みんなの集いの場、「アンカー」
2024.10.14 コンサート☆彡
みんなの集いの場、「アンカー」
エピソード ☆朋
今は無き桐朋学園音楽学部事務室
*2023/10/25
ちょうど10日前、ゲストに菊池奏絵さんを迎えて、アンサンブル朋は「パリの人気者」のコンサートを開催させていただきました。
前日のリハーサルでは、ゲストの菊池さんが帰られたあと、AsakoとMakoの二人で演奏するマレのヴィオール組曲をさらっと。
そして、遅めのお昼。なんとなくお蕎麦の気分。しばしのおしゃべり。
この日はお天気がよかったのに、翌日のコンサートの日は、朝から土砂降り。
でも!
まともにマレの組曲を一緒に演奏するのは、学生時代以来。学生の頃、Makoは副科でチェンバロを始めたばかりでコンティヌオという役割も初めて知った・・という状態。マレの初版譜のバス・パート譜のみでコンティヌオを弾くことが怖く、毎回手書きでスコアを作って、Asakoに渡していたっけ。(二人とも、今もその時の楽譜を持っている)
ずいぶん時が経って、今度はスコアは必要なく、もっともっとマレが好きになって、そして一緒に演奏できたこと。
本当に嬉しかった!
マレさん、
マレさんが、朋を引き合わせてくれたかも・・です。
ありがとうございます。
*2023/7/21
秋のコンサートのチラシができあがりました。今回は「パリの人気者」と題したコンサートですが、演奏する音楽家のほとんどは、ルイ14世お抱えの音楽家でもありました。フラウト・トラヴェルソ奏者の菊池奏絵さんをお迎えして、トリオの作品も演奏いたします。
*2023/6/17
二人の連携のもと、4月15日のコンサート「音楽の都 ロンドン」のコラージュをYouTubeにアップいたしました。
お聴きいただければ幸いです。 Asako & Mako
*2023/6/9
10月15日のコンサートでは、Makoとデュオを組んでいる「デュルファール」の菊池奏絵さんが、ゲスト出演してくれます。
まだ演奏曲目は思案中。リハーサルが楽しみです。
それから、4月15日のコンサートの録音を編集しました。
時間が経ってから聴くと、益々いろんなことを思ってしまい、なかなか進められない・・。
でも! 近いうちにYoutubeへ、と思っています。 その節には ご報告させていただきます。 よろしくお願いいたします。
*2023/4/29
今回の朋コンサートの舞台に選んだロンドンを思い、昨日は、二人で日本出店の「Fortnum&Maison」で、「アフタヌーンティー」!
Asakoは、長年住んだイギリスを懐かしむ感じもあり(住んでいた頃にはティーハウスのおけるアフタヌーンティーには滅多に行かなかった)、「タワーがいい!」
Makoは、音楽から離れていた〇十年前に勤めていた所の近くにそのお店があったため、行ってはいたものの、タワーを注文したことはなかった。そのお店は、かつて地上階にあったものの地下に移動。しかし、変わらずあのお店の美しいカラー。すぐに目に留まった。
ルンルン♪気分の二人。
二人分のタワーがあるにも拘わらず、「贅沢しよ~!」と一人分ずつタワーを注文。お店の方は「お、お、お一人ずつのタワーで・・?」と確認。私たちはにっこりと、「はいっ、お願いします!」
「おばちゃんになると言えること、いいこともあるよね!」・・なんて、言い訳がましいことを言って、二人でクスッと笑い。
ロンドンの「Fortnum&Maison」は、ちょうどこの間のコンサートで演奏した音楽家たちの流れの最中、1707年に、フォートナム氏とメイソン氏により共同で創業されている。
Makoは、その創業当時の女王アン(スチュワート朝最後の国王、在位1702-1712)の名前が付されたブレンド「クイーンアン」を注文。Asakoは、現在に近いウィリアム王子とキャサリン妃の結婚を祝して作られたブレンド「ウエディングブレックファスト」を注文。プラス、ひとりずつ、タワー!
