パルスレーザーを用いた分光(時間分解・非線形分光)による物性研究を行っています。
強い電場強度を持つ光(特にテラヘルツや中赤外光など、エネルギーの低い光)を物質に照射すると、その物質が普段見せる振る舞い(平衡状態における線形応答)とは異なる興味深い応答が現れることがあります。この非線形応答に着目することで、固体物質中に隠れている性質を明らかにしたり(①、③)、光によって新奇な現象を引き起こす(②、④、⑤)ことを目指しています。
これまでの研究対象:
半導体に光励起された電子・正孔の集団におけるクーロン相関の効果を、テラヘルツ分光を用いて研究しました。
ネール型磁気スカーミオン相を有する磁性体GaV4S8において、光パルス励起が引き起こすスピンダイナミクスを時間分解Kerr効果によって観測しました。
ペロブスカイト半導体の光電特性におけるフォノンの役割を調べるために、高強度テラヘルツパルスによるフォノン励起の効果を時間分解PL測定によって調べました。
④半導体における高次高調波発生:非摂動論的領域で現れる偏光異常
固体から発生した高次高調波が、従来の摂動論的な高調波とは質的に異なる興味深い振る舞いをすることを、光の偏光状態に着目した実験によって明らかにしました。
直流電流とテラヘルツ波照射による高速電流が組み合わさると、超伝導の臨界電流に奇妙な振る舞いが現れることを発見しました。