2025年浜風句会9月句会の特選句の感想
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2025年浜風句会8月句会の特選句の感想
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2025年浜風7月句会の 選者特選句の感想
7月句会の特選句の感想は以下のとおりです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2025年浜風6月句会の 選者特選句の感想
6月句会の特選句の感想は以下のとおりです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2025年浜風5月句会の 選者特選句の感想
5月句会の特選句の感想は以下のとおりです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2025年浜風4月句会の選者特選句の感想
2025年3月句会の選者特選句の感想
3月句会の選者特選句の感想文は以下の通りです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2025年2月句会の選者特選句の感想
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2025年1月句会の選者特選句の感想
2025年1月句会の特選句の感想は以下の通りです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2024年12月句会の選者特選句の感想
2024年12月句会の特選句の感想は以下の通りです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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2024年11月句会の選者特選句の感想
2024年11月句会の特選句の感想は以下の通りです。コンビニのネットプリントのコードはこちらをご覧ください。
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以下、過去の特選句の感想を一覧で示します。
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2024年浜風10月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
潮騒の届く林間松露掻く 濱本 寛
海辺の這松林を匍匐前進。見つけたらさらに夢中になる。食味は絶品。大震災でそこも防潮堤になってしまいました。 (聖木 翔人)
丸木橋渡って喰らう笑い茸 かわにし雄策
丸木橋を渡った先にあるのは、どうしようもない現世?笑い茸でも喰らうしかないというアイロニーを感じた。 (山戸 則江)
甘柿の顔して詐欺師たわわなる 國分 三德
毎年、たわわに実る柿の木のあるお宅。美味しいのかな、渋いのかな、気になりますが景色としては最高です。そして詐欺集団でない事を祈ります。 (島田 啓子)
駆け出してさよならさんかく茸飯 島田 啓子
「さよなら三角」の童謡はなつかしいですね。今でも歌われています。三角の次は四角ではなく茸飯。美味しそう!
(小坪亭ゑん)
胡桃割る中はお伽の国の部屋 小峰トミ子
キッチンで胡桃の殻をひとつひとつ丁寧に割る母を、傍に座って眺めた子ども時代をふと思い出し、胸が熱くなりました。すべての胡桃の殻が、それぞれの形を持っていて、すべての胡桃の殻に、それぞれの物語が秘められている。素敵な句ですね!
(桂花)
秋日和しあわせ丸ごとオムライス 島田 啓子
激化する戦闘、エゴのぶつかり合い、空洞化してしまった国連。新聞を開くのが辛くなります。 そんな中で、こんなに清々しい句に出会いほっとしています。
(原田 洋子)
芒野行く誰とも話したくない日 岩城 順子
私もそんな気分になること、あります。共感しました。 (佐藤 ポチ)
三途へはどちらでしょうか彼岸花 桑田 青三
三途の川への道順。迷って戻ってきたという話を聞いたことがない。皆さんきっと彼岸花に教えてもらって行くのでしょう。面白い句です。 (國分 三德)
秋うらら三角屋根のティールーム 岩城 順子
冷え冷えとした三角屋根の部屋にほのぼのとした香りが漂っている至福の時を感じている作者がいます。秋うららのせいでしょうか?
(小峰トミ子)
落人の村のいろどり柿紅葉 山戸 則江
「落人の村」で思わず手が出て、「いろどり柿紅葉」で落人の村を際立てて見事だと思いました。また「いろどり」など、容易には出てこない言葉だけに、この句が生き生き感じられます。 (田 友作)
吾が頭有象無象の茸生え 桑田 青三
落語「頭山」を彷彿させるシュールな句。
映像が動き出す、あるかもと思わせる。有象無象、仏教では現像と真理を表すとか。
作者の思う真理とは。私の頭にも茸が生える。混沌。 (佐藤 花子)
屋根瓦大工の足袋に秋の風 小坪亭ゑん
今年の夏も暑かった!
何度か、夏祭りで地下足袋を履いた事が有り、靴とは違った感覚で地面を捉えた記憶が有りました。
高い屋根から、晴れやかで待ち望んでいた秋の景がこの一句に見えました。
(金子うさぎ)
【わかる】とは【わける】ことらし秋やっと 島田 啓子
〈「解る」とは「分ける」こと〉名言ですね。ものの考え方の参考になります。
気分が「すっきり」します。やっと来た秋、気分は「すっきり」ですね。
(桑田 青三)
関数で頭三角そぞろ寒 山下 宗翆
学生時代、黒板に展開する白いチョークの記憶。あの三角関数を二分し関数で頭三角とされたのがとても独創的。下句もぴったり合ってユーモラス。俳句で数学と遊ぶ面白さを味わった1句です。 (島 さくら)
宵闇に誰を待つガレのヒトヨタケ 佐藤 ポチ
兼題の「茸」からの派生で、フランスのエミール・ガレの「ひとよ茸ランプ」(1904年頃の作)を持ってきたところに惹かれました。
成長し夜になるとカサを開くも一夜のうちに柄だけを残して溶けてしまうという「ヒトヨタケ」をモチーフとして作られたこのランプは、一つの台座に大中小3本のヒトヨタケを置くことで、その成長過程を表しているといい、ガレ晩年の最高傑作と言われる作品です。
魅力的なランプ。確かに誰かを待っているようです。 (大西 惠)
清盛の夢の在処や安芸の月 佐藤 花子
歴史、景色、抒情が見事、一体にまとめられた感動的な一句と思い胸に響きました。
世界遺産、日本三景の一つ、安芸の宮島は、平清盛がこの地を限りなく愛し、厳島神社の改修に際して京の文化を持ち込みました。
安芸の月を仰ぐ作者も清盛と同じ月を仰いでいるのですね。平安時代と現代が投影された月影に歴史のロマンを感じました。
(かわにし雄策)
文化の日人類どうも絶滅期 桑田 青三
ニュースを見たり、新聞を読んだりする度に、中ソは恐ろしいし、あちこちで戦争のある地球はどうなっていくのだろと思います。国内でも強盗事件とか詐欺とか。
せめて自分の日々は欲張らず一日一句を杖にして歩いて行きましょ。
(恵夢せとか)
駆け出してさよならさんかく茸飯 島田 啓子
『さよなら三角また来て四角』と、浅川マキが唄っていた頃の、我が青春の日々を想い出し特選に。
句会で子供達の別れ際のあいさつ言葉と、小耳に挟みました。良くご存じの方、ご教授下さいませ。
(原田 七惠)
吾が頭有象無象の茸生え 桑田 青三
人生経験と共に増えた雑多な思考が脳内で整理できずに停滞している。そろそろ認知の症状がちらほら。
まるで私の頭を見透かされているようだ。 (山下 宗翆)
2024年浜風9月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
台風の隙間ジャズが止まらない 島 さくら
台風であってもジャズはやめられない。「隙間」の使い方がいい。
爽快な表現力と、独自性の優れた作品に惹かれました。 (内藤ちよみ様)
酔芙蓉マニキュア少しはみ出せり 恵夢せとか
出掛ける前にマニキュアをしようと、午後にはもう赤くなっている酔芙蓉に心奪われている。落ち着いて!!