紅茶も、お店によって全然違い、淹れ方も微妙に違うよね、という話の流れから、「Twinning」の「レディーグレイ」に、二人ともはまっていたことも判明。それを求めるときは、大概「アールグレイ」ではキツイ。けれど、香りで気持ちはゆったり、そしてすっきりもしたいときだった、という理由も同じ。
そこから、この「フォートナム&メイソン」社のアールグレイだけが、少し苦手だった、とMako。その理由が、昨日初めて判明。
このお店は長らく、いわゆるアールグレイにラプサンとガンパウダーを配合しており、それを「アールグレイ」として販売(現在は、普通のアールグレイも販売)していたそう。そのため、独特なスモーキーかつ薬っぽい感じの味わいになっていた。そのころよりもずっと、自家製ハーブをふくめ、ハーブのブレンドがとても好きになっているMakoは、もう一度その「スモーキーアールグレイ」を試してみたくなった。15年以上前、モロッコでミントとガンパウダーのブレンドティーを年中飲んで大好きになり、ガンパウダーを購入してきたくらいだし。今はスモーキーアールグレイをどう感じるかな?
お席もゆったりとしたところにしていただけ、音楽の話はもちろん、いろ~んな話、そしてもちろん! 朋友のこれからのことも話しつつ「アフタヌーンティー」を満喫しました。
Fortnum&Maison さん、 贅沢なひとときを、ありがとうございました!
*2023/4/22
一週間前は、朋コンサート。
前回のコンサートの時、少しコンタクトが取りにくかったことから、お互いの演奏位置&楽器の置き方、向きなどを考えようと話していた私たち。Asakoは、それによってもたらされる音響的影響もイメージ。
まずは大きな楽器のチェンバロを、聴いて下さる方にも奏者にもいい位置へ置いていただく。結構調整しながら。加えて、私たちがよりよくコンタクトのとれる位置へ、と、チェンバロもガンバも少しずつ移動、微調整。そこへ、Asakoのイメージを重ねていく。・・・あっ、いいかも!
あとは、自分たちそれぞれが、奏でる音たちと聞こえてくる音たちの感覚がしっくりくるような位置へ、と、それぞれ微調整。
島口さんは、それらのことによりどんどん変化していくバランスを、客席側で聴きつつ、更なる微調整をしていってくださる。
結果、思ったより時間がかからず、とても納得する状態にもっていけ、安心してゲネプロを始めることができた。
「こんな贅沢、あっていいのだろうか!!」って、感激しながら。
・・・いつものことながら、
島口さんに感謝です。
*2023/4/20
先週15日の朋コンサート。
天候の心配はあったけれど、澄んだ静謐な空気と柔らかな大気が聖堂内には流れているようで、手元から放たれる音は、遠くへ飛んで、私たちにも再び還ってきた。いとおしいような感覚。
いつもながら、とことんつきあってくださった島口さん、受付のスペシャリストぶんぶん、なぜかいつもスタッフさんに変身している兼岩さん、
潮見教会の神父さまたち、お優しい信徒さん、
本当にありがとうございました。
みなさまに支えていただけるからこそ、私たちは音(音楽)と丁寧に向き合えます。心から感謝しています。
帰り道、くだけちゃった私たちの写真を、Kくんが撮ってくれました! ありがとね~
*2023/4/14
明日は朋コンサート。今日はその最後のリハーサル。(明日に余力を残すため)サクッとやろうね!と、私たち。
演奏予定のアーベル 3曲、クリスチャン・バッハ 2曲は、二人がそれぞれ、いろんな顔をもっているみたい。他の作品たちもそこへ色を添えていってくれている。
明日は、いらしてくださるお客さま、スタッフ、そして楽器たちにとって、酷な天候みたい。
でも、教会内は先日迎えた復活祭でお祝い中。
その雰囲気のなか、作品たちが、歌ったり遊んだり語ったり、自由な姿をみせていってくれますように !
*2023/03/23
昨日は、2回目のリハーサル。益々アーベルの魅力に感じ入ってしまいました。
演奏曲のうちの2つは、出だしの二小節間、バスには同じ音が8個続きます。でも、全然違うニュアンス。どちらもとっても素敵。
クリスチャン・バッハも、彼の作品によくでてくる前打音などが、心地よく響いてくる。
お昼間には、近くの広場にある満開の桜たちをちょっとお花見。帰りは、お昼間にも気になっていた、かわいらしく、しかし見事に咲き誇っている満開のつつじを観に行きました。
「植木屋さんのお仕事って、ほんとうにすごい~」と話しつつ、その前でパシャリ!
