皆さま、こんにちは。

特定非営利活動法人スダチは、2021年に「ねりま子育て応援フードパントリー・オナカガイッパイ」として活動を始めました。2023年にはこども食堂を取り入れて「こども食堂とフードパントリーのスダチ」として再スタート。そして2025年に法人化を迎えました。

この五年間、日本の「見えない貧困」と向き合いながら、私たちは活動を続けてきました。


 ベトナムでの気づき

仕事で訪れたベトナムの過疎地。舗装されていない道、素朴な家々、無邪気にハシャグ子どもの笑顔。どこか懐かしい昭和の日本を思わせる風景でした。けれどそのすぐそばには、トイレに紙はなく、手洗い場に石鹸もない現実がありました。擦り切れたサンダル、ハエの集まる屋台、庭先につながれた牛。そんな暮らしを目の当たりにしながら、失礼ながらも「日本と比べると、これは貧困なのでは」と思わずにはいられませんでした。私はスマートフォンを手に取り、ふと「世界の貧困率」を調べてみたのです。すると、日本の貧困率の方がベトナムよりも高いという事実に出会いました。もちろん、貧困の定義や基準は国によって異なりますが、それでも私は深く驚き、胸がざわつきました。


日本の見えない貧困

日本では、子どもたちは学校に通い、服を着て、靴を履いています。一見すると困窮しているようには見えません。けれど、貧困は「見えない場所」に静かに存在しています。制度の網にかからない困窮、声を上げられない孤立、知られない苦しみ。それらは、玄関の内側に、スマートフォンの圏外に静かに潜んでいます。

ある雨の日、フードパントリーの食品を全家庭に配達した際、忘れられない光景がありました。三人家族のシングルマザー家庭。玄関の扉が開いた瞬間、家具も衣類も何もない、空っぽの部屋が広がっていました。

また、携帯料金の滞納でスマートフォンが圏外となり、Wi-Fiのある場所を探してようやく支援情報にアクセスしている、ひとり親のお母さんにも出会いました。情報が届かないという現実が確かに存在しています。


数字で見える困難

子どもの相対的貧困率は11.5%。約9人に1人の子どもが貧困状態にあります。 ひとり親世帯では、相対的貧困率が44.5%。およそ2人に1人が貧困状態です。 生活困窮世帯の約50%が相対的貧困に該当し、食費や通信費の負担が重くのしかかっています。これらは、表には見えにくいけれど、確かに存在する「静かな困難」です。


スダチの取り組みと願い

私たちはこうした一時的な困難を抱える方々と共に、フードロス削減にも取り組んでいます。「困っているからもらう」のではなく、「フードロスをなくすために食べる」。そんな前向きな循環を、皆さまと一緒に育てていきたいと願っています。

スダチは、食の支援を土台に、子どもの居場所づくりやボランティアの参加を推進し、人とのつながりを大切にした活動を続けています。

「すだち」のように、ひとしずくで料理を引き立てる存在として、皆さまの暮らしに寄り添う“一滴”でありたいと願っています。


特定非営利活動法人スダチ 理事長 谷田明大