(濱本 寛)
「凄いね」と同時に叫ぶ秋なすび 金子うさぎ
茄子の美味しい季節です。味噌汁・漬け物良し、パスタ良し、麻婆良し、和洋中どんな料理にも力を出します。【凄い】。 (島田 啓子)
二つ目の満月ゆらり湖中へと 大西 惠
このシーンに「ゆらり」はうってつけだと思いました。満月のやや億劫気な進み、それでも満月たる誇りと、それらが相俟って湖面に現れる様子が、とても魅力的です。
(桂花)
無花果は芸術だ爆発するぞ 桑田 青三
この夏豊かに弾けてとても美味しいいちじくをいただいたので、思わず。
ギリシャ・ローマ時代から人々に好まれてきたいちじく、たしかに芸術的かも。
(山戸 則江)
満月を浮かべ一献密造酒 山戸 則江
密醸酒はドブロク?カストリ酒?ワインにも酒精強化酒あり。私は白ワインに満月を浮かべて飲みたい!
(小坪亭ゑん)
二つ目の満月ゆらり湖中へと 大西 惠
満月をこれほど丁寧にしかも優雅に描き出した句に感動しました。
「二つ目の満月」と表現された事で時間の経過まで分かり、小説を読んでいるかのようです。
(原田 洋子)
無花果は芸術だ爆発するぞ 桑田 青三
無花果の裂けた実の形状とずっしりした丸みが時限爆弾のように思えて、ほんと爆発しそうです。
(恵夢せとか)
背を伸ばし肩並べてる痩せさんま 島田 啓子
秋刀魚の不漁にまだ保護すべき物まで獲る。そんな秋刀魚達を店頭に並べた様は正に句の通りだ。人間の業を感じる。同時に艶やかな景を、作者のウィットを感じとる。そして漂う哀感。 (佐藤 花子)
長崎十二㎞軽々越える赤蜻蛉 金子うさぎ
直径12㎞の圏内が長崎被爆地、被害者が「被爆者」「被爆経験者」差別され、裁判沙汰になっている。
政府のちまちまとした施策。赤蜻蛉がすいと飛び越える圏内のことなんですが。
(桑田 青三)
名月やレコード盤に針を載せ 小峰トミ子
このような景色を見せて頂くと感激します。
もうレコードの作品は分かっています。ベートーベンのピアノ曲「月光」ですね。
作者と良い時間を過ごすことが出来ます。 (かわにし雄策)
名月やレコード盤に針を載せ 小峰トミ子
名月の夜は静かなピアノ曲がぴったり。それもCDでなく、アナログのレコードに針を落とす時のときめきが伝わって来ます。
(田 友作)
くっついていたいのさ秋の宵ぶらり 佐藤 ポチ
今回、82番と31番が特選候補に。
自身、浜風二十周年お祝いの一句を考えていたので、「くっついていたいのさ秋の宵ぶらり」を特選に!
季語の「秋の宵」以外を平仮名でサラリ。
『俳諧自由』素敵です! (金子うさぎ)
満月に背中押されて告白す 恵夢せとか
秘めごとを告白するのは容易なことではありません。作者は、満月の力を借りて告白の決心が着いたとのこと。告白の内容が知りたいところですが、、、。
一件落着❤ (小峰トミ子)
無花果のほどよき固さ朝のミサ 濱本 寛
「朝のミサ」と「無花果」との取り合わせに惹かれました。そこから旧約聖書へと想いが行きます。創世記の中の「禁断の果実」はじつは無花果だったという説があります。聖書の中には「林檎」と明記されていないそうなので、無花果を食べてしまい、その葉で覆ったと考えるのは自然なのでは?などと・・・。
「ほどよき固さ」の措辞がまたとてもよかったと思いました。 (大西 惠)
満月を見上げそのまま棒となる 島田 啓子
上句から下句へのこの流れは、ひたすら素直に一本の直線の動きだけで繋がっているのがとても面白い。
満月と一体になった無の、満ちた心境を上手く表現された一句と思います。
(島 さくら)
満月をくすぐると夫婦円満 かわにし雄策
艶っぽいユーモアに思わずクスリ。60、70ではこんなおしゃれな句は作れません。脱帽します。
(原田 七惠)
百貨店どのマネキンも秋へ向く かわにし雄策
デパートの購買意欲向上の戦略で、季節の先取りの服をマネキン人形に着せ変えたり、ショーウィンドーを一夜にして模様替えする。その様が「どのマネキンも」で連想できる。都会の季節感を表せる現象でしょうか? (山下 宗翆)
思草浅く腰掛け列車待つ 金子うさぎ
思草という季語、響きがきれいで、惹かれました。
ホームのそばに思草が咲いているのでしょうか。浅く腰掛けて列車を待っているのは、待遠しい人がやってくるからでしょうか。
爽やかな秋の駅のワンシーンが目に浮かぶようで、いいな、と思いました。
(佐藤 ポチ)
2024年浜風8月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
貞淑だなんて西瓜の種飛ばす かわにし雄策
今でも明治時代のように貞淑な女性を求める人がいるの? 猛暑でやってられません。皆で種を飛ばしてやりましょう。
(内藤ちよみ様)
Tシャツのジョンレノン笑む長崎忌 かわにし雄策
反戦平和を訴え続けていたジョンレノン。アメリカの若者がベトナム戦争に反対と声を上げるきっかけになりました。彼の笑顔のTシャツを着た若者も沢山いました。
(原田 洋子)
沸騰す三原色の地球、夏 佐藤 花子
暑さをこんな風に表現できるんですね。「沸騰」、「光の三原色」と理屈を下敷きにした強烈な句。益々暑い日になりました。
(原田 七惠)
送り火を忘れて母はまだここに 山下 宗翆
映画の一場面を感じます。彼岸も終わり、仏間のほの暗い燈篭の灯りの中に、亡き母の姿が浮かぶ。
送り火が焚かれず、母の霊がふわふわと漂っている。亡き母への変わらぬ思いが感じられる。
(桑田 青三)
介護士の靴真っ白な今朝の秋 山戸 則江
暑い夏を乗り越えた、介護されてる人と介護しているひとの真っ白な命への心、今朝はもう秋。
(濱本 寛)
蜩や頁繰る手に老いの気配 原田 七惠
蜩が鳴き始めるといよいよ秋。読書は紙の本と決めています。血管の目立つ自分の手、よく働きました。
(島田 啓子)
落蝉の来世夢見つ脚を閉じ 佐藤 花子
ありったけの音を発していたであろう蝉。その、自らの生に静かに幕を下ろす瞬間。荘厳ささえ感じました。
(桂花)
立山は雲に隠れてチングルマ 濱本 寛
白と黄色のゆで卵のような可愛いチングルマ。立山はもちろん東北山脈にも咲いています。綿毛になると晩夏の季節ですね。
(小坪亭ゑん)
噴水の自信満々今日暑くなる 島 さくら
63番と57番。どちらも「夏の熊谷」の風土を知ってるような一句に出会いました。
此処に引っ越してそろそろ一年…。
市役所側の中央公園には金子兜太さんの雄大な一句の句碑が有り「利根川と荒川の間(あい)雷遊ぶ」
そして、その側に自信たっぷり!水たっぷりな噴水が有ります。 (金子うさぎ)
大戦のページを好むきらら虫 原田 洋子
数多の命を奪った大戦も書物のページにするとなんと薄っぺらいことか。紙魚に食われるイメージがなんとも皮肉。
(山戸 則江)
QRコードに巣くう女郎蜘蛛 原田 洋子
QRコードの不思議さと、不気味さを言い得ておられて、素晴らしい!