*2023/03/04
昨日は、4月15日のコンサートの初リハーサル。といっても、まだプログラムの半分は、
はっきりしていない状態。まずは、プログラムに入れて良いかどうか迷っている作品から
音だしをしてみました。
ん!? えっ? きゃーーーー! あははは!!!
その展開にびっくりしつつ、思わず声をあげて笑いこける私たち。
でも、
これにしよう! では、なく、
書かれていない創意を、思い切って、音にして加えてみる?
もう一回。
でもやっぱり、涙がでるほど笑ってしまった。管楽器の人だったら、どうなったんだろう???
結果、プログラムへ入れることは決定!
そのほかの候補曲も、音だし。
当たり前のことだけれど、作曲家が同じでも、作品が違えば醸し出されるものは全く異なる。奏する側は、その多様さを明確に表出していかないと、ね。
でも、こ~んなにいろんな世界を繰り広げてくれるなんて、すごいなぁ~・・と思いつつ、どこかで、でもひとりの人間の心のなかだって、自覚しているよりずっと多様・・・なんて思ったりしている。(おこがましいです、スミマセン・・)
しかし、それを「音の連なり」や「リズム」で表出できてしまう作曲家さんたち、ほんとにすごすぎ!・・と、毎回思います。
それにしても、やっぱりたのしいリハーサル。
音楽っていいな、って、しみじみ思うひととき。
リハーサルのお部屋での写真撮影を忘れたので、帰り道、都会の夜景と共に撮ろう!
しかしチビさんの私たち、短い腕での自撮りは夜景があんまり写らず・・・
でも、いろいろなこと、感じられたから、いいよね♡
都会の夜景さんも、そんな私たちをほっとさせてくれました。 ありがとう。
*2023/2/12
ただいま、4月15日のコンサートで演奏する作品を厳選中。時代と共に、ガンバやチェンバロが新しい響きへ導かれていっているのを感じつつ・・。
当時の「バッハ・アーベルコンサート」(チラシの透かしは、当時のチケットの一部分)では、彼らの作品 のほか、どんな作品が演奏されたのかしら。
#文中のバッハは、J.S.バッハの末息子J.C.バッハです
*2023/1/26
「アンサンブル朋」コンサート、4月15日(土)に決定!
昨年末の久々の朋コンサート。演奏した珠玉作品のなかでも、新時代のアーベルの作品はドラマティック。
そのコンサート中には、Asakoが、当時のロンドンで行われていた、J.S.バッハの末息子 J.C.バッハとアーベルによる公開演奏会=「バッハアーベルコンサート」のことをお客様にお話しいたしました。
今回はその流れに乗せ、またそれより少し前のロンドンで活躍した音楽家たちの作品も含めて演奏をいたします。
会場は、北原怜子さん、ゼノ修道士をご存じの方ならピン!とくる「カトリック潮見教会」です。
*2023/1/7
昨日は、二人で色々作業&相談。
そして今日・・ 偶然、見つけてしまいました!
野尻湖での
なつかし~い 私たち ♡
・・高校2年時? 3年時?
*2023/1/5
あけましておめでとうございます。
昨年末、久しぶりの朋コンサートを開催することでき、とても幸せでした。
これもいらしてくださったみなさま、関わってくださったみなさまのおかげです。ありがとうございました。
今春も会場を歴史ある教会に移してコンサートを開催予定です。
みなさま、お運びいただけましたら幸いです。
今年もよろしくお願いいたします。
*2022/12/17 のコンサート編 (3)2022.12.22
「アンサンブル朋~ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロによる欧州の旅~」コンサートが終了いたしました。
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寒い日でしたが、会場いっぱいのお客様に聴いて頂くことができました。ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
チェンバロ製作家の島口さんは、チェンバロの調律だけでなく、様々なご協力をくださいました。
多くの方々に支えていただき、人とのつながりは大切だな、と再確認させられる一日でした。
様々な国、異なった時代の曲を弾く演奏会でした。楽器を持ち替える事なく演奏したので、音色、表現に変化がつくように工夫してみました。それぞれの曲の個性を聴き取ってくださって頂けていれば幸いです。
お越しくださった多くの方がアンケートにお答えくださり、皆さまのお声を聞くことができました。今後の糧とさせて頂きたいと思います。 (森川)
楽器製作者の島口さんは、本番当日、調律以外にもたくさんのことをしてくださいます。当日のリハーサルでは、奏者のちょっとした仕草も見逃さず、何を求めているかを瞬時に汲み取り実践してくださいます。何度も何度も根気よく。これが本当にありがたく、毎回のことながら、島口さんなくしては成り立たない・・と、いつも思います。心から感謝しております。
また、会場を温かな雰囲気にしてくださったお客様、アンサンブル朋を忘れずにいてくださりお声がけくださったみなさま、アンケートやその後にご感想をお寄せくださった方々、そして私たち奏者を陰で支えてくださったスタッフの方々、本当にありがとうございました。
今回は初めて出逢う作品がたくさんありました。それぞれがとても魅力的でした。いらしてくださったみなさまにも、そのようにお届けできていたら・・・と願うばかりです。せっかく出逢ったこれらの作品ですから、これからも大切にしていきたいと思います。
とても寒い日でしたのに、お越し下さり、私たちと共に「音楽による欧州の旅」をしてくださったみなさま、ありがとうございました。 (外川)
*2022/12/17 のコンサート編 (2)2022.12.16
最後のリハーサル! やっぱり楽しかった!!!
