クジラだけでなく、ウミガメや魚、海鳥など、国内外ではこれまでに200種類を超す海洋生物の体内からプラスチックが見つかっており、たくさんの命を犠牲にしています。
このままのペースで行くと、海洋プラスチックごみの量は2050年までに、世界中の魚の重量を超えてしまうのではないか、との予測も発表されています。
いま特に問題となっているのは、食料品の容器や飲料のボトルなど、一度使ったらすぐにごみになってしまう「使い捨てプラスチック」です。
プラスチックごみは、燃やして処理をすることもできますが、地球温暖化を招く二酸化炭素が発生してしまうという問題があります。また、リサイクルをするにも限界があります。このため、プラスチック製品の消費量そのものを抑える取り組みに力を入れるべきだと専門家は指摘しています。
中でも「マイクロプラスチック」は、プラスチックごみのうち、大きさが5ミリ以下のものをさし、小さな破片や粒が、世界中の海を汚して問題になっています。
もともとは大きなプラスチック製品も、太陽の熱や紫外線、波の力などで細かく砕けることで、マイクロプラスチックとなり、海の中を長い期間漂うようになります。
このほか、プラスチック製品の原料である「レジンペレット」という粒や、化粧品などの成分として使われてきた「マイクロビーズ」、フリースなどの服を洗濯したときに出てくる細かい化学繊維も、マイクロプラスチックの一種です。
マイクロプラスチックは海流に乗って広がり、美しい南の島々の浜辺はもとより、南極海でも見つかっています。
年々深刻化する海のプラスチックごみの問題は、「SDGs」(持続可能な開発目標)の中でも課題の一つとして位置づけられています。
SDGsでは、「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」など17の目標があり、それぞれの目標を達成するために、具体的に何をするべきかを169項目の「ターゲット」で示しています。2015年の国連総会において全会一致で採択され、2030年までの達成を目指します。
SDGs14番目は、「海の豊かさを守ろう」です。この目標の中で、海のプラごみ問題について、「2025年までに海洋ごみなどを含む海洋汚染を防止し、大幅に減らす」というターゲットが設定されています。
また、プラスチックごみの問題は、プラスチック製品の作り方や使い方の問題でもあります。したがって、「つくる責任 つかう責任」(目標12)ともリンクさせて対策を考えていく必要があります。(引用:朝日新聞社)