研究室・教員紹介

令和3年4月から「生物先端科学コース」がスタートしました!

生命の設計図である遺伝子・ゲノムが次世代に伝わる仕組みを科学する

遺伝とは遺伝情報が親から子に伝わることであり、すべての生物の生命活動にとって最も重要な事象です。遺伝学 (genetics) では、遺伝の仕組みや物質的基盤を明らかにします。

植物遺伝学分野では、分子細胞遺伝学的および分子集団遺伝学的手法により、植物の染色体・ゲノムの構造、機能、変異および操作の研究を行っています。


キーワード:コムギ、ライムギ、オオムギ、染色体、ゲノム、分子細胞遺伝学、分子遺伝学、染色体工学、 メタゲノム、メタトランスクリプトーム、土壌微生物

教授 吉田 健太郎 Prof. Dr. Kentaro YOSHIDA


助教 井上喜博 Asst. Prof. Dr. Yoshihiro INOUE


植物が示す内的・外的環境へのさまざまな応答現象を研究する。基盤をなす分子機構の解明と現象の解析を通して新たな調節様式の発見を目指す。

シロイヌナズナ(被子植物)とゼニゴケ(コケ植物の苔類)という2つのモデル植物を用いて、陸上植物(有胚植物)の生活環を制御する分子機構を研究している。特に関心を持っているのは、花成を中心とする成長相転換、生殖系列決定と配偶子形成を中心とする有性生殖、生活環を調節する遺伝子の進化的な起源である。

キーワード:生活環制御、光周性、成長相転換、花成、フロリゲン、有性生殖、生殖系列決定、配偶子形成、環境応答、細胞分化、発生、進化

教授 荒木 崇 Prof. Dr. Takashi ARAKI

所属:京都大学 生命科学研究科 統合生命科学専攻 分子代謝制御学分野 教授

専門分野:植物発生生物学、植物分子遺伝学、植物生理学

研究テーマ:成長相転換(栄養成長相から生殖成長相への移行)の機構、フロリゲンの作用機構、生殖系列決定の機構、配偶子形成過程、環境応答(光周性)の分子機構、生活環制御系の進化、など。

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准教授 山岡 尚平 Assoc. Prof. Dr. Shohei YAMAOKA

所属:京都大学 生命科学研究科 統合生命科学専攻 分子代謝制御学分野 准教授

専門分野:植物分子細胞生物学、植物発生生物学、植物分子遺伝学、植物生理学

研究テーマ:植物配偶子形成の機構、生殖系列決定の機構、植物オルガネラ・細胞内膜系の制御機構

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助教 井上 佳祐 Asst. Prof. Dr. Keisuke INOUE

所属:京都大学 生命科学研究科 統合生命科学専攻 分子代謝制御学分野 助教

専門分野:植物分子遺伝学、植物分子生物学、植物生理学、光生物学

研究テーマ:環境応答(光シグナル伝達および光周性)の分子機構、生活環制御系の進化

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ゲノム情報から栽培植物の起原と進化を探る

栽培植物は人類最大の文化遺産です。栽培植物を含む生物の歴史は、生物のゲノムに記されています。

栽培植物起原学分野では、 フィールドワークにより集められた世界の多様な栽培植物を主な研究材料として、バイオインフォーマティクスを駆使してゲノム配列を解析することにより、多様な栽培植物の起原と進化に関する基礎研究を展開します。