たった一個の16分音符、見逃してしまうほどの小さな16分音符。ちょっと意識する。あそこのも、ここのも。
・・あれ? 次の世界が全部変化していってくれるじゃない。なんにもしてないのに。
きっと、こんなふうに気づけることが大事なんだなあ~。
明日の本番中も、見つけたり感じたり気づけたり、できますよ・う・に。
楽しみ。
いらしてくださるお客様、ありがとうございます。
明日、私たちではなく「音楽」が、みなさまのお心へ沁み通っていってくれますように。
*2022/12/17 のコンサート編 (1)2022.11.18
来月のコンサートの演奏曲が、全て決まってのリハーサル。
始める前なのに、写真をパチリ!
前日から楽しみだったけど、やりながら、おわってからもしみじみ、
リハーサルって いいなぁ~・・・
第二回 ③ 2022.10.30
今回は、予告通り、大崎先生がホームルーム時間外に私たちにしてくださった印象的な事柄を記させていただこうと思います。
ある時、大崎先生がホームルームの時間、
今、「アマデウス」という舞台をやっているから、希望者は連れて行くぞ! 希望者は?
とのこと。 戸惑う私たち…。
事の次第がよくわからないなりに、おそらくほとんどのクラスメイトが手を挙げたように思います。そして他のクラスの友人にも、声がけしてもいいと言われた気がします。
舞台当日、どこでどう集合したかは覚えていませんが、二階の座席に入る前のロビーや、ホール内の座席、座席からみえる舞台は、私たちが見慣れてきているコンサートホールとは随分違った印象だったことは覚えています。響きもあまりなさそうだし、なんとなく、みんな少し落ち着かず。二階席のほとんどを、私たちが占めていたような気もします。
その舞台は、現在の松本白鸚さん(当時は市川染五郎さん)がサリエリ、また江守徹さんがアマデウスを演じられるピーター・シェーファー演出の舞台「アマデウス」でした。日本における「アマデウス」初演翌年のことです。
この舞台は、主役のお二人の役者さん以外は替わっていきながら、とても長く続いたようです。
巡り巡って、3年前、その舞台へご出演なさった役者さんとのご縁ができました。その役者さんは、今度の「アンサンブル朋」コンサート =私たちの演奏を聴きにいらしてくださいます。
過去のたった一日の出来事のあの舞台。記憶の底に眠っていましたが、その役者さんとお会いすることで、突然蘇ってきました。
当時、ハイドン学者としてとても多忙だった大崎先生、そして私たちの担任の大崎先生。
とても大変な思いをして連れて行ってくださったことと、今になっては思います。
本当に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました!
