それぞれのエッセー[06]
《自己肯定感》
それぞれのエッセー[06]
《自己肯定感》
私は摂食障害は、「自己否定」の強い病気だと思います。
摂食障害は、食べ物や体重にとらわれる病気なので、どうしてもカロリーや体重など数字ばかりを気にしてしまいます。過食を防ぐ為に、家に食べ物を買わない!置かない!作らない!など、焦点が外へいきがちです。しかし、一度焦点を外ではなく中へ移して、「食べ物や体重にとらわれいる自分の内面」について考えてみてはいかがでしょうか。
過食や過食嘔吐などの症状は「一時的な対処行動」です。
私はこの病気は、今の自分を認められないから、過食嘔吐を使わないと自分が維持出来ない状態だと思います。そういう時は、過食嘔吐が自分を生かせてくれている時期なのです。過食嘔吐が唯一のストレス発散法であり、生命線なのです。
ただし、残念ながら過食嘔吐は一種の『麻薬』のようなもの。一時的な快楽や対処にはなるかもしれませんが、多用すれば後で必ずブーメランのように返ってきて自分を傷つけてしまいます。だから、過食嘔吐を手放しても生きていける自分に変われるものなら変わりたい。
摂食障害は、「心と身体の病気」です。だからこそ、自分の内面作りをして心の根っこを育てて、自己肯定感を高める作業を進めていく必要があるのだと思います。
まずは自己否定の強い自分を手放して、自己肯定感を持てるように努力していきましょう。
しかしこう言うと、仲間から必ず次の様な言葉が出てきます…。
「私は過食嘔吐が止められないから、自分が嫌いなんだ!」「私は太っているから、自分が嫌いなんだ!」と言ってきます。
しかし、実はこれは逆なのではないかと私は思います。
「自分が嫌いだから、過食や過食嘔吐で自分を埋めようとしてしまう」のではないでしょうか?その証拠に、あなたはダイエットに成功した時に、幸せを掴めましたか?
例えばもし明朝、あなたが目覚めてモデルのような理想な姿になっていたとしましょう。周りの見る目も変わり、最初の1ヶ月は新鮮でイキイキ生活出来るかもしれません。しかし、その幸福は長く続きますか?暫くすると、おそらく、あなたは痩せた自分をまた責め始めるのではないでしょうか?痩せて綺麗になれたけど、やっぱり自分は人とうまく付き合えない!仕事をうまくこなせない!など色々な理由で自分を責めて、心に穴が空いてしまった空虚感やストレスを、また食べ物で埋める日が始まるでしょう。
あなたは自分をいつも責めて心に穴を空けて、その穴を埋める為に食に依存しようとします。あなたはいつも人の目を気にして、ちょっとした事で傷ついて、その傷を癒やす為に食に依存しようとします。そんな事のないように、自分の内面を根本から見直す作業を始めてみませんか?ちょっとやそっとでは傷つかない自分の内面作りをしていきましょう。今の自分を褒められるように変わっていきましょう。
それでは、摂食障害の今の自分がどうやって自己肯定感を高められるのか?過食嘔吐などの症状の代わりに、何を使っていけば自分を埋める事が出来るのか?…その方法が実は、ひだまりカフェの様な同じ病気を持つ仲間同士の交流の場ではないかと私は思います。
今まで家族に迷惑をかけて友達にも言えず、一人孤独に自分を責め続けて過食嘔吐をしてきた毎日。その苦しみから一歩踏み出して、まずはこの温かいカフェで同じ病気の仲間の話を聞き、自分も正直に話してみてはいかがでしょうか。きっと「食べ物や体重にとらわれているのは自分一人ではないんだ!」「仲間の皆も同じような苦しみを体験しているんだ!」と感じる事でしょう。
そうして、ぜひ「最初の自己肯定」を自分にしてあげてください。
ひだまりカフェでは、あなたの摂食障害についての苦労や悩み、恥ずかしい話を正直に話す事によって、自分の心が浄化されるでしょう。それだけではなく、あなたの体験談が、聞いている同じ病気の仲間に元気や力を与える事が出来るのです。摂食障害の自分が、同じ病気の誰かの役に立てるのです。これこそ「自己肯定」であり、同じ病気の仲間同士だから成立する「共同体の効果」です。
同じ病気の悩みを持つ者同士で出来ているひだまりカフェは、いつも温かくありのままのあなたを受け入れてくれるはずです。また実際に仲間の中には、絶対に症状を止められないと思っていたのに、ミーティングに出て症状が落ち着いた人もいます。回復している仲間の話を聞く事も、自分のためになると思います。同じ病気の仲間同士で力を借り合って、過食嘔吐に頼らなくても大丈夫な自分作りを始めてみてはいかがでしょうか。
それから、私はよく同じ病気の仲間に次の様に言います。少年よ大志を抱け
