2022/03/14 16:18:21, 2021/07/06 15:51:17
EAIIG調査
以下の約款は参考資料として、多少、わかりやすく修正しています。悪しからず御了承ください。
標準外航利用運送約款(平成二年運輸省告示第五百八十六号)
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 外航利用運送の引受け(第六条―第十九条)
第三章 運送品の引渡し(第二十条―第二十二条)
第四章 運賃・料金(第二十三条・第二十四条)
第五章 責任(第二十五条―第二十九条)
第六章 荷主の責任(第三十条―第三十三条)
第七章 その他(第三十四条―第三十六条)
(定義)
第一条 この約款において「国際貨物」とは、本邦と外国との間において運送される貨物をいう。
2 この約款において「外航運送」とは、船舶運航事業者(海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第二項の船舶運航事業を経営する者をいう。)の行う国際貨物の運送をいう。
3 この約款において「外航利用運送」とは、外航運送を利用する国際貨物の運送をいう。
4 この約款において「外航貨物利用運送事業者」とは、外航利用運送を行う事業者をいう。
5 この約款において「荷主」とは、運送品の荷送人、荷受人又はこの約款に基づいて発行された船荷証券の所持人をいう。
6 この約款において「運送品」とは、外航利用運送の委託を受けた国際貨物をいい、その貨物を荷主がコンテナ、パレットその他これらと類似の運送用具に詰めた場合には、そのコンテナ、パレットその他これらと類似の運送用具自体をも含むものとする。
7 この約款において「一計算単位」とは、国際通貨基金協定第三条第一項に規定する特別引出権による一特別引出権(SDR)に相当する金額をいう。
(至上約款)
第二条 この約款は、国際海上物品運送法(昭和三十二年法律第百七十二号)の規定に基づいて効力を有するものとする。ただし、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書(以下「ヘーグ・ヴィスビー・ルール」という。)類似の性格を有する他の立法が強行的にこの約款に基づく外航利用運送に適用される場合には、この約款は、当該立法(以下「ヘーグ・ヴィスビー・ルール立法」という。)の規定に基づいて効力を有するものとし、この約款には、国際海上物品運送法又はヘーグ・ヴィスビー・ルール立法が摂取されているものとみなす。
2 この約款の規定が国際海上物品運送法、ヘーグ・ヴィスビー・ルール立法又はこの約款に明示されている事項に強行的に適用される他の法律若しくは規則に抵触するときは、当該規定は抵触する範囲で無効とし、それ以上の範囲には及ばない。
(解説と理解) 「この約款の規定が ・・・に抵触するときは」とあるので、このとき「抵触する範囲で無効」である。
(適用範囲)
第三条 この約款は、外航貨物利用運送事業者が荷送人から運送品を受け取ったときから、当該運送品を荷受人に引き渡すときまでの外航利用運送(外航運送に係る第二種貨物利用運送事業者の行うものを除く。)に適用する。
(解説と理解) 日本国内航路では適用外と言えそうだが、実際の航路が国際航路と国内航路があるとき、適用されると理解しておく。
(準拠法及び裁判管轄)
第四条 この約款に基づく外航利用運送契約は、別段の定めのない限り日本法に準拠し、外航貨物利用運送事業者に対する一切の訴訟は、外航貨物利用運送事業者の本社の所在地を管轄する地方裁判所に提訴されるものとする。
(責任制限法等の適用)
第五条 この約款の規定は、外航貨物利用運送事業者に対して強行的に適用されるすべての国の法律又は規則により認められる法定の保護又は免責若しくは責任制限を制約し、又は剥奪するように運用されてはならない。
(解説と理解) 「この約款の規定は、・・・されてはならない。」とある、つまり「外航貨物利用運送事業者に対して強行的に適用されるすべての国の」は「法律または規則」の両方に掛かる、そして、それらにより認められる「法定の保護または免責または責任制限」を「制約し、または剥奪するように運用」されてはならない、と理解すべき。
(運送指図書)
第六条 荷送人は外航貨物利用運送事業者の請求があったときは、次の事項を記載した運送指図書を署名又は記名押印の上、運送品一口ごとに提出しなければならない。ただし、外航貨物利用運送事業者が必要ないと認めた事項については、これを記載することを要しない。
運送品の種類
運送品の容積、重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号
