【大会長挨拶】
お世話になっております。
この度、第3回早押女王決定戦の大会長を務めさせていただきます、大塚澄佳と申します。
前回大会にあたる第2回早押女王決定戦が開催されてから早くも3年半が経過してしまったわけですが、折角そこでいただいた第3回大会の開催権をなかなか行使できずにここまできてしまったことをまずはお詫び申し上げます。
クイズ大会に気軽に足を運べるような世の中の情勢、大会長たる私が大会準備に割ける時間的・精神的余裕、質の高い問題群をお届けするためのクイズ面での力量などが「全て揃った」と判断したため、この度ようやく大会の開催に踏み切ることができました。
開催の宣言にあたって、本大会のレギュレーションの設定意図と「女性限定のクイズ大会」である本大会を受け継いで開催するに至った理由については最初に明記しておく必要があると感じたので、この場を借りてお話させていただこうと思います。
まず、本大会のレギュレーションについてですが、前回大会において設けられたレギュレーションをそのまま引き継がせていただくこととしました。
「下記(1)(2)のいずれかもしくは両方に当てはまる方
(1)戸籍上の性別が女性の方 (2)ご自身を女性だと思う方」
前回大会の大会長である高野望さんが示してくださったこのレギュレーション自体や、レギュレーションの設定に至る背景に賛同できる部分が多かったというのが前提としてあり、私個人の考え方としても「肉体が女性であること」と「精神が女性であること」は「女性」を定義するにあたっては等しい比重で扱うべきであり、双方が同一でない人を「女性ではない」と言うことは決してできないと捉えています。どちらかを是とし、どちらかを否とするのはこの思想に反することであり、具体的に言えば「戸籍上の性別が女性だがご自身は女性ではないと思っている方」や「戸籍上の性別が女性ではないがご自身は女性だと思っている方」を拒む理由はないと考えています。「多様な女性」を受け入れる大会でありたいというのが基本的な本大会の姿勢です。
上記の考えはあくまで私個人の「女性」というものへの捉え方に基づくものであり、他の方の考え方や他の「女性限定クイズ大会」の方針を否定するものでは決してありません。あくまで「本大会における指針はこのようなものである」という表明に過ぎないということをご理解いただけますと幸いです。
私も、前回・前々回の大会長がそうしてくださったように、「第3回早押女王決定戦の優勝者が第4回を開催してくださるならば、レギュレーションを含めてその意向を尊重する」ということを先に表明しておきます。
次に、「女性限定のクイズ大会」である本大会を私が開催したいと思うに至った理由についてです。様々な思いがあるものの、大きな理由としては3つが挙げられるかなと思っています。
1つ目は、女性が参加を決めるにあたってのハードルが極力低いクイズ大会を開きたいと思ったからです。実際に最近のクイズ大会に足を運んでみると、数年前よりは確実に女性の参加者が増えており、「女性だから参加しにくい」という状況はかなり緩和されつつあるなという体感こそあるものの、いまだ「男性ばかりのクイズの場には参加しにくい」という声が耳に届くことがあるのも現状です。そういう方が1人でも存在している限りは、このようなレギュレーションのクイズ大会を開く意義は間違いなくあると私は考えています。
2つ目は、「性別」というものがフラットになった状態での真剣勝負の場があっても良いという考えが私の中にあるからです。私はこれまで、クイズ人としての自分のことを評価していただく際に、「女性だから」という側面ありきで語られることがしばしばありました。クイズ界の男女比を考えると仕方がないことなのは理解していますが、「純粋なクイズの内容だけで自分を見てもらいたい」という気持ちがないわけでもありません。(好意的な評価をいただけるだけでもありがたいことなので、非常にわがままな感情なのですが…)
「女性限定」のクイズ大会ではそのような「女性だから」というバイアスがないフラットな状態で最初から最後までクイズが行なわれることになります。参加者の方々のクイズを余計な色眼鏡を通さずに見られる、すなわち、皆様のクイズの魅力を最大限に引き出せる場となり得るのではないかというのが私の考えです。
最後の1つは、「女性限定」という側面に関わらない部分であるかつ、非常に個人的な理由で恐縮ですが、私自身がこの大会に対して抱えている恩義があまりに大きいということがあります。3年半前にこの大会を経て得たプレイヤーとしての経験や、優勝したことをきっかけに生まれた繋がりは、私のクイズ人生において大きな意味を持つものとして、ここまでクイズを続けるにあたっての確かなよりどころとなっていました。「この大会から受けた恩を然るべきかたちで返したい」という強い思いから、この大会を受け継ぎ、第3回として開催することはずいぶん前から決めていたことでした。だいぶ遅くなってしまいましたが、ようやく開催に至る条件が整ったので、長く温めてきた思いをしっかりとかたちにしていけたらなと思っています。
非常に長い挨拶となりましたが、「女性」という定義が曖昧なものをレギュレーションに用いるにあたって、言葉足らずになった結果もやもやしてしまう人を生んでしまうよりは、言葉で伝えられることは伝えておくべきだと感じたため、こうして文章として表明させていただきました。
参加者全員がわだかまりなく真剣勝負としてのクイズを楽しめる場を提供できるよう、出来る限りの準備をしていこうと思います。多くの方のご参加をお待ちしております。
大会当日まで何卒よろしくお願いいたします。
2022年10月13日 大塚澄佳