2018ひら☆とき

HT30053 透明なウニを使って生命のはじまりと細胞のうごきを観察しよう

開催日:平成30年7月22日(日)

実施機関:埼玉大学

(実施場所)(教育学部G109号室)

実施代表者:日比野 拓

(所属・職名)(教育学部・准教授)

受講生: 中学生28名

<実施の様子>

今回は2回目の開催であり、前回のプログラムを参考にして実験・演習スケジュールを組んだが、当日は時間通りに実験・実習を遂行することができた。実験で使ったタコノマクラやコシダカウニはそれほど多くの配偶子を放出しなかったものの、受講生全員が受精と卵割の観察を行うことができた。また学部生・大学院生が一人一人に丁寧に実験方法や教材の使用方法を教えることによって、受講生全員がマイクロインジェクション実験を行うことができ、免疫カードゲームを楽しみながら行うことができた。

日比野による実験前の内容説明

タコノマクラに注射して放卵放精を促す

親も熱心に子どもの様子を観察

大学生が受講生一人ひとりに実験指導

カードゲームで免疫のしくみを学ぶ様子

プログラム最後に修了証を授与

【実施内容】

<プログラムの留意、工夫した点>

①今回のプログラムの内容には、中学校理科の学習内容と関連付けできるものがいくつもあった。例えば、ウニに関しては、動物の分類の単元にある無脊椎動物のなかまと関連付けられる。ウニの受精と卵割の観察は、細胞分裂の一例としてそのものずばり教科書に記載されている。本プログラムの講義では、観察実験の手順のみならず、理科の教科書の内容と関連付けて説明することを心掛けた。免疫の内容は、中学校の学習内容にはなく、高校の生物基礎に含まれる。受講生が高校に進学した後に学習することになるので、今回のプログラムでは、高校の学習内容を先取りすることを意識させた。このように、教科書の内容と関連付け、かつ座学でなく実際に観察・実験できることを強調して実験を進めた。

②ウニの発生を発生段階順に観察するだけでは面白みに欠けるので、5つの異なるウニ発生段階の胚・幼生を用意し、自分で顕微鏡を操作し1つ1つ観察して、正しいウニの発生段階へと並び替えるというパズル的な要素を取り入れた。

③ウニ胚に油滴を顕微注入する実験操作をすべての受講生に体験させた。このマイクロインジェクションの技術が不妊治療など、現代の医療に役立っていることをあらかじめ説明し、先端的な実験技術を体験しているという意識を持たせた。

④4人1グループになって免疫カードゲームを行ったが、みんなで話し合いながら楽しくカードゲームを進めることを心掛けた。そのために実験補助者が一つのテーブルに一人ついて、司会進行の形式をとった。お互いに面識がなく、午前中はテーブル内にまったく会話がなかったグループがいつしか、ゲームのルールや内容を笑顔で話し合うようなっていた。ゲームを取り入れると、子供たちの興味関心を引き出せることを強く感じた。