(恵夢せとか)
落蝉の来世夢見つ脚を閉じ 佐藤 花子
落ちた蝉がもう動けない状態で来世を夢見て、最後の足を閉じるという、その仕草。鋭い観察眼に感動しました。
(福島 雪雫)
貞淑だなんて西瓜の種飛ばす かわにし雄策
いまどき貞淑なんて古臭いと、いささか癇にさわったらしい。そのへんの気分が西瓜の種飛ばすになったようだ。
(國分 三德)
送り火を忘れて母はまだここに 山下 宗翆
送り火を忘れる人などいるのか、と思いましたが、それはともかく忘れていた事に気が付き、それと同時に「まだここに」という下五に「お母さん、ごめんね」と言っている気持ちが伝わって来ます。 (田 友作)
やわらかき乳の匂いや八日目の蝉 島 さくら
七年と七日、蝉の寿命と言われている。八日目の蝉とは? あらがい生き続けること。それは希望の光。「やわらかき乳の匂いや」のフレーズに、私は慈愛と命への讃歌を感じとる。 (佐藤 花子)
介護士の靴真っ白な今朝の秋 山戸 則江
清々しい句で、読んでほっと安堵します。言葉の取り合わせも緩みがないと思いました。
本当に近い将来、このような介護士に面倒を看てもらえたら良いなと思います。
(かわにし雄策)
朝曇警戒アラート発令す 山下 宗翆
今年の夏は、朝曇の多いこと。と言うことは、熱中症に用心せよと言うことですね。しつかりと気象現象を捉えた景の大きな一句です。季語の朝曇が全てを語っています。
(小峰トミ子)
入道雲の中は極楽 田 友作
大きなお坊さんを意味する入道。モクモクと立ち昇るその入道雲に作者は極楽を見、感じ、見事に七・七句で表現された。
詠む毎にふうわりその世界へ誘われます。 (島 さくら)
貞淑だなんて西瓜の種飛ばす かわにし雄策
「貞淑」なんて、もはや死語じゃない? まだそんな言葉を持ち出すなんて、頭沸いてる? ええ、ええ。そんな人の前で西瓜の種をぷぷぷぷっと飛ばしますとも!
(大西 惠)
大戦のページを好むきらら虫 原田 洋子
紙魚が古い紙の資料を蝕むように、第二次大戦後79年、悲惨な戦争の実状を伝える生き証人が少なくなってきて、世界では大戦の火種が出てきていて、今一度 平和の意義を思い起こす句だと感じました。 (山下 宗翆)
2024年浜風7月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
ケーキ屋にも閉店の紙はしり梅雨 原田 洋子
今の時代、ありふれた光景を詠んだだけかもしれませんが、「閉店の紙」と「はしり梅雨」が妙な具合にマッチして、作者の想いが伝わってきます。 (田 友作)
たましいを遊ばせている蚊帳の中 岩城 順子
蛍を蚊帳内に入れて寝てらっしやるのでしょうか?不思議な安らぎ感がある蚊帳内に飛び交う蛍が更に豊かな世界をもらたしてくれます。 (原田 七惠)
デパートで一日過ごし日傘買う 山下 宗翆
日傘を買う為にデパートへ来たのか、あまりの暑さで飛び込んだのか。デパートで一日ゆっくり涼んでしまう、解ります。とにかく暑いです。 (島田 啓子)
熱帯夜寝返るごとに時停り 原田 七惠
そうか!時が停まっていたのですね!どうやっても思うように表せなかった日本の夏夜を、見事に形容してくれた、胸にすとんと落ちる一句でした。 (桂花)
横浜に馬車道汽車道白日傘 島 さくら
黒船来航と時代の開明、馬車から鉄道、時を同じく洋傘が花開く、涼しいかな文化の香。 (濱本 寛)
潔癖に痩せる肉体花氷 かわにし雄策
花氷のどこか人を寄せ付けないひと時の美。夏痩せの肉体美との感応が感じられる。
(山戸 則江)
雨粒の貼り付く窓辺三尺寝 島田 啓子
三尺ほどで短い昼寝をするのは、大工さんか板前さんでしょうか?
一日、とてもキッチリされる方ですね。 (小坪亭ゑん)
昼寝覚め振り返っても誰も居ず 岩城 順子
昼寝って、ちょっと小さな旅に出てたような感じがあり、覚めた時は、なんだか狐か狸に化かされてたような感じがしたりしませんか?