荷送人の氏名又は商号
荷受人の氏名又は商号
作成地及びその作成の年月日
高価品については、その種類及び価格
その他外航利用運送に関する必要な事項
(解説と理解) 荷送人 とは、実際に荷物を送る運送業者 人物、荷受人 とは、その荷物を受け取る人。2022/03/15 17:08:51
(船荷証券の発行)
第七条 荷送人の請求があったとき、外航貨物利用運送事業者は、運送品の全部の引渡しを受けた後に、次の事項を記載した船荷証券を署名の上、交付する。
運送品の種類
運送品の容積、重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号
外部から認められる運送品の状態
荷送人の氏名又は商号
荷受人の氏名又は商号
外航貨物利用運送事業者の氏名又は商号
外航利用運送に使用する船舶の名称及び国籍
船積港及び船積みの年月日
陸揚港
運賃及び料金
数通の船荷証券を作成したときは、その数
作成地及び作成の年月日
(解説と理解) 船荷証券を発行するのは「外航貨物利用運送事業者」となる。荷物の運送を引き受けた元受に発行責任がある、と理解する。
2 前項の船荷証券に記載された運送品に関する明細は、前条の規定による荷送人の申告に基づくものであり、荷送人は、その申告した明細が正確であることを担保し、それらの不正確から生じるすべての損失、損害、費用、責任、罰金及び科料について、外航利用運送事業者に補償しなければならない。
(解説と理解) 荷送り人の申告に基づき船荷証券が発行されるため、厳しい条文となっている。虚偽申告は大きな賠償になる。
(船荷証券の不実記載)
第七条の二 外航貨物利用運送事業者は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の船荷証券所持人に対抗することができない。
(解説と理解) 「外航貨物利用運送事業者は・・・善意の船荷証券所持人に対抗することができない。」とは、虚偽記載を知らない善意の所持人の善意の主張に対して「嘘や間違いが書いてある」という告白で無効を主張でき無い、ということ、と理解する。たとえば、価値10万円の物品を、何か悪意により1万円と偽って発行したとき、善意の所持人は、それ以上、支払い義務が無い、ということになる、と、そのように理解しておく。しかし、如何なる不実記載も有効になるとは考えにくい。この条文が成立するには正当な仲裁や裁判が必要と考える。不実記載を戒めるための条文だと理解する。2022/03/15 11:18:34
(混載及びコンテナの使用)
第八条 外航貨物利用運送事業者は、特に反対の指図が書面により明らかにされない限り、運送品を他の荷主の運送品と積み合せて外航利用運送することができ、また、受取時に運送品がコンテナに詰め込まれていない場合には、運送品をコンテナに詰めて外航利用運送することができる。
(運送方法と経路)
第九条 外航貨物利用運送事業者は、運送品の受取、引渡し、保管、運送方法、運送経路又は積替えに関して、相当な選択の自由を留保する。
(政府の命令等)
第十条 外航貨物利用運送事業者は、運送品の受取、運送、引渡しその他の事項に関して、すべての政府、国際機関又は外航利用運送に使用する船舶に係る保険に基づいて正当な権限を有する者の発するすべての命令、指示又は勧告に従う自由を有する。
2 前項の命令、指示又は勧告に従って取られた行為は、外航利用運送契約上の運送に含まれるものとみなされる。
(解説と理解) なぜか「・・・係る保険」とある。「・・・従う自由を有する。」とあるので、「従う義務」では無いと理解する。乗務員の安全と船舶の安全航行、荷物の保全が優先する。
(不測の事態)
第十一条 この約款に基づく外航利用運送契約の履行が、相当な努力を尽くしても避けることができない障害、危険又は困難により影響を受けるか、又は受けそうな場合には、外航貨物利用運送事業者は、荷主に通知することなく、荷主の利益のために、運送品の全部又はその一部を外航貨物利用運送事業者が選択するいかなる港又は場所においても、陸揚げ又は荷揚げし、保管その他の必要な措置をとることができる。この場合において、陸揚げ、荷揚げ、保管その他の必要な措置は、外航利用運送契約に基づく完全な引渡し及び外航利用運送契約の完全な履行とみなされ、運送品に関する外航利用運送契約に基づく外航貨物利用運送事業者の責任は終了するものとする。
2 前項の場合において、外航貨物利用運送事業者は、外航利用運送の運賃及び料金を受け取る権利を有し、かつ、荷主は、かかる港若しくは場所までの運送又はかかる港若しくは場所における陸揚げ、荷揚げ、保管その他の措置に要した費用を全額負担するものとする。
