"IKI island" solo exhibition

Solo Exhibition at Iki BASE 「Iki Mandala installation art」


今回は、壱岐という概念が分解し、再構成されて現れます。





それはこの地域を構成する要素が、写真の中に絶妙に散りばめられています。歴史を一望できるとともに、鯨、麦、米など、壱岐の歴史として重要な要素が鮮やかにプリントされています。これらの要素をつなぎ合わせているのは、いつの時代も私たちの生活の中心に存在する「人」であると感じられます。






全体(世界)を一度に理解するのはなかなか難しいですから、部分に細分化すると、新たな発見があるかもしれません。人は時として部分を認識し、それを全体と誤認することがあります。しかし、部分と部分の関係性を理解すれば、真の全体像が見えてきます。






私たちが既知と思っている概念を分解し、それを再構成すると、その概念が更新されたり、全く別のものであることが見えてきます。これは、私たちが日常的に見ている景色を正確に認識できていないという事実に通じます。






私たちが世界を認識するインプットからアウトプットへのプロセスは、色の変化(展示の、薄い青から白、そして青)を通じて示され、見る景色が変わること、またそれを変え、創り出すことが可能だと感じさせてくれます。壱岐の歴史と未来、そして日の光の下で刻々と変わる作品の表情は、人間の表情の変化に似ています。






そして、時間の連続性も感じられます。人の生活と同じリズムで見え方が変わる作品は、時間の経過によって視覚的な体験が変わることを強調しています。明るい時間帯には、外側からの光により作品が透けて見え、暗くなると内側からの光で作品が照らされます。これはまるで、環境によって定義される明るい時間と、自分自身で定義する暗い時間の心の動きを象徴しているようです。日の出から日没までの光の変化と作品の表情の変化が、私たちの生活の一部のように感じられ、特別な感覚を呼び起こします。






この展示は、空間そのものが一部の作品となるインスタレーションとして設計されています。時間と空間のデザインが一体となり、独自の体験を提供します。ここでは、視覚だけでなく、時間と空間を通じて作品と相互作用し、深い理解を得られます。これは、ホワイトボックスでは表現できない写真の新たな姿を示す、超えていくアプローチだと感じています。






観覧者と共に作品を完成させるという考え方も取り入れています。海で拾った貝殻やプラスチック、ガラス、木や竹などを観覧者が接着剤で貼り付けていきます。貼り付けるものを制限することはしません。参加しながら、海とは何かに気づくプロセスでもあるからです。海の写真という抽象的な概念の中に、実際の海にあるものを貼り付けていくというプロセスは、アナログとデジタル、具体と抽象の往復でもあります。2次元平面を3次元の作品に変えるだけでなく、多次元の要素を与え、関係という文脈を見える化します。この展示は、一時的なアート作品以上に、壱岐のエコシステムを内包するような作品になります。






この展示会は、壱岐を取り巻く事物や現象を分解し、再構成することによって、その本質を明らかにしようと試みています。それにより、私たちが日々経験する事物や風景に対する認識が更新される可能性を示唆しています。常に変化する作品の表情は、時間の経過とともに私たち自身が変わっていくことを象徴します。






展示会を見終えた後、その日に感じたことを大切な人と話し、共有することをおすすめします。この体験は、あなた自身の中の「壱岐」を見つけるきっかけとなるかもしれません。全てが連動し、全てが互いに関連しながら存在するこの世界を、'Iki BASE展示会'が示してくれることを強く感じました。