コロナ禍の一年を振り返って
樫友会 会長 奧津 博 (高14回卒)
この樫友会会報「第28号」が皆様のお手元に届く頃は、緑豊かな季節となっていることでしょう。樫友会会員の皆様におかれましては、お元気でご活躍のことと存じます。
この一年を顧みますといろいろなことがございました。一昨年12月、中国で原因不明の肺炎患者を多数発症させた新型コロナウイルスは、あっという間に世界各国に広がり、感染者約1億2千万人、死者260万人以上にもなっています。(令和3年3月20日現在) そして、今まで当たり前と思っていた私たちの日常生活や社会活動に、変化や変革を求めてきています。
昨年末から英国を皮切りにワクチン接種が実施され、日本でも今年2月より医療従事者から優先的にワクチンを打ち始め、本格的なコロナ対応策が始まりました。
一方、既存ウイルスから進化した所謂英国型、ブラジル型、南アフリカ型と呼ばれる、より感染力の強い変異型の出現は、私たちに新たな脅威を与え、7月に予定されている東京オリンピック・パラリンピックの開催や運営などに大きな影響を与えることが危惧されます。世界のどの国においても、多くの人がワクチン接種を受けられる体制づくりや新たな医療体制の構築が求められ、安心して生活を送れる日が早く来ることを願うばかりです。
そのような新型コロナウイルスに振り回された一年でしたが、明るいニュースは、我が小田原高校は創立120周年を迎えました。1900(明治33)年4月25日小田原駅付近に、神奈川第二中学校として設立され、「志誠無息」「堅忍不抜」を校訓として発展してきましたことは、ご存知の通りです。
2月、BSテレ東が、「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑【120年の伝統を受け継ぐ小田原高校の秘密】」という番組で、母校を紹介しました。その内容は部活や授業風景などでしたが、特に我々の時代と異なるのは英語の授業でした。教師は英語だけで授業を行い、グループに分けられた生徒は、与えられた命題について英語で話し合い、その結果をクラス全員の前で英語で発表。また、授業ではスマホを取り入れていました。学校へのスマホ持ち込みは禁止、などと社会問題にされていたスマホは、今や授業に欠かせない道具となっています。これも時代の流れ、ということでしょう。
この番組を通して、在校生が小田高の長い歴史と伝統を確実に受け継ぎ、次の世代に伝えていく若さ溢れる後輩たちであることを、あらためて誇りに思いました。
近年の温暖化による地球規模の気候変動や地殻変動などは、今年も九州をはじめ各地に大災害を発生させ、多くの尊い人命や財産などを奪っていきました。今年2021年は、未曽有の被害を与えた東日本大震災から10年目の年。寺田寅彦の「天災は忘れたころにやってくる」という言葉をあらためて心に留め、日頃から災害に備えておくことの重要さを再認識しています。
最後に、皆様が新型コロナ感染から自らを守り、お元気でご活躍されることを祈念し、来年の今頃は、樫友会総会の開催ができることを願いながら擱筆いたします。