(解説と理解) なぜか「・・・外航貨物利用運送事業者の責任は終了」とあるので終了するらしい。また、異常終了でも、荷主に費用全額負担の義務があるということ。この条文では揉めそうだ。
(積付け)
第十二条 外航貨物利用運送事業者は、荷送人が特段の指示をしない限り、コンテナに詰められた運送品を、荷送人に通告することなく、甲板上にコンテナを積載することが可能な船舶に甲板積みすることができる。この場合においては、これに反する慣習があっても、船荷証券に甲板積みである旨の特別の記載、記述又はスタンプを付することを要しない。このような運送品は、第二条の規定により適用されるヘーグ・ヴィズビー・ルール立法の適用を受け、かつ、その積付けは、共同海損を含め、全ての目的のために艙内積みされたものとみなす。
2 外航貨物利用運送事業者は、コンテナに詰められていない運送品であって、甲板積みで運送され、かつ、そのように運送されている旨が船荷証券に記載されている運送品の不着、誤渡し、滅失、損傷又は遅延については、それが、外航貨物利用運送事業者の過失又は船舶運航事業者の過失若しくはその船舶の不堪航によって生じたと否とを問わず、一切の責任を負わない。2021/07/07 10:19:54(疑義あり)
(解説と理解) なぜ「・・・一切の責任を負わない。」となるのか理解が難しい。
(生動物)
第十三条 生動物の運送引受がなされたときは、その受取、船積み、手入れ、積付け、運送、荷卸及び引渡しは、荷主の危険負担においてなされるものとし、運送品の受取、運送及び保管のための船舶運航事業者の船舶の堪航、準備、人員配置、装備及び補給状態について、外航貨物利用運送事業者は、いかなる保証又は約束もしない。
(解説と理解) 生きている動物の運送扱いは、厳しいようだ。
(危険品及び禁制品)
第十四条 危険性を有する運送品は、その性質、品名、ラベルの種類、分類、無害化の方法並びに荷主の氏名及び住所をあらかじめ書面により外航貨物利用運送事業者に申告し、危険品の性質を包装の表面に明示しない限り、その運送を引き受けない。この場合において、荷送人は、外航貨物利用運送事業者がその運送に同意する旨の特別の積付指図書を受けなければならない。
2 運送品が引火性、爆発性、有害性又は危険性を有するものである場合、その性質について外航貨物利用運送事業者が了知し、同意して受け取られたときでも、運送品が、いかなる運送手段又は他の財産の全部又はその一部に対して危険を及ぼすようになったときは、いつでも、いかなる場所においても、荷主に賠償することなく陸揚げし、投貨し、破壊し又は無害にすることができ、かつ、それらの処分のために要した諸費用は、荷主の負担とする。
(解説と理解) 「投貨し、」は「投荷し、」の間違いであろう。
3 運送品が有害となり、腐敗し、加害性若しくは不快性を有し、これ以上運送若しくは保管を継続することが適当でない場合、人体若しくは他の財産に危険を及ぼすと判断された場合、公的機関によって収容若しくは廃棄を命ぜられた場合、運送品が禁制品である場合又は船積港、陸揚港、寄港地若しくは運送中のいずれの場合における法律若しくは規則によって禁止されているものである場合には、これらの運送品は、通告なしに、直ちに、投荷され、破壊され、陸揚げされ、返送され、保管され、いかなる場所においても揚荷され、またはその他の方法により処理されることができる。この場合において、すべての費用と危険は、荷主の負担とし、外航貨物利用運送事業者の責任は、そのときをもって終了し、いかなる滅失又は損傷に対しても責任を負わない。
(解説と理解) 危険物の運送責任は、厳しく荷主にあるようだ。
4 荷主は、荷主の無申告若しくは不正確な申告又は不適当な荷造りにより外航貨物利用運送事業者が被った損害について、外航貨物利用運送事業者に補償しなければならない。
(冷凍を要する運送品)
第十五条 冷凍を要する運送品については、外航貨物利用運送事業者と荷主との間で事前に書面による協定が締結され、かつ、割増運賃支払の契約がなされない限り引き受けられない。
2 外航貨物利用運送事業者が冷凍を要する運送品を特別な注意の下で運送することに同意したときは、外航貨物利用運送事業者は、冷凍設備の装置維持に相当な注意を尽くすものとする。ただし、外航貨物利用運送事業者は、これらの冷凍設備の隠された欠陥、故障、破損、停止又は性能低下によって生じたいかなる種類の運送品の滅失又は損傷についても責任を負わない。
(解説と理解) 冷凍品も、扱いは厳しいようだ。
(高価品)
