松井研究室は,2024年4月に公立千歳科学技術大学(Chitose Institute of Science and Technology, CIST)理工学部 応用化学生物学科に設立されました.私たちは,地域産業への貢献を目指し,新規微生物や酵素の探索,さらには酵素に対する変異導入による機能改変を通じて,実用的なバイオ技術の開発に取り組んでいます.これらの研究活動を通じて,次世代のバイオ人材の育成にも力を入れています.
微生物や酵素によるバイオ技術の開発
酵素を利用したアミノ酸の定量や有用物質の合成を目指し,以下の3つの柱を中心に研究を進めています.①酵素スクリーニング(探索):微生物や動植物を対象に,特定の酵素活性を指標としたスクリーニングを行い,新規酵素の単離・同定を進めています.②酵素の機能改変(進化分子工学):得られた酵素を目的に応じて改良するため,ランダム変異導入や部位特異的変異,各種選抜法を組み合わせた分子進化的アプローチを実施しています.③可溶性発現技術の開発:異種発現系において封入体として不活性な形で発現する酵素遺伝子に対し,機能を損なわずに可溶性かつ活性を持つ形で発現させるための変異導入手法や発現条件の最適化に取り組んでいます.
バイオ人材の育成
私たちは,千歳市や北海道ならではの地域特性を活かし,この地だからこそ実現できる研究と学びに取り組んでいます.学生が研究を「自分ごと」と捉え,主体性と責任感をもって挑戦できるよう,実践的な学びを支える環境を整えています.さらに,他大学との連携や計算科学など先端的な手法を積極的に導入し,地方から世界へ発信する研究を推進しています.規模の面では中央の大学に及ばない部分もありますが,限られた環境の中で何ができるかを考え,柔軟に挑戦する姿勢こそが大きな成長を生み出します.この環境で培った経験が,学生を地域産業を支える技術者へ,そして国際的に活躍するバイオ人材へと導くことを願っています.
News
D-アミノ酸学会運営委員を担当することになりました(2025.09)
スラナリー工科大学のAssistant Professor Piyanut Pinyou and Mr. Luciranon Sribrahmaが共同研究のため来日 (2025年8月31日~9月14日)
オープンキャンパスで研究室見学を実施しました(2025.06)
公益財団法人発酵研究所「継続研究助成」に採択いただきました(2025.05)
公益財団法人発酵研究所「地方の大学にある微生物を研究対象とする研究室が連携して研究・教育を実施するための助成」に採択いただきました(2025.4)