この句には、昼寝から覚めた時ってこんな感じあるある、と、共感を覚えました。
(佐藤 ポチ)
昼寝覚この世のほかの魚よぎる 島 さくら
この世のほかの魚はきっとエメラルドグリーンの美しい鱗を煌めかせてしなやかに泳ぎ、周りに頓着せず、目の前をすっと過ぎて行くのが見えました。
(恵夢せとか)
長い日のエンドロールや梅雨夕焼 濱本 寛
何と美しい抒情詩でしょう。雨の後の束の間の夕焼けをゆっくりと流れるエンドロールと見立てられたのですね~。 (原田 洋子)
三猿のような顔して心太 山戸 則江
辛子、酢のよく利いた辛子酢醤油の心太。食べる人の顔は、目をまん丸くしたり、口を尖らしたり、耳をふさぐような恰好をして、辛さ酸っぱさに耐えている。その様子を面白く三猿に例える。
愉快な句である。 (桑田 青三)
横文字の平和の祈り星祭り 濱本 寛
星祭り、星供、七夕…
一句を見てスッと手が出ました。
特に「横文字」が良いですね。地球上で平和を願っている人が更に、どんどん増えますように! (金子うさぎ)
三猿のような顔して心太 山戸 則江
心太が三猿のような顔をしている、と捉えた。
押し出され均一に紐状になる心太は私達だ。その私達は今まさに三猿なのだ。それで良いのかと作者に問い掛けられている。 (佐藤 花子)
文楽の影の存在沙羅の花 金子うさぎ
文楽と沙羅の花の言葉の組み合わせが清潔でロマンチックでした。何よりも俗の世界から離れた詠いぶりに惹かれました。
魂を洗濯してくれるような1句と思います。 (かわにし雄策)
手で受ける蛇口の水や銀の涼 原田 七惠
両手に受ける水を「銀の涼」と表現されたことがとても新鮮でした。掌から体中に水の涼やかさが伝わってゆくのが感じられました。 (大西 惠)
指認証ときどきエラー雨蛙 島 さくら
年齢をとると皮膚が乾燥してスマホなどが反応しづらくなる。銀行の指認証まで同様にエラーになる。葉の上の小さな雨蛙のように瑞々しくなりたいものです。
(山下 宗翆)
手で受ける蛇口の水や銀の涼 原田 七惠
何気ない光景ですが、蛇口の水を銀の涼とは、素敵な言の葉ですね。きっとこの上なく美味しいお水だったことでしょう。 (小峰トミ子)
手で受ける蛇口の水や銀の涼 原田 七惠
暑い夏の日、水道の水を手で汲んで飲む。将に銀色に流れる涼を感じる。大変よく表現されていると思いました。 (福島 雪雫)
オーマイゴッド蛇口が昼寝しておじゃる 國分 三德
暑い中、かけ寄った蛇口が何と昼寝をしていたという見事な擬人法、初めて出会う視点です。上句は現代風、下句は古風な言いまわしの対比はとてもユニーク。その下句を「おじゃる」とされた点に掲句から受けるおおらかさ、親愛さを思う。
ふと、人生に置き換えて幸せへのヒントをも得た1句です。 (島 さくら)
2024年浜風6月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
大鯰日本を捨てる気配あり 金子うさぎ
頻発する災害に、負けてなるものかという作者の意思が出ている。
思い切ったユーモアの表現に、俳諧味が生まれた。想念を自在に働かせられる作者。
(内藤ちよみ様)
終末は瓢箪鯰の顔で来る 山戸 則江
実に面白い句だ。どう説明するといいのかむつかしい。
終末という深刻な「問題」に瓢箪鯰という「おもしろさ」をぶっつけてぴたりと決まってる。 (國分 三德)
上棟式じっと見詰める青大将 小峰トミ子
素直に考えると、若い施主が上棟式でこれから完成する自宅を想像して嬉しそうにじっと見詰めている様子が思い浮かぶ。ところが私は個人的に違う。結婚当初古い家に住んでいて、よく青大将を見掛けた。その後、家を建て替え新しくなってから、青大将を見たのは2回だけ。きっとあの青大将は上棟式を見ながら自分の居場所が失くなったのを悟ったのだろうと思ってしまう。個人的ではあるが、そのようにも取れる面白い句である。 (山下 宗翆)
白靴の先から朝の森ひらく 大西 惠
清々しさに満ちた、何と気持ちの良い句でしょう!“ひらく”というところから、朝の静寂さの中になにかしら希望を見つけた気がしました。 (桂花)
青梅雨や二度反戦の署名する 金子うさぎ
草木の葉をより色鮮やかに、青々と濃く見せる雨。そんな日、何度でも反戦の署名したくなる気持ちよく解ります。 (島田 啓子)
油絵の下に油絵瑠璃蜥蜴 金子うさぎ
油絵の下の絵が現れて響き合ったのか無干渉なのか、岩陰からヒョコッと現れる瑠璃蜥蜴は作為的に美しい。 (濱本 寛)
濃紫陽花咲くや階下は人の手に 島田 啓子
紫陽花、七変化…
濃紫陽花が効いており
この一句の中の物語の続きを知りたい気がしました。 (金子うさぎ)
ラで産まれ雑音だらけ桜桃忌 島田 啓子
産声の音階は「ラ」音だとなんとなく納得できる。
「雑音だらけ」がいかにもこの世の生きづらさを表している。 (山戸 則江)
蝦蟇分かりましたと引き返す 桑田 青三
ユーモアがあって、楽しい一句、とかんじました。 (佐藤 ポチ)
世界新マークした靴雲の峰 原田 洋子
世界新⇒トップ記録⇒最高記録と進んだイメージが「峰」で終結され、鬱陶しいこの季節を払拭し、清々しい気分を味わいました。 (原田 七惠)
一分間写真の奥は青葉闇 かわにし雄策
今まで気にしなかった写真機ですが、実は闇の奥に何かが入っているのですね。
(小坪亭ゑん)
あの人へ百万本の薔薇のトゲ 桑田 青三
この見事なパロディーにノックアウトされました。「棘」ではなく、敢えて「トゲ」にされた意図はなんだろうかと考え続けています。 (原田 洋子)
花嫁が舟で来る街あやめ咲く 山下 宗翆
潮来水郷を舟で行く情緒豊かな結婚式の景がパッと浮かびました。観光のスポット広告にしても良いくらいですね。 (小峰トミ子)
紫陽花から吐き出るあどけない夢 上薗 優
吐き出るの強い言葉に戸惑う。無常 移り気 浮気などの花言葉を持つ紫陽花の無心の夢はありのままを見て欲しいこと。擬人化して評価する人間への抗議を、吐くの言葉で表現した作者は紫陽花の化身だろうか。 (佐藤 花子)
青梅雨や二度反戦の署名する 金子うさぎ
季語青梅雨に、署名二度。人の世の醜い争いを鮮やかに、“二度”に強いの気持ちが伝わります。 (恵夢せとか)
紫陽花はまあるいからうつろうから 佐藤 ポチ
「まあるいから」「うつろうから」としたところが、余韻を残す形になっていて、心惹かれました。 (大西 惠)
直線の畝を斜めに梅雨滂沱 島田 啓子
「直線」と「斜め」の対比、そして「畝」と「梅雨滂沱」、梅雨の田んぼの風景が目に見えるような見事な描写だと思います。 (田 友作)