第十六条 白金、金、銀、宝石、貴金属、放射性物質、高価な化学物質、金銀塊、正金、通貨、流通証券、有価証券、文書、証書、絵画、刺繍品、芸術作品、骨董品、相続財産、あらゆる種類の蒐集品又は荷主にのみ特別な価値のある物品を含めたすべての高価品の滅失又は損傷について、それらの真実の性質及び価値が運送品の受取に先立って、荷送人により書面で通告され、船荷証券に記載され、かつ、それについての従価運賃が前払いされているのでなければ、外航貨物利用運送事業者は一切の責任を負わない。2021/07/07 10:44:39(疑義あり)
(解説と理解) 貴金属品や有価証券など高価な物品の扱いは、厳しいようだ。
(重量物)
第十七条 一個又は一包当たりの総重量が一メトリックトンを超える場合には、その重量物は、外航貨物利用運送事業者による受取の前に、荷送人により書面で通告され、かつ、その運送品又は包の外面に縦五センチメートル以上の文字と数字で明瞭に、消えないように表示されなければならない。
2 荷送人が前項に基づく義務に違反した場合には、外航貨物利用運送事業者は、運送品の滅失又は損傷について責任を負わず、荷送人は、自己の違反によって生じた一切の財産の滅失若しくは損傷又は人身の障害について責任を負い、当該違反の結果として外航貨物利用運送事業者の被った損失又は責任に対して補償しなければならない。
(解説と理解) 重量物の取り扱いは、荷送り人に対して、厳しいようだ。
(自動車その他の無包装運送品)
第十八条 自動車、鉄道車両、トラクタ、機械その他の無包装運送品についての外観上良好である旨の船荷証券上の記載は、これらの運送品が受け取られたときに、外航貨物利用運送事業者としてなすべき通常の注意をもってしても発見できない曲損、凹損、掻き傷、穴、切り傷及び打撲傷がなかったことを意味するものではない。包装されていないことにより、当該運送品に生じた滅失又は損傷については、外航貨物利用運送事業者は、いかなる場合にも責任を負わない。
(解説と理解) またしても免責規定。
(鉄、鋼鉄及び金属製品)
第十九条 鉄、鉄鋼及び金属製品の表面の錆、酸化、湿気その他類似の状態は、損害の状態ではなく、運送品の性質に固有のものであり、かつ、外航貨物利用運送事業者が外観上良好な状態で運送品を受け取ったことの容認は、運送品が受け取られたときに、明らかに錆、酸化、湿気その他類似の状態がなかったことを意味するものではない。
(解説と理解) 「・・・金属製品の表面の錆、酸化、湿気その他類似の状態は、損害の状態ではなく、」青銅の鋳造による彫塑品は、芸術品などであり、損害状態の物品とは言えない。また、「・・・運送品を受け取ったことの容認は、・・・」とは、業者が受領したことが、損害を黙認/容認したことには、ならない、と述べている。
(引渡し)
第二十条 外航貨物利用運送事業者が荷主に対して運送品の受取を要求できる時と場所において、荷主が運送品又はその一部を受け取らない場合には、外航貨物利用運送事業者は、運送品又はその一部を荷主の負担により倉庫事業者に保管を委託することができる。これをもって、運送品に対する外航貨物利用運送事業者の責任は、完全に終了するものとし、保管に要する費用は、外航貨物利用運送事業者の請求に基づいて直ちに支払われなければならない。
(解説と理解) 所定の運送後、荷主など荷受責任者が、受取拒否や、何かの間違いで、荷物が残留したとき、運送人は、倉庫事業者などに、それらを委託できる。さらに、その費用は、荷主など荷受責任者の負担とする、と述べている。
(記号による引渡し)
第二十一条 外航貨物利用運送事業者が受け取る前に、荷送人によって運送品、包又は容器に縦五センチメートル以上の文字と数字により記号が陸揚港とともに明瞭に、かつ、消えないようにスタンプされ又は明示されていない限り、外航貨物利用運送事業者は、記号による引渡しの不履行又は遅延について責任を負わない。
(解説と理解) 荷物の記号が、梱包などに「書いてない/不明瞭で判読出来無い」とき、それが原因での「記号による引渡しの不履行又は遅延」の責任は、運送事業者には無い、と述べている。
2 外航貨物利用運送事業者は、いかなる場合にも、主記号以外の記号による引渡しについて、責任を負わない。
(解説と理解) 運送事業者は、船荷証券(B/L) や、主たる契約書に記載されている以外の荷物記号での荷揚げと引き渡しについては、責任を負わない、と述べている。
3 荷主は、外航貨物利用運送事業者に対し運送品、包又は容器の記号が船荷証券に記載された記号と一致しており、また、陸揚港で効力を有するすべての法令及び規則に全面的に合致していることを保証し、その不正確又は不完全により生じた一切の損失、損害、罰金又は科料について、外航貨物利用運送事業者に補償しなければならない。
(解説と理解) 「荷主は、・・・ことを保証し、・・・運送事業者に補償しなければならない」とあるが、荷物の識別記号と船荷証券の記号が一致すること、を保証し、不一致により生じた損害を補償せよ、と述べている。