「摂食障害は自己否定の病気です。自分が愛せないのは病気だからです。育ってきた環境やトラウマなどの影響により、自分を愛せない病気になってしまっただけです。今は病気だから自分を愛せないだけで、本来のあなたは、自分で自分を愛してあげられる存在、そして周りからも愛して貰える存在なのです。」だから、あなたはダメというよりは、病気なだけなのです。あなたも、自分がどんな体型でも、どんな症状が出ても、そんな自分を大事にしてあげられるようになれるといいですね。
とはいえ、いくら自己肯定を育てていくと言っても、私は決して「太っている今の自分でいいと思えるようになれ!」とは強要しません。事情は人それぞれ違うでしょうが、今まで私達は散々太っていて辛い思いをしてきたからこそ、摂食障害にまでなってしまったわけです。だから、簡単に太っていてもいいと思えるわけはないでしょう。
ただ、今までの様な「自分を責めた生き方」で本当に良いのでしょうか?もしあなたが、本気で今の苦しみから解放されたいと願うのならば、一度今までの自分の生き方をゆっくり振り返ってみてください。
そして今までの生き方で、健康的に体型を維持出来ず、幸せになれなかったのならば、今までの生き方を手放してみる勇気を持ってみてはいかがでしょうか。悪い結果が出続けている「苦しい生き方」にしがみついている方がおかしな話ですよね。
これからは「自分を褒める事が出来るラクな生き方」でダイエットや治療に取り組んでみてはいかがでしょうか。それは「過食嘔吐している自分が今日はここまでやれた!と褒めてあげる事」です。「太っている自分が今日はここまで頑張れた!と褒めて、よりよい方向に進んでいく事」です。その道を進んでいくには、ひだまりカフェの仲間との交流が役立つと私は思います。
私達はダイエットをする為に生まれてきたわけではないですよね?
もしあなたが毎日、食や体重にとらわれていて、自分がコントロール出来ずに苦しんでいるのならば…勇気を持って病院に行って、同じ仲間と治療していきましょう。あなたの居場所はあるのですから!!一緒に支えあって、幸せに生きていきましょう。
症状が出るのは病気だから当たり前です!風邪をひいた時に、咳が出る自分を責めますか?病気なのだから、咳をする自分でいいのです!咳をしながら病院に通って、きちんと治療を進めていけさえすれば合格です。
摂食障害も同じです。時には過食嘔吐をしてしまう自分でもいいのです。そういう病気なのですから。症状を出しながら進んでいきましょう。「病気だから開き治って治療をする!」症状を止める事よりも、症状が出る自分に優しくなれるような作業を心掛けてみてください。
「目標は成長であって完成ではない」
私がいつも自分に言い聞かせている言葉の一つです。病気がどうこう以前に、完璧な人間などこの世にいないのですし、人と比べても自分が突然変わるわけでもありません。ただ、1日1日成長する自分に合格点を出してあげてください。
そして、ここで言う「1日1日の成長」とは、症状をずっと止める事や失敗しない事ではありません。過食しようが、失敗しようが、今日1日自分なりに生きていけば合格なのです!
かつて、ライト兄弟が飛行機を作り上げて飛ぶまでの間に、何度も失敗して周りから罵倒されてきたように…。その失敗した過程が実は成長であり、後に成功へと繋がったのです。だから、失敗して落ち込んで見えるその日こそ、あなたが成長している時なのだと思います。諦めさえしなければ全てが、「意味のある失敗」へと変わるでしょう。
「自分はダメだなぁ…」そう言っている自分がダメなのです。
人間なのだから・病気なのだから、ダメな自分でいいのです!ありのままの自分で大丈夫です!そういう気持ちを、ひだまりカフェの様な場所で、身につけていってください。
「自己否定が強く、食や体重にとらわれる病気」なのだから、症状を出しながら、みっともない自分のままで開き直って1日を進んでいきましょう!一番良くない事は自己否定をしながら殻に閉じこもり進まない事でしょう。それはまさに負の連鎖でしかありません。
私はみっともないありのままの自分で良いと心から思えた時、凄く楽になれて、食へのとらわれも薄れていきました。そして活動的になれました。
自分が、自分を認めて人を信じられるようになる変化の過程には、いつも同じ病気の仲間が力を与えてくれていた気がします。
●profil●201301
サングラスがお気に入り、ぱっと見“硬派なアート系”です(←普通にあやしい?笑)いつもひだまりカフェでは、「マジメでがんばりすぎだよ」といじられてます(汗)