青梅雨や二度反戦の署名する 金子うさぎ
街頭で道行く人に署名をお願いしても、大多数の人は無視するか身を躱して通り過ぎます。
署名のお願いやビラ配りが日常の一部になっている筆者にとって、ビラを受け取ってくれる、まして進んで署名に応じて下さる方は筆者と思いを同じくする誠の親友のように思います。
木木の緑が鮮やかな中、二度も署名を下さった方と自分を包む青梅雨の瑞々しい快哉を叫ばずにはいられません。 (かわにし雄策)
終末は瓢箪鯰の顔で来る 山戸 則江
物事の終わりは掴みどころのないと。確かに終末につながっている事象は普通の人間には見つけることが難しい。
瓢箪鯰と表したところが面白い。 (桑田 青三)
白靴の先から朝の森ひらく 大西 惠
まず目にとび込む白と緑のコントラストがとても爽やか。その「靴の先」から「朝の森」がひらくという、何と斬新で躍動感のある表現、グッときます。
そして、その一歩は、また、人生の喜び、希望へとつながり読み手を誘う。わくわくする一句です。 (島 さくら)
梅雨晴間茅葺き屋根で待つCanon 小坪亭ゑん
俄カメラマンが梅雨晴れ間の古民家を狙っている様子がよく表れている。Canonの英字で高級カメラを持っているカメラマンを表現も良い。
【註】素人が高級カメラを持っているので、このカメラマンが定年退職後の俄カメラマンとわかる。 (福島 雪雫)
2024年浜風5月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
ロスタイム使えぬ余生花は葉に 小峰トミ子
老いと病に不安を持つ作者の胸中が、季語の「花は葉に」の風景・時の流れにより心理描写が卓逸に表現されている。 (内藤ちよみ様)
鯉のぼり海よりの風腹いっぱい 恵夢せとか
“腹いっぱい”がこだまして、鯉のぼりが更にでっかく、グングン空ゆく勢いが目に浮かびます。思い切り飛び上がって鯉のぼりの尾を握れたら、一緒に飛んで行けるでしょうか。 (桂花)
紅テントの怪人薫風に乗る 佐藤 ポチ
【紅テント】の怪人 唐十郎さんですね。薫風とは似つかわしくないような‥‥‥。そんな無頼漢と爽やかな季節にお別れです。 (島田 啓子)
競い合い自己主張する葱坊主 岩城 順子
自己主張をしている坊主はどの子かな?しっかりしていますね。まだまだ美味しいネギになりそうですよ。 (小坪亭ゑん)
帰省せず空を見ていた金釦 島 さくら
なんとなく好感。昔の大学生・青年の生真面目さ、清潔さ、を感じ、懐かしい気持ちになりました。 (佐藤 ポチ)
泰然とありしふる里桐の花 岩城 順子
季語が、これ程しっとりと詠み込まれている句に出会えて幸せです。季語の選び方にいつも悩む身にとっては、忘れられない句になりそうです。 (原田 洋子)
できたてのボタンホールから夏はじまる 大西 惠
小さなボタンホールから、未来を見渡すような広がりが楽しい。なにか物語が生まれるような。 (山戸 則江)
フレアーの乱れ乱れて春のオーロラ 福島 雪雫
春風のいたずらにフレアースカートが舞う様子を近く日本でも観られるらしいオーロラへと発想を跳ばした点に感服。『乱れ乱れ』のリフレインが効いていてオーロラがまざまざと見えてきました。 (原田 七惠)
分別に遠く牡丹の崩れおり かわにし雄策
昔、武家の奥方は死後も無様な姿を見せない為に、自害するときに両足の太ももを自ら縛ったという。牡丹は華麗で美しい花だが、散ると実に無様で咲いている時の品格も何もない、まさに「分別の遠く」の無様な有様で、「崩れおり」でその対照的な様を上手く読み込んだと思いました。 (田 友作)
抱きしめる浜昼顔の花言葉 田 友作
君を抱きしめて、浜昼顔の咲く浜で花言葉を思い出し、「将に絆だな」と実感している様が良く出ている。 (福島 雪雫)
菖蒲湯や日射しひとすじ足伸ばす 佐藤 ポチ
邪気を払い心身を清めると言う菖蒲湯。私の記憶の底に香りが残っている。湯殿にはまだ日射しがあり、作者は至福の時間を寛いでいる。ひとすじと足伸ばすが呼応する。生きている実感を感じさせる句だと思う。 (佐藤 花子)
命令に従っただけ罌粟の花 金子うさぎ
アヘンの原料となる罌粟、言われるがまま咲きました。どうすりゃいいのさ罌粟の花。 (桑田 青三)
鯉のぼり海よりの風腹いっぱい 恵夢せとか
中七の「海よりの風」に惹かれました。青く輝いて吹いて来る海の風を腹いっぱい吸い込んでいる鯉のぼりと一緒になって幸せな気分になりました。 (小峰トミ子)
KOBANに不在のカード花の冷え 恵夢せとか
世界共通語になったKOBANを頼りに行くと、不在カードが掛けてあり落胆する。そんな気持ちに花冷えが輪をかける。花の冷えがガッカリの度合を上げて共感できる句になっている。 (山下 宗翆)
弁当開け初めに映る豆ご飯 山下 宗翆
「大好きな豆ご飯!」
さや付のエンドウ豆だと香りも立つように思います。お弁当箱を開けた瞬間目に飛び込んで来る初夏の色。今すぐ食べたくなる素敵な一句でした。 (金子うさぎ)
天蓋は白無垢泰山木の花 小峰トミ子
清楚で清潔な詠み振りに惹かれました。大きな泰山木の花は純白の花で、香りも良く、高いところに咲くので天に掛けられた蓋(かさ)のようだと作者は感じられたのでしょう。それを白無垢の天蓋と表現されて説得力がありました。
(かわにし雄策)
洗いたての空気燥ぐこいのぼり 島田 啓子
こいのぼりが元気に空を泳いでいる姿を見て、こいのぼりが「燥いでいる」と捉えたところ、きれいな青空を「洗いたての空気」と表現したところに惹かれました。
5・7・5となっていないところも素敵。 (大西 惠)
紅テントの怪人薫風に乗る 佐藤 ポチ
紅テント、怪人、薫風この組合せは作品の人物像にぴったりでとても良い。5月4日の怪人を作者は何と薫風に乗せるのです。変幻自在、爽やかに現れては消える予感を漂わせて。
劇作家、唐十郎のエッセンスが凝縮された追悼の1句、心動かされました。
(島 さくら)
分別に遠く牡丹の崩れおり かわにし雄策
美しく咲き誇った、牡丹の散るさまを「分別に遠く」と表されたのが上手い!と思いました。 (恵夢せとか)
2024年浜風4月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
晩春を呑み込む河馬の大欠伸 大西 惠
「呑み込む河馬の大欠伸」の大胆さと、晩春の大らかな雰囲気がよく出ている。イメージ、想像力の膨らまし方が巧み。 (内藤ちよみ様)
それぞれに何か言いたげ落椿 原田 洋子