4 記号及び数字により区別できない運送品、荷粉、残液その他の仕分けられない未引取運送品は、同種の運送品の各荷主に対する引渡しを完了させるために、外観の不足、重量の不足又は損傷の割合に応じて按分されるものとし、当該運送品の全部又は一部は、全面的かつ完全な引渡しが行われたものとする。
(解説と理解) 「その他の仕分けられない未引取運送品は、・・・外観の不足、重量の不足又は損傷の割合に応じて按分されるものとし、」とあるが、損害賠償金のことだろう。また、未引取品があっても運送を完了する、と述べている。
(特殊な引渡し)
第二十二条 外航貨物利用運送事業者により受け取られた運送品が、荷主によってその中身が詰められたコンテナである場合には、外航貨物利用運送事業者は、船荷証券の表面に記載されたコンテナの合計数の引渡しについてのみ責任を負う。ただし、外航貨物利用運送事業者の絶対的裁量により、かつ、コンテナの開扉時に発見された運送品の不足、滅失、損傷又は不一致について、一切責任を負わないことを条件に、コンテナを開扉し、その中身を包又は個品の商号、記号、番号、サイズ又はタイプにより引き渡すことができる。
(解説と理解) 「・・・荷主によってその中身が詰められたコンテナである場合には、」とあるが、運送業務の簡素化のためだろうが、中身を確認しないコンテナでの引き渡しについて述べてある。また、コンテナを開けての引き渡しときは、運送品の状態に責任を負わないことが明記してある。
2 運送品が外航貨物利用運送事業者によりコンテナに詰められた場合には、外航貨物利用運送事業者は、コンテナを開扉して、その中身を引き渡すものとする。ただし、外航貨物利用運送事業者の絶対的裁量により、かつ、荷主と外航貨物利用運送事業者との間の事前の協定により運送品をコンテナに詰められた状態で荷主に引き渡すことができる。この場合において、外航貨物利用運送事業者により封印に異常がない状態でコンテナが引き渡されたときには、その引渡しは、外航貨物利用運送事業者の義務の全面的かつ完全な履行とみなされ、外航貨物利用運送事業者は、コンテナの中身の滅失又は損傷について責任を負わない。
(解説と理解) 「運送品が外航貨物利用運送事業者によりコンテナに詰められた場合には、」とあり、前項の条件と違う。また、「封印に異常がない状態」で引き渡しのとき、荷物の状態について、運送事業者は責任を負わない、ことが明記してある。
(運賃・料金)
第二十三条 外航利用運送契約に基づく陸揚港までの運賃の全額は、当該運賃が前払又は後払であることを問わず、運送品が受けとられたときに完全に取得されたものとみなし、また、運送品に係る諸料金は、発生次第、外航貨物利用運送事業者に支払われなければならない。2021/07/07 10:48:59(疑義あり)
(解説と理解) 「・・・運賃の全額は、・・・運送品が受けとられたときに完全に取得されたものとみなし、」とあるが、これは何故か運送品の引き渡しで、運賃の支払いが履行されたとみなす、という商慣習が述べてある。しかし、これでは運賃未払いなどのトラブルが予想される。「また、運送品に係る諸料金は、発生次第、外航貨物利用運送事業者に支払われなければならない。」とあるが、これは、誰が支払うのか、事例ごとに確認する必要がある。
2 前項の運賃及び料金について外航貨物利用運送事業者は、その支払を受けたと否とを問わず、その請求権を有するものとし、いかなる状況の下においても、運送品を運送する船舶又は運送品が滅失したと否とを問わず、航海又は外航利用運送の変更、中止、不達成又は放棄があった場合であっても、これらの運賃及び料金を収受し、留保する権利を有する。荷主は、運賃及び料金を控除、反対請求又は相殺することなく、現金で支払わなければならない。
(解説と理解) 「前項の運賃及び料金について外航貨物利用運送事業者は、・・・その請求権を有するものとし、いかなる状況の下においても、・・・れらの運賃及び料金を収受し、留保する権利を有する。」とあり、運送事業者の強い運賃収受権利が述べてある。また「荷主は、運賃及び料金を、控除、反対請求又は相殺することなく、現金で支払わなければならない。」と、荷主に対しての強い支払い義務が述べてある。前時代的であるが、やむを得ない。
3 荷主は、荷造りの不完全又は免責危険によって生じた荷造りの修理、袋詰め、手直し又は詰替えに要する諸費用及び消毒、保全、管理、占有の回復その他の運送品の利益のために行う措置によって発生した諸費用について支払責任を負う。
(解説と理解) 荷造りについて、荷主の強い支払い義務が述べてある。