*****
これまで3回に渡り、担任の大崎先生が私たちにしてくださった、とても心に残っていることを記させていただきました。
こんなにもいろんなことを与えていただきながら、なんとなく通り過ぎてしまっていましたが、年齢を重ね、それなりに様々な経験もしてきた私たち。忘れかけていた昔のことや、辿ってきた道のりを思うと、全てに繋がりがあって自分たちを形成してくれているような気がいたします。
大崎先生、
こちらの勝手な記し方により、たくさんの失礼をいたしておりますが、心から感謝しております。本当に、ありがとうございました。
Asako&Mako
旧桐朋校舎 大崎先生はいつも音楽学研究室
第二回 ② 2022.10.28
金木犀の香りも薄れ、木々の紅葉があでやかになって参りました。
寒さもグン!と感じるようになってきましたので、みなさま、暖かくなさってお過ごしくださいませ。
今回は、前回とは異なる、学者大崎先生のお姿をお伝えしたいと思います。
私たちにとって、実技の練習やレッスンの大変さなどから開放される週一回のホームルームは、とても楽しみであり、嬉しい時間でもありました。しかし、担任の大崎先生は連絡事項を数分で終え、「今日は原典版について話すから」という具合・・・。久しぶりにクラスメイトに会った私たちは、ちょっとがっかり。
ある時のこのホームルーム時間内に、AsakoとMakoにとってはもちろん、B組の弦楽器専攻の人たちにも大きな影響を及ぼした出来事がありました。
大崎先生が、私たちのために、コンサートを用意してくださったのです。
ある日のホームルーム。
「部屋、移動するぞ!」と、先生の一言。
当時の桐朋学園音楽科(高校大学共通)は、新館、旧館と呼ばれる2つの建物があり、新館にはYAMAHAを筆頭に海外のメーカーのピアノも置かれ、オーケストラ専用の部屋や楽器庫などもありました。旧館には、金管楽器専攻の人たちが一階の響くスペースで常に練習しており、二階より上の部屋には、比較的KAWAIのピアノが多くおかれていた気がします。また学校全体のピアノなどをみてくださる調律師さんたちのお部屋もありましたし、一番上の階には図書館がありました。私たちは図書館に行く以外、旧館へ行くことはあまりありませんでした。
先の大崎先生の一言は、新館の地下室がクラスの部屋であった私たち(代々「もぐら」と言われていた所。そこにはとてもいいアップライトピアノ、OHHASHIがありました。)にとって、慣れない旧館二階の一番奥、暗いイメージの部屋へ移動する、ということでした。行きついた先は、古楽器科専用の部屋。(Asakoは、高校二年生の時から副科でヴィオラ・ダ・ガンバを履修していたので、その部屋の存在は知っていました。)
入ってみるとヒヤッとする(温度湿度管理のため)その部屋には、私たちが座る席が用意されており、前にはまるで誰かが演奏するかのように椅子と譜面台が置かれていました。なにが起こるのかわからない私たちは、ダンマリ。これから起こることをドキドキしながら待っていました。
大崎先生が登場し、続いて入ってきたのは、有田正広氏、寺神戸亮氏、鈴木秀美氏。弦楽器専攻の人たちはオーケストラの授業があるため、有田氏以外の演奏者を知っているようで、とても驚いていました。
その時の演奏曲目は覚えていませんが、素晴らしい演奏だったことと楽器の響きの新鮮なこと、美しいことに、誰もが感激したことは記憶に残っています。互いに合わせる目と目が、輝いていたことも。
おそらくこのことも大きなきっかけとなり、翌年からの大学進学の際、私たちの学年から古楽器(現在でいうピリオド楽器のことです。)演奏への興味を持つ者が多くなったのかも・・・と思います。
AsakoとMakoのベースにも、この体験はきっと流れていると思います。
大崎先生は、当時ハイドン学者としてのご活躍、ご研究をなさっていましたが、私たちに、当時の楽器の存在や響きを伝えようと、このコンサートを企画してくださったのでした。
大崎先生、演奏してくださった今や古楽界の重鎮のみなさま、本当にありがとうございました。
次回は、大崎先生がホームルーム時間外にしてくださったことをお伝えし、大崎先生シリーズを終えたいと思っています。
第二回 ① 2022.10.8
こんにちは。
前回初めて掲載させていただきましたエピソードから約三週間。
一昨日昨日と、この季節にはあり得ないほどの寒さがやってきていました。
みなさま、この急激な気温差には十分お気をつけくださいませ。
今回から、私たち朋メンバーは、それぞれの表記を、竹嶋はYuko、森川はAsako、外川はMakoと、普段お互いが呼び合っている言い方で記させていただこうと思います。外川は、入寮の際、当時アイドルだった石野真子さんに似ていると言われたことからMakoと呼ばれるようになり、かなりの人がしばらくの間「Mako」が本名と思っており、色々面白いことが起きました。
前回は「アンサンブル朋」の結成に至るまでをお話しいたしましたが、今回から数回にわたり、2022年12月17日のコンサートの出演者AsakoとMakoの担任をしてくださった先生のことを書いてみようと思います。
高校時代のAsakoとMakoは同じクラス、Yukoは隣りのクラスでした。私たちの学校は、高校3年間クラス替えはなく、座る席も自由でした。でもなんとなく、個々の席は定着していきました。不真面目気味の寮生たちは、どのクラスも全員、一番後ろの席を陣取りました。Asako、Mako、Yukoも、もれなく!
