干支物語　壱

作品紹介

王に成れる資格を持った者を王子と姫と呼ぶのなら、彼ら三人はまさに王子と姫であった。

この世には物理の声を聴ける者たちが存在する。

その聴ける者たちは、12の属性に分けられる。

それは十二支に喩えられた。

物理は、語る。

『王を決めろ』

森の王子、属性〈申〉の真壁蓮は、その声に突き動かされ、三つ巴の戦いに勝ち王に成った。

そして彼は進化の頂点、神の領域、第七官界への階段を登ろうとする。

王の中の王に成るために。

何故ならその頂きにたどり着いた者は、物理の名のもとに、世界を好きなように創り変える

ことが出来るからだ。

彼は望む。

“森のように、たくさんが共存する世界を創る”と。

しかし彼はその“先”へ行くことが出来ずに居た。

何かが足りない。

彼はいつしか引き寄せられるように、物理の声の存在を教えてくれた恩師である物理学者、

天音虎太郎、通称ネコ先生の元へ向かう。

彼が『神の物理学』を研究している、砂丘の真ん中に建てられた〈空への階段〉へ。

そこには、南の島の神社の巫女であった釈迦堂智美が共に生活をしていた。

彼女は天音虎太郎のもと、〈空への階段〉でいったい何をしているのか？

天音虎太郎の近辺を探る新聞記者の、木南梵人を巻き込んで、申年も終わりを迎える頃に

四人は出逢い、オリオンの輝きの下、それぞれの祈りのカシワデを響かせる。

真壁蓮は果たして森の王として、頂きへとたどり着くことが出来るのだろうか？

上演記録

2016年12月29日　

新井薬師　Art Live Space 「Special Colors」