4 運賃額、運送品の重量又は運送品を運送する船舶のトン数等を基礎として賦課されたすべての公租、公課及び税金は、荷主の負担とする。
5 荷主は、税関の規則に違反したこと、運送品の輸出入が禁止され、拒否され若しくは不許可となり、又は原因の如何を問わず、船積みに遅延したことにより、外航貨物利用運送事業者が被る運送品について生ずるすべての罰金及び損失について責任を負うものとする。
(解説と理解) 不測の事態の支払い金に対する、荷主の強い支払い義務が定義してある。が、しかし、前時代的であり疑問。HD当社の約款では、内容の是正を考える。2022/03/16 12:49:50
(運賃着払)
第二十四条 運賃着払により運送品が外航利用運送された場合であっても、荷受人が運賃、料金その他の費用の支払に応じないときは、外航貨物利用運送事業者の請求に基づいて、荷送人がこれを支払うものとし、運賃、料金その他の費用が正当に支払われなければ当該運送品を引き渡さないものとする。
(解説と理解) 話し合いによる解決を優先すること。
(責任)
第二十五条 外航貨物利用運送事業者は、自己又は外航利用運送のため使用する者が運送品の受取、船積み、積付け、運送、保管、荷揚げ及び引渡しについて注意を尽くしたことを証明するのでなければ、運送品の滅失、損傷又は延着について責任を負う。
2 前項の規定にかかわらず、外航貨物利用運送事業者は、次の各号に掲げる事由が生じたこと及び当該滅失又は損傷が当該事由により通常生じるべきものであることを外航貨物利用運送事業者が証明したときは、前項の責任を免れる。ただし、前項の注意が尽くされたなら滅失又は損傷が生じなかったにもかかわらず、その注意が尽くされなかったことの証明があったときは、この限りではない。
海上その他可航水域に特有の危険
天災
戦争、暴動又は内乱
海賊行為その他これに準ずる行為
裁判上の差押、検疫上の制限その他公権力による処分
荷送人若しくは運送品の所有者又はその使用する者の行為
同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他の争議行為
海上における人命若しくは財産の救助行為又はそのためにする離路
運送品の特殊な性質又は隠れた欠陥
運送品の荷造り又は記号の表示の不完全
起重機その他これに準ずる施設の隠れた欠陥
(責任の制限)
第二十六条 運送品に関する外航貨物利用運送事業者の責任は、一包又は一単位につき、一計算単位の六百六十六・六七倍の金額又は滅失、損傷若しくは延着に係る運送品の総重量について一キログラムにつき一計算単位(SDR)の二倍を乗じて得た金額のうち、いずれか多い金額を限度とする。ただし、運送品の受取前にこの金額より高額の運送品の価額が荷送人により書面で通告され、それが運送品の種類とともに、船荷証券に記載され、かつ、従価料金が支払われている場合には、この限りではない。
(解説と理解) 滅失、損傷若しくは延着に係る運送品に対しての、運送事業者の賠償責任について、次の2種類の金額を考え、いずれか多い金額を賠償限度額、としている。
・「一包又は一単位につき、一計算単位(SDR)の六百六十六・六七倍の金額」これは「1包または、1単位につき、1計算単位( IMFのSDR )の 666.67倍の金額」のこと。
・「総重量について一キログラムにつき一計算単位(SDR)の二倍を乗じて得た金額」これは「総重量について1kg につき1計算単位( IMFのSDR )の2倍を乗じて得た金額」
しかし、船荷証券の記載価格が上記より高いときは、そうではない、と述べている。
2 前項の一計算単位は、外航貨物利用運送事業者が運送品に関する損害を賠償する日において公表されている最終のものとする。
3 一包又は一単位当たりの運送品の実価額が通告価額を上回る場合でも、通告価額が価額とみなされ、外航貨物利用運送事業者の責任は、通告価額を超えない。
4 通告価額が実価額を著しく超える場合には、外航貨物利用運送事業者は、賠償責任を負わない。
(解説と理解) 通告価格が実価格を大きく超えるときでも、運送事業者は、その差額について賠償責任を負わない、賠償責任は無い、と述べているが、これは疑問だ。これでは、訴訟において、運送業者以外の過失者が、相当、不利となる。
5 運送品の一部滅失又は損傷の場合には、通告価額を基準として、按分計算される。
6 外航貨物利用運送事業者が責任を負うすべての運送品に関する損害賠償の額は、荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格(商品取引所の相場のある物品については、その相場)によって定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める。いかなる場合にも、外航貨物利用運送事業者は、期待利益の喪失又は間接損害については、責任を負わない。