高校2、3年時のAsakoとMakoがいたB組の担任は、音楽史家の大崎滋生先生。今はベートーヴェン研究を主とされているようですが、当時はハイドン研究者として既に著名な先生でした。「学者先生!」という感じのこの先生に緊張気味の私たち。それぞれの実技の先生との関係より、クラス担任の先生とは距離を縮めたい気持ちのB組の仲間たち。あれやこれやと、先生へ、仲良くなるためにちょっかいをだしておりました。先生としては大変ご迷惑なことだったと思います。ごめんなさい。
しかし、みんなほんとに粘り強かった!!
毎日当たり前のようにひとりで向かう数時間の実技練習の効果もあってなのか、私たちそれぞれは先生に対し、根気よく、親しくなりたい気持ちを大事にしながら接していました。そのうち次第に先生も根負け・・?少しずつ先生も私たちに心をゆるしてくださるように感じられ、その先生の変化に敏感な私たちは、いちいちとても喜んだものでした。
先生は夏休みなどの休暇に入ると、ご研究や学会のため、ドイツやオーストリアへ渡欧なさいました。そして帰国の度、私たちB組の生徒一人一人へお土産のチョコレートを買ってきてくださいました。当時はまだ珍しい、本物のほうの「モーツァルトクーゲルン」などです。
先生は体育祭の時も、私たちと共に学年別の色分けジャージをお召しになってくださり、応援してくださいました。このことは、普通の高校の担任教師のお役目としてはごく普通のことと思われますが、音楽学者の大崎先生が私たちの「担任」をお務めくださることに私たちはびっくりしましたし、大崎先生の第一印象からこのようなジャージに着替えてくださるとは夢にも思っていませんでした。嬉しかったです。
その体育祭は普通科の校庭や体育館をお借りして開催され、普通科の方々は、授業の合間の休憩時間などにご自分たちの校舎ベランダから私たちのさまを眺め、野次を飛ばしたり、もちろん応援もしてくれました。また、その体育祭まで導いてくださった先生方には、当時の全日本バレー女子のコーチ、陸上短距離オリンピック選手のコーチもいらっしゃったのですが、生徒のほうは、というと、もちろん優れた身体能力の持った子もいましたが、逆のとんでもない状態の子もいたり・・。後者の子を目の当たりにした時の体育の先生方の反応も忘れられません。
「どうやったらそんなことができるの~!?」と、おそらく普段素晴らしい選手たちをご覧になっている先生方にとっては、見たことも考えたこともない光景が目の前に繰り広げられるのですから、それはそれは仰天なさったことでしょう。お腹を抱えて笑いこけ、逆にお気遣いもくださり、「なかなかこんなことはできないよ!」と必死にまじめな顔をしてくださったり・・。
先生方って、大変ですね。でも勝負ごとのはずの体育祭も、このように和気藹々の雰囲気。楽しかったです。
大崎先生はその体育祭の時も、ドン!と椅子に座りつつもいつもニコニコしてらして、いちいち報告にくる私たちを見守っていて下さいました。写真を求めれば応じ、体育祭終了後にはアイスをご馳走してくださいました。また、高3の最後の文化祭の時、B組は三組に分かれ、「白雪姫」「フランダースの犬」「死神」を選び、元々シナリオのあるそれらの作品を短く書き直し、大工仕事や縫製、近くの東宝からは着ぐるみもお借りして上演しました。その時も、先生はずっと温かな眼差しで見守ってくださいました。文化祭最後の日=後夜祭の前にも、小さなごちそう!
