京都大学 農学部 資源生物科学科

生物先端科学コース

Fundamental and Frontier Biology Course, Kyoto University

令和3年4月から「生物先端科学コース」がスタートしました!

生物先端科学コースからのメッセージ

なぜ基礎研究が重要なのか?

学問の原動力は何かに突き動かされるように「問うこと」にあります。勉強はすでにある知識を学ぶのに対して、学問はまだ誰も問うたことのない問いを生み出し、まだ誰も答えを知らないことに答えを見出す営みです。直近の有用性に限定された「今何の役に立つか?」から始まる問いではなく、「どうしても知りたい!」という自由で根源的な知的好奇心から始まる問いがあります。その答えが新たな「知」を創造し、次の時代の有用性への道を切り拓きます。そのためには、自ら考え、自ら探求し、今の常識や既存の学説に立ち向かう「正統なる異端児」が必要なのです。生物先端科学コースが目指す教育とは、まさにそのような世界をリードする創造性に満ちた研究者の育成です。


なぜ農学部で基礎研究を行うのか?

多様な応用的課題と向き合う農学部であるからこそ、最先端の基礎生物学に取り組む場所を必要としています。「最も基礎的な研究は、最も応用的である」(桐谷圭治・京大農)や、「応用をやるには基礎をやれ」(福井謙一・京大工)といった京都大学の偉大な先人たちの言葉が表すように、最先端の基礎研究が多くの応用的課題に対するブレイクスルーをもたらしてきました。農学部、工学部、医学部といった有用性(人の役に立つこと)を重視する学部であるからこそ、より強く基礎研究の重要性が認識されてきたことは、科学の発展の歴史が示す通りです。また、応用的課題の中にこそ、最先端の基礎研究を可能にする多くの情報や材料、技術が詰まっています。生物先端科学コースで行う研究は、農学部でなければ出来ない基礎研究、世界で自分たちしか出来ない基礎研究なのです。


どのような教育研究の「場」を目指すのか?

主体的な学びは、それを可能とする「場」があってこそ成立するものです。そのためには何よりも教育・研究の理念を同じくする教育組織が必要です。かつて京都大学農学部には基礎生物学を目的とした学科「農林生物学科」が存在し、最先端の基礎生物学を行う場であるとともに、木原均今西錦司桐谷圭治をはじめ数多くのリーダーを生み出す場として機能していました。ほとんどの学生は研究者になることを目的として農林生物学科に入学し、実際に卒業生の大半が研究者となり、今でも様々な分野を牽引する立場として活躍しています。学問として生物学を志すことにおいて目的は同じであり、学生は分野を越えて語り合い、教育においてはむしろ自分の研究室の教員よりも異分野の教員から多くの個別指導を受けるほどでした。改組によって基礎生物学を掲げた学科が農学部から姿を消し、その失われた20年の損失は計り知れません。

かつての農林生物学科は良き手本ではありますが、生物先端科学コースは、決して農林生物学科への懐古に基づくものではありません。生物学の応用展開の幅がますます広がり、学問の自由と学生の主体的な学びの重要性が再認識される今、「京都大学農学部だからこそできる基礎研究」を徹底的に追求する場を創設するという新たな挑戦であります。


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