(解説と理解) 「いかなる場合にも、外航貨物利用運送事業者は、期待利益の喪失又は間接損害については、責任を負わない。」とは、たとえば荷物の商品が販売出来無い事による逸失利益などについて、責任を負わない、と述べている。
7 コンテナ、パレットその他これらと類似の運送用具が、運送品を統合するために使用された場合には、運送用具に詰められたものとして船荷証券上に運送品の数量として表示されている包又は単位の数は、本条の適用上、包又は単位の数とみなされる。ただし、船荷証券上にそのような表示がない場合には、運送用具の数が包又は単位の数と解される。
(解説と理解) 梱包単位が不明確なときの、取り決め。
(損害賠償の額及び責任の制限の特例)
第二十六条の二 外航貨物利用運送事業者は、運送品に関する損害が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為により生じたものであるときは、前条(第一項ただし書及び第三項から第五項までを除く。)及び第二十八条第一項後段の規定にかかわらず、一切の損害を賠償する責めを負う。
(解説と理解) 荷物の損害が、運送事業者の無謀な行為により生じたときは、運送事業者が、一切の損害を賠償する責任がある、と述べている。
(抗弁)
第二十七条 この約款に定める抗弁及び責任制限は、訴訟が契約上又は不法行為のいずれに基づいてなされたものであっても、運送品の滅失、損傷又は延着について外航貨物利用運送事業者に対してなされるいかなる訴訟にも適用される。
(解説と理解) この約款に定める、抗弁(反論)、および責任の制限(免責など)は、「運送事業者に対してなされるいかなる訴訟にも適用される。」と述べている。
(使用人、代理人及びその他の者の責任)
第二十八条 この約款によって証される外航利用運送契約の履行のために外航貨物利用運送事業者が使用する使用人、代理人またはすべての下請人若しくは独立請負人を含むその他の者に対して、運送品の滅失、損傷又は延着について訴訟が提起された場合には、これらの使用人、代理人又はその他の者は、外航貨物利用運送事業者がこの約款のもとで行使できる抗弁及び責任制限を援用できるものとする。外航貨物利用運送事業者及びその使用人、代理人又はその他の者から賠償を得ることができる総額は、いかなる場合であっても、この約款に規定される制限額を超えないものとする。
(解説と理解) 「運送事業者が使用する使用人、代理人またはすべての下請人若しくは独立請負人を含むその他の者に対して、」「抗弁及び責任制限を援用できる」と述べている。つまり、下請け業者であっても、免責などが、適用される、と述べている。2022/03/16 15:36:39
2 前項の規定は、運送品に関する損害が、外航貨物利用運送事業者の使用人、代理人又はその他の者の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらしたそれらの者の無謀な行為により生じたものであるときには、適用しない。
3 荷主が外航貨物利用運送事業者の使用人、代理人又はその他の者に対して行って賠償請求に関し、そのためにそれらの者が外航貨物利用運送事業者に求償するであろう請求に対して、荷主は、外航貨物利用運送事業者に補償するものとする。
(損害の通知と出訴期間)
第二十九条 運送品の一部滅失又は損傷があったときは、陸揚港における運送品の引渡しの際(滅失又は損傷が直ちに発見することができないものである場合にあっては、引渡後三日以内)に、その滅失又は損傷の概況につき書面による通知がなされるのでなければ、運送品は、滅失又は損傷がなく引き渡されたものと推定される。
(解説と理解) 荷受人が、荷物の損傷などに気付かなかったとき「引渡後三日以内」に「書面による通知」が無いとき、正常に引き渡しされたものと、推定になる、と述べてある。
2 外航貨物利用運送事業者は、運送品の引渡後又は引き渡すべきであった日から一年以内に訴訟が提起されないときには、この約款の下でのすべての責任を免れる。
3 前項の期間は、運送品に関する損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。
(荷主が詰めたコンテナ)
第三十条外航貨物利用運送事業者が受け取った運送品が、荷主によってその中身が詰められてコンテナである場合には、コンテナの中身の状態及び明細について、外航貨物利用運送事業者は一切責任を負わない。
(解説と理解) 「荷主によってその中身が詰められてコンテナ」であるとき、「運送事業者は一切責任を負わない。」とある。
