手作り抹茶椀を柿右衛門様式窯で焼成
手造りの温もりを手に取る感動を味わう。陶芸体験教室が九州産業大学芸術学部主催により定員10名によるろくろ体験教室が開講された。制作から釜入れ焼成窯出しと約3か月を要して完成を見た。
9月10日10時に定員10名で開講。有田焼の食器や花器類及び関連業には、経営コンサルの仕事柄40年に及び今日まで支援をさせていただいている。焼き物を見る機会はあっても作ることはなかった。支援先の製造業者は量産するために石膏で型をつくり、どろどろの陶土を注入し固まったところで型から取り出す。鉄鍋製品づくりが同じように金型を作り、どろどろに溶けた鉄湯を注入する。陶磁器の量産品は型が石膏で作るところの違い。今の陶磁器は自然乾燥を待ち釉薬に浸し絵付けをして電気釜に入れ焼成する。特に芸術品は電気釜ではなく、松の木類を焚く登り釜がほとんど。当大学の釜も15代酒井田柿右衛門の指導で校内に登り窯様式を造っている。10年になるという。(まだ酒井田氏が15代候補の時、有田JC理事長時に有田の九州大会で会う)
教室は高森誠司教授の陶芸に関する説明があり、あらかじめ10台のろくろに設置された陶土を前に10人が製作開始する。二人の学生助手から丁寧に指導してもらいながら、作りたい物の作業が始まる。本来なら粘土の空気を取り除くべく両手で良くこねることから始まるが、時間の関係上あらかじめ助手により済ませ、ろくろに設置してあった。製作できる土にするのが一番難しい。覚悟はしていたが安堵の一方、体験できなかったことは残念だった。学生助手はさすがプロはだしのこね方だ。二人の学生はうまい。つい見とれてしまう。私は大阪にいた20歳台のころ陶芸教室に通っていた。この陶土のこね方が見るは簡単そうだけども、自分でこねてみると簡単に行かなかった記憶がある。当教室で私は抹茶椀を作ろうと決めていた。肉厚の抹茶椀にしたく助手の石田さんの指導を得ながらなんとかできた。もう一つ少し底の深い抹茶椀も作りたく取り組む。なかなか思うようにできない。石田さんの力を借りてどうにかできたが今一度納得できない。能力だからあきらめる。もう1種類20cm四方の板状の粘土で、菓子器を指を使って作った。この間の3時間があっという間だった。後日抹茶椀と菓子器を、それぞれ学部生が1つづつ釉薬につけ釜入れをするという。場所を移し釜の見学をする。釜入れはひと月後で、火入れ釜焚きが来月15日からが始まり一昼夜通して焚き続ける。窯出しが21日という。当日は窯から取り出す助手は額に汗をかいていた。1500度超が冷めるまで時間を要す。やっと自分の作品を見て一回り小さくなっている。2割は縮むと聞いていた。茶褐色の釉薬が重厚感を醸し出している。椀の表と裏の焼き色が炎の関係で変わるという。表は黒っぽい茶褐色も裏は薄い茶褐色と濃い茶色が取り巻いている。菓子器は濃い緑に包まれている。まぁまぁの出来。ありがたいことです。また機会があれば参加して作ってみたい。焼き物は釉薬と焼成次第で価値が決まることを知る。天目茶碗は良い例だ。釜焚きは一昼夜通し、温度計を見ながら1500度まで上げ、コントロールするという大変な作業だ。人間国宝の指導で立派な釜が造られ、作品の柿色とされる柿の木の柿も赤く色づき始めていた。この登り釜で固有の焼き物が作れたことはこの上なき喜びです。一昼夜に及ぶ窯炊きの学生に感謝したい。
一方焼き上がった抹茶椀は、ほかに買ったものが家に2個もある。と相方から聞いて苦笑い。初めて知った。勝手に抹茶椀が好きなのだ。抹茶で充実した時間を味わいたい。