○ クローズアップ兵庫県立大学に取り上げられました。
日本全国を覆う地震観測網。地震が発生したとき、すぐに各地の震度を教えてくれます。しかしながら、現在の震度観測点はおよそ数キロメートルから数十キロメートル間隔であり、地盤条件による局所的な強い揺れまでは検出できません。地震発生後の応急対応のためには震度観測網のさらなる高密度化が求められますが、コストや維持管理の観点から難しいのが現状です。本研究室では、今後の地震観測の媒体として自動車をもっとも有望なもののひとつと考え、自動車を利用した地震観測に関する技術開発を進めています。
(本研究は JSPS 科研費 23K22845 の助成によるものです)
長周期地震動の予測に効果的な有限差分法と、グリーン関数の相反性を利用した新しい地震動予測手法を開発しています。これを利用して、地下構造に起因する地震動の細かな変動を分析することや、任意の地震による地震動を予測することができるようになりました。また、強震記録・波形合成法をあわせて用いることで、より高精度な地震動の予測を行うことが可能になります。
比較的広域の深部地盤構造の推定に用いられていた地震波干渉法の手法を応用し、数値解析手法も援用しながら浅部地盤構造の推定に利用する試みを行っています。微動観測による地盤探査において、従来はノイズ成分として扱われることの多かった交通振動を積極的に利用する方法についても検討を行っています。
主に震源断層近傍の強震動記録を対象に、高層建物・免震建物・土木構造物に大きな影響を及ぼす永久変位成分を精度よく検出する方法について継続的に検討を行っています。一般的に用いられる時間領域での処理の高度化のほか、フーリエ解析を駆使した方法やウェーブレット変換の発想を取り入れた方法など、多角的なアプローチを提案しています。
学内・学外の有志による減災古文書研究会を主宰し、地域の地震・津波災害履歴の調査と歴史記録解読の人材育成を行っています。また、防災イベント等への出展や、一般向けの解説書の執筆を行っています。そのかたわら、名古屋大学附属図書館研究開発室や他機関と共同で、歴史上の水害や火山噴火などの調査にも携わっています。この分野での継続的な取り組みが評価され、依頼を受けて歴史資料の展覧会における図録の分担執筆を行うなど、活動の場が広がっています。