華やかに咲いていた椿が一房ごとボタリボタリと落ちている。まだ咲いていたかったのに、どうして落ちたの、などと呟いているような落椿の情景を感じた。
(桑田 青三)
春愁や以下同文の表彰状 田 友作
名前を読み上げられた表彰状、頂いて嬉しい気持ちが【以下同文】ちょっと物悲しくなります。春愁がぴったりです。 (島田 啓子)
学校へ行く子行かぬ子葦の角 恵夢せとか
鋭く小さく天に向かっている葦の角。どんな子供にもあるはずの無限の可能性への祈りを感じる。 (山戸 則江)
米を研ぐ春の水音かきまぜて 小峰トミ子
日常茶飯事の中にも季節を感じられるとは俳句ならではですね‼️
気温差で水音が微妙に違うのでしょうけど、言葉で表現されて感動するようになる、マジックですね‼️ (山下 宗翆)
晩春を呑み込む河馬の大欠伸 大西 惠
私の行っている歯科は“カバ”がマスコット。歯医者さんは大忙し、でもカバは大欠伸するほどのんびりしてますね。 (小坪亭ゑん)
クローバーに転がり空を一人かな 濱本 寛
私のことではと。
わびしさに感動。 (星野 戎吾)
チューリップなにかを包み眠りけり 原田 七惠
チューリップって、そんなふうに見える時あるな〜、と思いました。
(佐藤 ポチ)
ロボ猫に迫られ子猫宙返り 島 さくら
今流のロボ猫という状況。「子猫が仲間と思って、じゃれて自らも宙返り」は実に光景が目に浮かぶ。 (福島 雪雫)
チューリップなにかを包み眠りけり 原田 七惠
童話の世界に入り込んだようです。
子供達に赤や黄色のチューリップを持たせて、ここには何が入っていると思う、と聞いてみたいです。きっと目をキラキラさせて答えてくれるでしょう。でも実際には、今そんな事が出来る国に住んでいる子供がどの位いるでしょうか? (原田 洋子)
春の宵電車で爪を切る少女 金子うさぎ
日暮れてから爪を切るのは良くないと言われているのに、しかも電車の中で!なんと破廉恥な、と思いますが、これからこの少女はきっとデートなの、他人の眼なんかを気にしないの、ですよね。 (恵夢せとか)
米を研ぐ春の水音かきまぜて 小峰トミ子
しゃかしゃか、ざわわ。米粒たちの春歌で、研ぎ水ももう冷たくなくなりました。
(桂花)
猫の子の眼の中で暮らしたい 桑田 青三
目の中に入れても痛くないの更に上をいく「深い可愛さ」のこの句の表現は童話の絵本のようにメルヘンチックだ。 (國分 三德)
竹の秋着物に残る香りあり 恵夢せとか
暖かくなって、もう着ることのない和服をたたんでいる時、思い出の冬のある日の香りがほのかにする。外は黄色くなった竹の葉がはらはらりと散っている。そんな光景が浮かびました。
「竹」と「和服」、「残り香」と「散る竹の葉」の共鳴を感じる句です。
(田 友作)
誰も居ぬ野へ春愁を放り出す 岩城 順子
春愁とはまこと厄介なものですが、作者は、誰にも迷惑のかからない野に放り出したようですね。同感です。 (小峰トミ子)
「春は曙」心やさし巨星落つ 佐藤 ポチ
『枕草子』の冒頭「春はあけぼの」にかけて、力士 曙の逝去を悼む掲句に心惹かれる。角界は新しく事態が展開する時と捉えて"曙"と命名したのか。彼は期待に応えて横綱になった。そしてあけぼのの一番美しい春に旅立った。詩情ある句だと思う。
(佐藤 花子)
枕にも寿命があるよ亀の鳴く 桑田 青三
私の趣味のひとつに釣りが有り、数十回に一回得体のしれない魚が掛かる事が有ります。
「亀鳴く」も想像力を掻き立てられる季語です。枕に寿命「なるほど!そうよね」寿命と掛けた?季語との取り合わせが天晴れ!作者を知りたくて知りたくて ニコ♪
(金子うさぎ)
貰い手の初めに決まる三毛子猫 濱本 寛
どの子も可愛い。さて…、う~ん悩む…。
普段着の生活にドップリ浸かった我が家。やっぱり庶民代表の三毛にしよう‼️
(原田 七惠)
この仔猫虎になるのか朧月 原田 七惠
かわいがっている仔猫の頭を撫でながら、もしかしたらこの子は虎になってしまうのかしらと感じてしまった幻想的な朧月の宵の一コマ。 (大西 惠)
高遠城勝ち旗のごと桜咲く 星野 戎吾
地理が出て歴史が出て高遠の桜を偲んでいらっしゃるのは作者。高遠は作者の故郷なのでしょうか?江島生島事件で高遠に流された大奥女中の江島。相手の歌舞伎役者生島は男子禁制の大奥に入り江島と恋仲になりましたがバレて三宅島に遠流されました。
高遠は二人の禁断の愛を想起させる場所で、筆者もついつい心騒いでしまいました。
(かわにし雄策)
木々芽吹く逃げた光を捕まえに 大西 惠
冬の間、光と遠ざかっていた木々達が一斉に動き始めた。その一瞬一瞬を「逃げた光を捕まえに」とされた。まるで絵本の一ページに出会ったよう。春の生命のエネルギーに満ちたその描写はまた、読み手の心を掴み、心と響きあう。作者のまなざしが魅力的な一句です。 (島 さくら)
2024年浜風3月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
かぎろうや猫のしっぽにあるリズム 恵夢せとか
「かげろう」と「猫」の取り合わせだけでも想像がふくらむ。
猫の尾のリズムに注目したこの句、可笑しさ、俳諧味がある。 (内藤ちよみ様)
逍遥を続け霞の中に入る 岩城 順子
霞の季語は沢山有ります。心が通俗から離れて遊ぶ時、霞に溶け込んでしまうのでしょう。 (濱本 寛)
花ミモザ陰も地上絵となり揺るる 小峰トミ子
上から下から右から左からミモザ!ミモザ美が丸ごと詰まった句ですね。指先に、花の可憐な揺れが感じられるようです。 (桂花)
答え見つからず白菜ざくと割る 岩城 順子
でかい白菜を大きな包丁でざくりの二分割すれば、答えが飛び出すかもしれません。
(桑田 青三)
春うらら付箋だらけのガイド本 原田 七惠
やっと気持ちの良い季節になって、行ってみたい所がいっぱい。旅のガイド本を手に取る毎に付箋が増えていく、よく解ります。 (島田 啓子)
朝刊の原発大文字東北忌 金子うさぎ
今まで使われなかった「東北忌」は、季語として理解されるでしょう。
(小坪亭ゑん)
春愉し極太ペンの葉書かな 桑田 青三
春を迎えた嬉しさが『極太ペンの葉書』に凝縮され、こちらまで幸せな気持ちにしてくれます。 (原田 七惠)
飛んでふらこことびきり自由で孤独 島 さくら
放課後の運動場を思いしました。思い切り大きく漕いで自分だけの空!ひっくり返しましょう! (恵夢せとか)
春愉し極太ペンの葉書かな 桑田 青三
「極太ペン」という言葉で、春の楽しさが真っすぐに伝わってきました。この葉書、私も読みたい!と思いました。 (佐藤 ポチ)
大叔母の色なき色気春ショール 原田 洋子
