなお選択する価値があります。例えば、関連研究を網羅的に調査し、時には誤った主張を含む論文の中から論理的に正しい議論を見極める力、修士論文の執筆や対外発表を通じて物事をわかりやすく筋道立てて説明する力、そして何より、答えの定まっていない問題に対して徹底的に考え抜く力は、なかなか身につかない重要な素養であると考えます。
[1] Online Exploration of Grid Graphs with Multiple Searchers
Daiki Okayama, Yuya Higashikawa and Shuichi Miyazaki
The 16th Annual Meeting of Asian Association for Algorithms and Computation (AAAC 2025) 2025年5月31日
[2] 複数探索者によるグリッドグラフのオンライン探索問題
東川 雄哉, 宮崎 修一, 岡山 大輝
第205回アルゴリズム研究発表会 2025年11月14日
[3] Online Exploration of Grid Graphs with Multiple Searchers
Yuya Higashikawa, Shuichi Miyazaki, Daiki Okayama
The 33rd International Colloquium On Structural Information and Communication Complexity (SIROCCO 2026) 2026年6月9日