キーワード: 進化、遺伝、多様性、フィールドワーク、ゲノム、バイオインフォーマテイクス

教授 寺内 良平 Prof. Dr. Ryohei TERAUCHI


助教 安井 康夫 Asst. Prof. Dr. Yasuo YASUI


助教 堺 俊之 Asst. Prof. Toshiyuki SAKAI


植物と病原体の戦いを科学する植物病理学

病原体は植物に様々な病害を引き起こし、作物の深刻な減収などをもたらしています。

しかし、実は植物側もただやられっぱなしではなく、両者の間では太古の次代から現在まで壮絶な戦いが繰り広げられています。

植物病理学分野では、 主に植物病原糸状菌、植物ウイルスを対象に、病原体と植物の相互作用について、分子生物学的、細胞生物学的 手法などを用い研究しています。

糸状菌の研究では、植物側の非宿主抵抗性機構および病原菌側による本抵抗性 の抑制機構に焦点をあて、その宿主特異性決定機構の解明に挑戦しています。

ウイルスの研究では、ウイルスの細胞間 移行機構およびウイルスに対する植物側の抵抗性機構の解明に挑戦しています。


キーワード: 非宿主抵抗性、付着器、エフェクター、比較ゲノム、宿主特異性、移行タンパク質、細胞間移行、 抵抗性遺伝子、サイレンシングサプレッサー、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、ウリ科作物

教授 高野 義孝 Prof. Dr. Yoshitaka TAKANO

所属:京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 植物病理学分野 教授

専門分野:植物病理学、植物免疫学、植物病原微生物学

研究テーマ:植物と病原菌間の相互作用を一貫して研究。非宿主抵抗性、PAMP誘導免疫、病原菌エフェクターに焦点を当てており、それらの研究より、病原菌の宿主特異性成立の謎を解く。さらに、その知見を利用して次世代型耐病性作物を創出する。

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准教授 三瀬 和之 Assoc. Prof. Dr. Kazuyuki MISE

所属:京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 植物病理学分野 准教授

専門分野:植物病理学、植物ウイルス学

研究テーマ:植物とウイルス間における宿主特異性の分子機構の解明、植物ウイルスの細胞間移行機構の解明、ウイルスに対する植物抵抗性機構の解明

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准教授 峯 彰 Assoc. Prof. Dr. Akira MINE


昆虫の生態から生物進化の力学を探る

私たち地球上の生物は、どのような進化の力学の下にあるのでしょうか?

昆虫の種数は全生物種の 3 分の 2 を占めており、この地球上で最も繁栄している生物群です。

昆虫生態学分野では、昆虫類を対象にして、フィールド調査や行動実験、数理解析といったマクロの手法から遺伝子解析や化学分析などミクロの手法まであらゆるツールを駆使して、その生態の解明と進化の謎解きに挑んでいます。


キーワード: 進化生態学、社会生物学、応用昆虫学、群集生態学、個体群生態学 昆虫、進化、害虫管理、フェロモン、社会性昆虫、種間関係、生活史戦略

教授 松浦 健二 Prof. Dr. Kenji MATSUURA


助教 高田 守 Asst. Prof. Dr. Mamoru Takata


昆虫の多彩な形質の生理基盤を探る

昆虫は地球上で最も繁栄しているグループの1つであり、現在の、そしてこれからの地球生態系や農業生態系の維持に欠かすことができない重要な生物群です。

しかし、昆虫の生命活動は時に人間との深刻な利害関係を産んでおり、ある物は農業害虫として農作物に甚大な被害を与え、またある物は感染症媒介昆虫として人間や家畜の生命を脅かしています。

今後、人間が昆虫と共存共栄していくためには、形態・体色・変態・休眠・生殖・行動など、昆虫のユニークな諸形質の「謎」を解明し、それを適切に制御あるいは利用することが必要である、と私たちは考えています。

昆虫の多彩かつ特異な形質の発現の鍵を握るのが、ホルモンによる内分泌的な形質発現制御機構です。

昆虫生理学分野では、昆虫のホルモンの生理機能と作用機構の解明を目指し、生物資源の典型であるカイコやその他の様々なモデル・非モデル昆虫とともに研究を進めています。

キーワード:脱皮・変態、性フェロモン、分子生理学、分子遺伝学、進化発生学、昆虫機能利用学、化学生態学、ゲノミクス、ゲノム編集

教授 大門 高明 Prof. Dr. Takaaki DAIMON

所属:京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 昆虫生理学分野 教授

専門分野:昆虫生理学、昆虫遺伝学、昆虫発生学、昆虫機能利用学

研究テーマ:昆虫の脱皮変態の遺伝子基盤の解明、昆虫の変態の進化プロセスの解明、蛾類性フェロモンシステムの進化プロセスの解明、昆虫の新規遺伝学的ツールの開発とそれによる昆虫の形質デザイン、など。