高齢の方の立ち居振舞いに日本女性の色気を感じることがあります。妖艶ではなく品とか粋でしょうか、ショールもさりげなく春色なのでしょうね。 (山下 宗翆)
穴を出て蛇直線を試したる 國分 三德
この蛇は、たっぷりと眠った後、ふと真っ直ぐに歩いて見ようと思ったのでしょうか? 進化の一歩って、もしかしたら、こんなことから始まるのかも知れませんね。楽しいです。 (原田 洋子)
ワンルーム駅近五分初燕 桑田 青三
駅に五分というワンルームマンションの「売り」に、まさか燕が入居してくるとは考えなかった。そんな意外性をよくも句にしてくれました。 (國分 三德)
絵葉書に添える一句や春炬燵 岩城 順子
春炬燵に惹かれました。
暖冬の昨今、3月は炬燵をしまう時期で、その意味での「春炬燵」なのかも知れませんが、この句の「春炬燵」は、まだ雪が降る北陸や東北地方の寒い地方でのことではないかと読みました。
そのような地方に旅行に行って、泊まった宿には炬燵があって、そこで絵葉書を書いている光景が目に浮かびます。 (田 友作)
大叔母の色なき色気春ショール 原田 洋子
大叔母、祖父母の姉妹と捉えた。かなり高齢の女性、句会で鈴木真砂女さんの話題が出たが、私の身近にも白髪の美しい背筋のしゃんとした、凛とした佇まいの方がいらして重ねた。色なき色気の表現が正にそんな感じで、菩薩のごとき色気、春ショールにそんな軽やかで淡い色調を感じ美しい句だと思い取った。 (佐藤 花子)
子の許へ路地の明るき春の雨 星野 戎吾
情景がそのまま目に浮かびます。子の許は行きなれた道で明るく良く見える。春雨が降ろうが心はルンルン気分。 (福島 雪雫)
家計簿の裏金発覚桜もち 原田 洋子
国の裏金問題に列島は震えている昨今、家計簿からも発覚したが、安心して桜もちを食べている姿が見える。国も一刻も早く安堵したいものだ。 (小峰トミ子)
蹲にひさかたの鳥水温む 山下 宗翆
美しい和風庭園でしょうね。全体の句風は穏やかで凜と気品があります。現代俳句でも伝統俳句でも読み手の心を捉えてしまう景色と春の息吹が感じられます。何度高唱しても新鮮な魅力のある作品と思います。 (かわにし雄策)
幸福な王子に出逢うな初燕 佐藤 ポチ
街の広場に立つ王子像と燕との博愛と悲壮に満ちた物語。掲句はその燕を初燕として詠まれた。それは初燕にとってちょっと酷な出逢い。中句の強い命令形の表現に作者の優しさがにじむ。
兼題から「幸福な王子」への発想と視点に想像力が深まり心惹かれました。
(島 さくら)
春の鹿ジビエ料理に葉書出す 小坪亭ゑん
春の鹿がジビエ(狩猟の対象となる野生の鳥獣の肉)料理を出すレストランに(またはシェフに)葉書を出すという発想のユニークさに惹かれました。「今年の肉は味が良いのでご贔屓に」とか、「今後はもうジビエ料理はやめてください」とかだったのでしょうか。 (大西 惠)
2024年浜風2月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
春芝居よき歯並びの髑髏 金子うさぎ
春芝居の一幕。「よき歯並びの髑髏」と、ここまで表記したことにより、常識を逆手にとった面白さがある。自在さに好感。
(内藤ちよみ様)
熱燗のちょっと黙する俳句談 佐藤 花子
気の合う俳句仲間二人で、熱燗を囲んで俳句談義に浸っている。盃を唇に近づけ、はっとその熱さに話が途絶え、その瞬間、話のふくらみを思いついた。俳句仲間の小粋な景色が見えます。
(桑田 青三)
いざ春とそそり立つ海老上天丼 島田 啓子
ポジティブ潔い句に、カリッと揚げ立ての春が香ってくるようです!
(桂花)
絵天井ガバリと龍の目二ン月 島 さくら
『二ン月』の寒々としたお寺の様子と『目を剥いた龍』が共鳴しあった、スケールの大きさを詠じたところに魅力を感じました。
(原田 七惠)
ものごとは裏表あり海苔焙る 桑田 青三
物事に裏表あるのはその通りですが、そこへ焙った海苔を取り合わせるとは脱帽です。記憶に残る一句となりました。
(小峰トミ子)
忘れるってことが大切冬木の芽 大西 惠
忘れることも大切なんですよね。忘れられても忘れられても春を目指し、木の芽が出てきます。立派です。
(島田 啓子)
春節の賑わう手相占い 上薗 優
下五の占いは占い師が良いのではないかと。
田舎では正月に手相占いが盛んでした。私も新潟県佐渡市に疎開している6歳の時、母の実家に行くと東京の高島易断が来ていた。私の手相を見て驚きの声を挙げた。
「この子は升掛の筋。豊臣秀吉の天下取りの手相である」と。聞いて喜んだ親は、天才と思い込んで進学を楽しみに。しかし、【天才も二十歳過ぎればただの人】のことわざどおりに。
(星野 戎吾)
一羽だけいる白鳥のものがたり 聖木 翔人
この白鳥さんの物語を、私も聞きたい!と思いました。
(佐藤 ポチ)
天井の龍が鳴く寺冴返る 山下 宗翆
長野小布施で見た北斎の龍を思い出しました。「龍が鳴く」の躍動感と「冴え返る」のしんとした対比が好きです。 (山戸 則江)
海苔食んで内からあふれ出す宇宙 山戸 則江
おなかから宇宙まで想像できる海苔があるんですね!!️
ほんとうに美味しい海苔を食べてみたいです。
(小坪亭ゑん)
一羽だけいる白鳥のものがたり 聖木 翔人
九十句を生きつ戻りつ、何故かこの句から目が離せません。作者の意図は図りしれない程大きくて、突き放されたように感じますが、興味が尽きません。
(原田 洋子)
梅一輪ふわりそわそわ赤らめり 佐藤 花子
作者は梅の開花を詠んだのでしょうね。私は初恋の句だと思いました。好きな人の前に出ると何故か落ち着かず、半分宙に浮いているようで、頬がポーッと赤くなっていく。乙女の初恋そのものだと感じました。
(山下 宗翆)
二月や背伸びをしても届かない 國分 三德
何に届かないのだろうか。鴨居のフック、棚の上、天井、月、星、それとも目に見えないもの、目標とか平和への願いとか。
掲句は春の兆しへの期待と現実の不安がないまぜになり、私は不条理な感覚に捉われた。
(佐藤 花子)
いやですよ一緒の墓は春炬燵 桑田 青三
「嫌ですよぉ~。」一緒の墓は、「うふふのフ~笑」とあって欲しい。
**
句会で雄策さんが見事に「季語の春炬燵に救われてるね」とニッコリされた。
まぁ、私にとって深い問題ですなぁ…笑
親戚のお葬式にて○○宗僧侶の入場のアナウンス。
小さい頃から、慣れ親しんだ○○宗とは違うのね。
不届きにも そんな事を考えながら座っておりました。
合掌。。
(金子うさぎ)
春の風がばとハグせし退院日 桑田 青三
