学生時代に,ピリドキサール5′-リン酸を補酵素とする酵素反応機構が黒板に描かれるのを見て,強い興奮とともに酵素研究の面白さを実感したことが,現在の研究姿勢の原点となっています.「仕組みが分かることの面白さ」に惹かれ,その後20年以上にわたり酵素を対象とした研究に取り組んできました. こうした経験を背景に,松井研究室は2024年4月に公立千歳科学技術大学(Chitose Institute of Science and Technology, CIST)理工学部 応用化学生物学科に設立されました.微生物や酵素のもつ潜在的な可能性に着目し,社会で役立つバイオ技術の創出に取り組んでいます.5年後,10年後に求められる酵素や技術を見据え,応用研究から見えてきた課題を基礎的な研究へと展開し,地方から世界に発信できる研究成果を目指しています.
微生物や酵素によるバイオ技術の開発
松井研究室では,酵素を利用したアミノ酸の定量および有用物質の合成を主な研究対象とし,研究を進めています.微生物や動植物を対象に,特定の酵素活性を指標としたスクリーニングを行い,新規酵素の単離・同定に取り組むことを通じて,「まずさがす」ことを研究の出発点としています.さらに,得られた酵素を目的に応じて最適化するため,ランダム変異導入や部位特異的変異,選抜・評価系を組み合わせた分子進化的アプローチを用い,酵素機能の改変に取り組んでいます.加えて,異種発現系において不活性な封入体として発現する酵素については,機能を損なうことなく可溶性かつ活性を有する形で発現させることを目指し,変異導入手法の開発を行っています.これら一連の研究を通じて,研究成果を基礎的知見にとどめることなく,「使える酵素」「使える技術」として社会へとつなげることを重視しています.
バイオ人材の育成
研究は生まれ持った才能や向き不向きによって決まるものではなく,日々の積み重ねによって身につく「トレーニング」であると考えています.一人ひとりが目の前の課題に主体的に向き合い,試行錯誤を重ねる経験は,研究力や技術力の向上にとどまらず,社会の中で自ら考え,行動し続けるための基盤となる力を育てます.千歳市・北海道という地域性を活かし,他大学との連携や計算科学などの先端的手法も積極的に取り入れながら,限られた環境の中でも「今,何ができるか」を考え,着実に研究に取り組む姿勢を重視しています.地方にいながらも世界とつながる研究に挑戦できる環境を整えることで,学生一人ひとりが自らの専門性を磨き,視野を広げていくことを目指しています.このような研究・教育の取り組みを通じて,当研究室から育った人材が,将来それぞれの分野で羽ばたき,社会や次世代の研究を支える存在へと成長していくことを期待しています.
News
日本農芸化学会2026年度大会で発表します(2026.03)※北海道支部学術集会参加補助の支援 をいただくことになりました
福島大学杉森研との合同報告会に参加しました(2025.12)
電気学会システム研究会で発表しました(2025.11)
応用酵素協会第51回研究発表会で口頭発表しました(2025.11)
D-アミノ酸学会運営委員を担当することになりました(2025.09)
スラナリー工科大学のAssistant Professor Piyanut Pinyou and Mr. Luciranon Sribrahmaが共同研究のため来日 (2025年8月31日~9月14日)
第78回生物工学会大会プログラム編成委員を担当することになりました(2025.07)
オープンキャンパスで研究室見学を実施しました(2025.06)
公益財団法人発酵研究所「継続研究助成」に採択いただきました(2025.05)
公益財団法人発酵研究所「地方の大学にある微生物を研究対象とする研究室が連携して研究・教育を実施するための助成」に採択いただきました(2025.4)