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助教 大出 高弘 Asst. Prof. Dr. Takahiro OHDE

所属:京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 昆虫生理学分野 助教

専門分野:昆虫発生学、進化発生学

研究テーマ:昆虫の形態・発生進化機構

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特定准教授 (白眉研究者) 安藤 俊哉 Assoc. Prof. Dr. Toshiya ANDO


特定助教 松田 直樹 Asst. Prof. Dr. Naoki MATSUDA


微生物を制する者は農林業を制す―微生物を制して植物を守る―

農地や林地には様々な微生物が生息し、植物に多様な影響を与えています。中には病原体として、しばしば農林生産に壊滅的な被害をもたらすものがいます。

一方、微生物の中には植物と共生し、宿主植物の活力増進に寄与するようなものもいます。従って、農林生産の安定化と向上のためにはこれらの微生物を上手にコントロールすることが必要不可欠です。

微生物環境制御学分野では、分子からフィールド科学的手法までを駆使、これら有害微生物や有用微生物の特性や他生物との関わり方を明らかにし、有用植物の保護と農林生産性の向上に寄与することを目指しています。


キーワード:菌類、線虫、生態学、生理学、生化学、遺伝学、分類学、ゲノム情報、比較ゲノム、植物保護、 生物間相互作用、作用機作、殺菌剤、バイオコントロール

教授 田中 千尋 Prof. Dr. Chihiro TANAKA


准教授(協力講座) 吉見 啓 Assoc. Prof. Dr. Akira YOSHIMI


助教 竹内 裕子 Asst. Prof. Dr. Yuuko TAKEUCHI


基礎研究から農業害虫の管理法を探る

自然生態系では特定の植食者が大発生することはあまりありません。それは多様な生物間の相互作用により、種のバランスが保たれているからです。

しかし、地球温暖化をはじめとする様々な生物間の相互作用により、種のバランスが変化する可能性があります。農業生態系ではさらに、化学農薬による防除や栽培管理により、生物間のバランスが崩れることがあります。さらに、一部の害虫たちは、新たに開発される化学農薬へも次々と抵抗性を発達させて防除困難になっています。農業害虫を持続的に管理するためには、化学農薬のみに頼ることのない防除体系(総合的病害虫管理:IPM)の構築が必要とされています。

IPMの構築して農業害虫を持続的に管理するためには、農地や自然界における植物‐植食者‐天敵の種間相互作用を理解し、そこに働く環境要因を理解して活用することが必要です。害虫や天敵が自然界でどのように生活しているのかを理解するための基礎研究では、適応と進化のプロセスを知ることができます。その知見を利用して害虫防除を行う応用研究では、農業をとりまく人の営みを知ることができます。

生態情報開発学分野では、ハダニやアザミウマ、アブラムシなどの微小農業害虫と、その捕食者であるカブリダニやカメムシなどの天敵を主な研究材料として、行動から遺伝、基礎から応用、DNAから畑まで、幅広い研究を行っています。


キーワード:ハダニ、カブリダニ、微小害虫、DNA、遺伝的変異、種間相互作用、適応進化、個体群生態学、 行動生態学、分子生態学、個体群構造、生物的防除、天敵利用、害虫管理、生態制御

教授 日本 典秀 Prof. Dr. Norihide HINOMOTO

所属:京都大学 大学院農学研究科 地域環境科学専攻 生態情報開発学分野 教授

専門分野:害虫管理学、応用昆虫学、天敵利用学、農業ダニ学、個体群生態学、分子生態学

研究テーマ:天敵昆虫・ダニ類の生態的・遺伝的特性の解明、天敵を利用した害虫防除技術の開発

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助教 矢野 修一 Asst. Prof. Dr. Shuichi YANO

所属:京都大学 大学院農学研究科 地域環境科学専攻 生態情報開発学分野 助教

専門分野:生態学、農業ダニ学

研究テーマ:植食者と天敵の攻防、ダニをモデル生物とした実験生態学