やっと迎えた待望の退院日、外は既に春の景色。大きく手を広げて柔らかい春風の感触を味わう作者。
退院お目でとうございます。作者のハグはいつも柔らかいのです。
(かわにし雄策)
戻り来し終の住処の梅一凛 星野 戎吾
「東風吹かば匂いおこせよ梅の花」を連想させる句ですが、内容は全く逆で「戻り来し」とあるように、終の住み家に戻って来た庭先に昔のように梅が咲いたという趣のある句だととらえました。思い出の家であり、思い出の庭であろうところに、昔と変わらぬ梅が咲き香っていて思いに耽っている様が伝わります。
(田 友作)
天井桟敷は春のどよめき 大西 惠
仏映画史上に残る名作が句の世界に立ち上がりました。19世紀中半のパリを舞台に織りなす切ない恋を絡めた人間模様を「春のどよめき」に見事に凝縮。この7文字の中にドラマの深さがボリューム感をもって上手く表現されました。「天井桟敷」に込められた人生の明暗。忘れられない1句となりそうです。
(島 さくら)
大森の埋め立てられし海苔の粗朶 佐藤 花子
江戸時代に始まった大森の海苔は「御前海苔」と呼ばれるほどの最上品だったとのこと。以後ずっと盛んに行われていた海苔養殖だが1960年代に大森の地が埋め立てられることとなり、海苔漁従事者は漁業権を放棄。海苔養殖は終わりを告げた。
調べていくうちに、2007年に大森の人工海浜で海苔養殖が始められ、2021年には150枚分の海苔が採れたという記事を見つけた。やむを得ず終了した(終了させられた)海苔の養殖が蘇ったのだ。
掲句はかつて盛んだった海苔漁と海苔粗朶に想いを馳せ、深い感慨を覚えてできたのではないかと思いました。
(大西 惠)
いざ春とそそり立つ海老上天丼 島田 啓子
大きな海老が、しっかり美味しそうで、いただきました。そそり立つが言い得て、面白いです。
(恵夢せとか)
足音や少しおぼろな月の夜 佐藤 花子
朧月のように彼の足音がそぉーと聞こえて来る月の夜。なんとロマンチックなのだろう。
(福島 雪雫)
2024年浜風1月句会 選者特選句の感想
到着順 ( )内は選者
雪催い北の輓馬に火の匂い かわにし雄策
「北の輓馬に火の匂い」から、私は困難を極めた北海道の開拓時代を想像した。歴史的なリアリティがあり、作者の鋭い感性が伺える。季語の「雪催い」と、作品の呼吸の間の取り方も妙。 (内藤ちよみ様)
観覧車今年の竜に近づきぬ 岩城 順子
ファンタスティックなアニメを観ている感じ。こんな観覧車があれば乗ってみたい。ところで季語はなんでしょうか。 (桑田 青三)
手の皺は女の歴史寒卵 岩城 順子
手のひらの皺が気になって、時々イヤになります。女の歴史と思えば良いのですね。
(島田 啓子)
初日の出初くちつけの観覧車 濱本 寛
初日の出初くちつけと初の韻を踏み、観覧車でのくちつけはその後のめでたしへと繋がり青春を彷彿させられる一句です。 (小峰トミ子)
主役食う白き潤肌千枚漬 山下 宗翆
「主役食う」の措辞が素晴らしい。
昔、日本料理店をしていた時、赤坂のTBS会館にあった赤坂店で京都の「近為」の千枚漬け、柚子こぼしなどの京漬物を仕入れていました。其のおいしさに惚れて、店頭の寿司、寿司弁当のカウンターで販売しました。今では考えられませんがTBS会館があったころは会館に自由に出入りができ、そのまま本館にチェック無しで出入できました。会館の1Fに店が有ったので、テレビ出演者もお客様さんでした。
(星野 戎吾)
観覧車星座になれず地に還る かわにし雄策
一巡りする間の観覧車の気持ち!考えたこともありませんでした。観覧車が愛おしくさえなりました。 (桂 花)
波の花無念の人に言葉なし 恵夢せとか
合掌。 (佐藤 ポチ)
有りの儘に生きてごらん雪男 上薗 優
自分のことを言われていて感動しました。 (福島 雪雫)
海山の恵みの能登よ雪割草 濱本 寛
能登地方の大災害の状況が明らかになるにつれ、誰もが自分にも何か出来るのでは、と思っています。そんな中、この静かな句を目にしてはっとさせられました。能登の自然の豊かさをいつまでも忘れない事が逆の意味での応援ではないかと、、、。感服しました。 (原田 洋子)
ひたに葱刻めりしゃべらなくっていい 岩城 順子
恋人と喧嘩したのかな。台所で後悔してるのか、気を紛らわす為に細かく刻む葱は、涙も誘っていますね。 (恵夢せとか)
闇市の母の背負し寒卵 佐藤 花子
本当は子供にいちばん食べさせたい寒卵をお母さんは闇市へ売りに行った。敗戦直後の日本のお母さんを寒卵でしっかり表現できた。 (國分 三德)
呼び鈴の音をのばして年始客 島田 啓子
祖父母に会いたい!お年玉目当てか。呼び鈴に年賀の寿ぎと、音をのばしてに期待と笑顔の溢れる景が見える。 (佐藤 花子)
手袋は今日は片方だけでいい 大西 惠
手袋は今日は
「は」が続くな~。って読みながら
「今日は片方だけ」に惹かれ
被災地のボランティア活動?
もしや、その片方で物騒な物を持ってる?
はたまた筋トレかなぁ。
句会ライヴで聞く真相は
「手を繋ぐ為
今日は片方なのよ~♪」
と
こいつは春から~
めでたし愛でたし。 (金子うさぎ)
小さな支局最前線の雪の夜 島 さくら
金沢の能登半島にあるかもしれない通信社または新聞社の支局を想像しました。外は大雪の冷え込む夜。通信員は夜を徹して現地の取材活動です。本当にご苦労様と言いたいです。
支局が初めて俳句に登場したのはこの俳句かとも思います。 (かわにし雄策)
厳冬やほっこりと病床ベッド 桑田 青三
病床とベッドを併せて強調された下句は擬人化され上句と重なっているように読み取った。そして「ほっこりと」が中句にあることで、病床の日々にふと出会う温もりが全体をふわりと包み込んでいる。
厳しさの中の安らぎが大きく表現された心打つ1句。 (島 さくら)
この祈りあの光届くのか冬 佐藤 ポチ
難しい言葉を使っていませんが、作者の被災された方々への強い思いが感じられる一句です。最後の「冬」は神への祈りの言葉のように思えます。 (大西 惠)
鮟鱇の美醜骨まで愛してる かわにし雄策
鮟鱇の美醜が実に的を得ている。姿や吊し切りの過程のグロテスクさと調理後の美味しさ。作者はぶつ切りされた骨の身までしゃぶりつくのでしょうね。
(山下 宗翆)
晴れた日の風の硬さよ寒に入る 小峰トミ子
冬の風は確かに「硬い」です。中七の『風の硬さよ』、新鮮な表現に心が動きました。
(原田 七惠)
小さな支局最前線の雪の夜 島 さくら
雪が降りしきる夜、はるかに遠く灯がともる。それは最前線の支局に詰めて夜を徹して原稿を送っている記者の証。その光景が目に浮かぶような句です。
(田 友作)