東京大学生産技術研究所 機械・生体系部門

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Department of Mechanical and Biofunctional Systems 

ー海洋複合計測システム研究室ー

Muti-modal Ocean Sensing Systems Lab.

マイクロ流体技術は、これまで人間の手で行う必要のあった各種分析操作を自動化するための鍵技術です。半導体加工技術やマイクロマシン技術、近年では3Dプリンタ技術を応用することで、非常に小型の分析装置を実現することが可能になっています。この技術は主に医療診断やバイオテクノロジーの分野で応用が進んでおり、すでに市販化に結びついた例も多くあります。その中で、この技術を海中の計測に応用しようという試みもあります...

マイクロ流体技術における一つの課題として「扱うことができ流体の量に限界がある」という点が挙げられます。つまり、マイクロリットルやナノリットルレベルの超微少量の扱いには有利なマイクロ流体技術ですが、ミリリットルレベル、さらにはリットルレベルとなると、そのままではマイクロ流体デバイスの中で取り扱うのは困難です。例えば魚類を対象とした環境DNA分析においては、数百ミリリットルからリットルレベルのサンプルを取り扱う必要があります...

海中を観測するための海中ロボットや漂流ブイ、自動船舶などのプラットフォームは、近年小型化が進んできている。そこで、それらに搭載される観測機器にも当然小型化が要求される。一方で、今日では多成分同時計測や分子認識が可能な革新的なセンサ技術が登場してきている。多項目を同時に計測できるセンサがあれば、対象成分毎に異なるセンサを搭載する必要がなくなるため、小型の海中観測プラットフォームへの搭載が容易になる。そこで現在、「ナノトランジスタ技術」と「分子認識センサ技術」の海中計測への展開を目指した研究を進めている...