そんな風に私たちと関わっていってくださる大崎先生のことを、私たちはどんどん大好きになっていきました。
しかし、大崎先生の本業は音楽学者。いつもいらっしゃるお部屋も職員室ではなく、音楽学のお部屋。
私たち一人一人にしてくださった面接も、必ず、その音楽学のお部屋でした。
次回は、学者大崎先生のお姿をお伝えしたいと思います。
(②へ続く)
第一回 2022.9.18
こんにちは。
アンサンブル朋のHPから、この「エピソード☆朋」のページを訪れてくださったこと、大変嬉しく存じます。
ありがとうございます。
今回は第一回めということで、「アンサンブル朋」結成までのことを記させていただこうと思います。
私たち朋メンバーは、高校の同級生。学校の寮生活も共に送っておりました。そのうち、それぞれ一人暮らしをするため、退寮していきました。私たちの学年は大変仲がよかったため、おかげさまでとても楽しい高校生活を送らせてもらいました。大学進学後は、皆それぞれの道を歩むようになりましたが、高校からの同学年の結びつきは強いまま。今も、国内外問わずグループLINEで繋がり、それぞれの体験やびっくり情報、美しい写真や懐かしの写真の掲載、音楽情報ももちろん、様々なやりとりが飛び交っております。
話を戻します。
私たち朋の三人は、卒業後、森川はオランダに留学。ドイツでも学び、イギリスのガンバコンソートグループのメンバーとして活動しました。また、竹嶋は古楽器科ではなく弦楽器科ヴァイオリン専攻を卒業したのに「気づいたらバッハ・コレギウム・ジャパンで弾いていた」と本人も言うくらい、バロックヴァイオリン奏者としての道を歩んでおり、前述のオーケストラを筆頭に、他の日本の古楽器(ピリオド楽器)のオーケストラや室内楽で活躍しました。一方、外川は、卒業と同時に音楽から全く離れた仕事をしていましたが、やはり昔の畑が恋しくなったのか、音楽の世界へ戻ってきました。
そんな三人が、2009年、共に演奏をする機会を持てました。
きっかけは、たまたま日本人グループでの演奏のために帰国していた森川の演奏を外川が聴きにいき、その演奏に感激し、コンサート後、森川を楽屋に訪ねたことに始まります。森川は演奏メンバーの誰よりも早く、楽屋からぴょこん!と姿を現わしました。(かつての高校時代の森川を知っている者には、容易に想像できる、本人はなんとも思っていないけれど、周りは可愛いやら可笑しいやら…と感じる、森川の変わらぬ仕草のひとつです。) どの扉から出てくるのかなぁ…と待ち受けていた外川の真ん前に、彼女は姿を現したのです。
外川が聴きにきているとは夢にも思わぬ森川でしたが、ひと目みるなり、「きゃー!」と抱き合った二人。ものすごく久しぶりの再会を喜びつつも、連絡先を交換しました。(そういえばその時、クラスメイトだったフルートの野口巳生ちゃんにもバッタリ!)
竹嶋と外川は、既に共に演奏しておりましたので、外川は竹嶋へそのことをすぐに連絡。私たちの気持ちはすぐに決まり、その後、久しぶりの再会を三人で改めて喜びあい、それまでのそれぞれが歩んできた道も大切にしながら、「アンサンブル朋」を結成することにいたしました。2012年のことです。
アンサンブル名「朋」の発案は、森川。
共にすごすリハーサルやその休憩時間、コンサート本番、打ち上げ、どれもが、力の抜けた、とても温かいものでした。怖いものも隠すものもない感じ。15歳から衣食住を共にしてきた、というのは、こういうこと…?
あの頃のなんとも言えない気持ち、ちょっとしたことでの阿吽の呼吸にびっくりしたり…。
今でも、あの時の様々なことは鮮明に思い出せます。
メンバーが距離的に離れていること、またそれぞれの事情により、「アンサンブル朋」のコンサートができない時期も長くありました。
今年は、森川の帰国があり、外川と二人ではありますが、久しぶりに「アンサンブル朋」としてのコンサートが開催できること、とても幸せに感じております。
コンサートは、2022年12月17日(土)です。
みなさま、よろしければ、是非、お運びくださいませ。
次回は、森川と外川、二人の昔のエピソードのひとつをお届けしようと考えております。
また、このページをお目通しいただけたら幸いです。