Woolf は明確に次のように述べています:
末梢の変化(炎症・末梢感作)は fMRI では直接測定できない
痛み過敏だけでは中枢感作を証明できない
末梢ブロックで痛みが軽減しても、中枢の関与を否定できない
*MRI(Magnetic Resonance Imaging) → 体の“形(構造)”を見る検査
*fMRI(機能的MRI) → 脳の“働き(機能)”を見る検査
fMRI は、脳の神経活動に伴う 血流の変化(BOLD 信号) を測定することで、
「どの脳領域が活動しているか」を間接的に可視化します。
“Because we cannot directly measure sensory inflow… pain hypersensitivity by itself is not enough to make an irrefutable diagnosis of central sensitization.”
“Local anesthetic blockade of peripheral triggers does not exclude central mechanisms…”
つまり、
fMRI は脳の血流変化(BOLD)を測るだけで、末梢組織の炎症・受容器の過敏化・免疫反応などは一切映らない。
別のレビューでも同じ結論:
“fMRI provides an indirect measure of neural activity, not a direct measurement of peripheral tissue processes.”
急性痛では、末梢侵害受容器 → 脊髄後角 → 視床 → 一次体性感覚野(S1)
という 典型的な nociceptive pathway が強く働きます。
急性痛で最も一貫して活性化する領域は:
一次体性感覚野(S1)
二次体性感覚野(S2)
前帯状皮質(ACC)
島皮質(insula)
“The brain areas most commonly activated by acute pain are S1, S2, ACC, insula…”
S1 は痛みの
強さ(intensity)
部位(location)
時間(timing)
を符号化する領域。
急性期は末梢からの侵害入力が強く、明確で、局在性が高いため、
S1 の BOLD 信号が大きく・鮮明に上昇する。
慢性痛では:
末梢入力が弱くなる/不特異になる
中枢可塑性(再編成)が起こる
注意・情動・予測などのネットワークが関与
痛みが“入力依存”ではなく“脳の状態依存”になる
そのため、
S1 の反応は末梢刺激の強さと比例しなくなる。
脳の血流変化(BOLD)=神経活動の間接指標
末梢の炎症・末梢感作そのものは見えない
見えるのは「末梢入力が脳に与えた影響」だけ
末梢からの侵害入力が強く、明確で、正常経路を通る
S1 が痛みの“場所・強さ”を符号化するため
BOLD 信号が大きく変化し、fMRI で検出される
中枢感作・可塑性・情動ネットワークの関与が増える
末梢入力の強さと脳反応が一致しなくなる
痛みが“脳の状態”に依存する割合が増える