2 荷主は、コンテナの中身の積付け並びにその閉扉及び封印が確実で適切であること並びにコンテナ及びその中身がこの約款の条項に従った取扱及び運送に適していることを担保するものとする。荷主に担保違反があった場合には、外航貨物利用運送事業者は、当該違反から生じる運送品の滅失又は損傷に対して責任を負わない。
(解説と理解) 「荷主は、・・・積付け並びにその閉扉及び封印が確実・・・コンテナ及びその中身が・・・ことを担保するものとする。」については、保証する、の意味と判断する。担保とは損害保険や免責契約のことだろうか?いずれにせよ、違反があったときは、「運送事業者は、・・・責任を負わない。」とある。
(運送品の検査)
第三十一条 外航貨物利用運送事業者は、必要があるときには、なんら義務を負うことなく、いつでもコンテナを開扉し、中身を検査する権利を有し、それにより生じた一切の費用は、荷主が負担するものとする。
2 コンテナの中身の検査のために、コンテナの封印が税関その他の官憲により開封された場合には、外航貨物利用運送事業者は、それにより生じた滅失、損傷、費用その他の結果に対して責任を負わない。
(運送品に関する規則)
第三十二条 荷主は、税関、港湾局その他の公的機関のすべての規則及び用件を尊守するものとし、かつ、それらの規則及び要件のために、又は運送品についての違法、不正確若しくは不十分な記号、番号若しくは宛先の記載のために課せられた関税、税金、罰金、賦課金、費用等を負担し、かつ、外航貨物利用運送事業者が被った損失を補償しなければならない。
(解説と理解) 荷主は、法令順守のための諸費用や罰金などを、すべて負担し、運送事業者の損害まで賠償する、とある。
(外航貨物利用運送事業者のコンテナ)
第三十三条 荷主は、自己、その代理人又は自己のために使用する内陸運送人の占有下又は管理下において発生した外航貨物利用運送事業者が荷主のために提供又は手配したコンテナその他の機器の滅失又は損傷について、責任を負い、外航貨物利用運送事業者に補償するものとする。
2 外航貨物利用運送事業者は、荷主、その代理人又は荷主が使用する内陸運送人の取扱中又は占有下若しくは管理下において、外航貨物利用運送事業者のコンテナ又はその中身により惹起された第三者の財物の滅失若しくは損傷又は第三者の傷害に対して、いかなる場合も責任を負わず、これらについて荷主は、外航貨物利用運送事業者に補償し、その損害を負担するものとする。また、荷主は、前項のコンテナその他の機器をその所有者又は管理者に期日に遅れることなく、正常かつ汚損または塵芥のない状態で返却する責任を有し、これを怠ったことにより外航貨物利用運送事業者が被った費用を補償しなければならない。
(解説と理解) 荷主は、運送事業者から、実質、借りたコンテナなどの運送機器を、損傷なく返却する義務がある、と述べている。また、「・・・第三者の財物の滅失若しくは損傷又は第三者の傷害に対して」の賠償と、その機器の損害を賠償すべき、とある。また、運送事業者は、それら責任を負わない、とある。
(共同海損)
第三十四条 荷主は、海上での国際貨物の運送中又はこれに関して、共同海損が宣言されることがあることを認め、そのような場合には、共同海損の精算のために、千九百九十年に修正された千九百七十四年ヨーク・アントワープ規則に従い決定される国際貨物から支払われる分担金を提出することを約する。
(解説と理解) 「千九百九十年に修正された千九百七十四年ヨーク・アントワープ規則」については調査中。2022/03/16 17:22:45
(双方過失衝突約款及びニュージェイソン約款)
第三十五条 船舶運航事業者又は船主によって当該運送品のために発行された船荷証券に規定された双方過失衝突約款及びニュージェイソン約款は、外航貨物利用運送事業者がこれを援用することができるものとし、これらの条項はこの約款に摂取されその一部を構成するものとみなす。
(解説と理解) 「双方過失衝突約款及びニュージェイソン約款」については調査中。2022/03/16 17:22:45
(保険)
第三十六条 外航貨物利用運送事業者は、運送品の滅失、損傷、火災、盗難その他の危険について荷主が保険金額及び付保されるべき危険を明示して、書面により付保の指図をした場合のみ、荷主の費用と危険の負担において、外航貨物利用運送事業者が選択する保険会社との間に保険契約を締結する。
(解説と理解) 荷主による損害保険契約について述べてあるが、運送事業者による独自契約には言及していない。
2022/03/16 17:22:45
2021/07/06 15:51:21
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