生物も、人も、物も、システムも、環境に適合し、共存しつつ共生し、そしてそれ自身の使命を果たさなければならない。環境は常に変化し、それにも適合しなければならない。課題は「賢さ」と「挑戦」である。「賢さ」とは生き残りのためのルールや、それを包括するメタ・ルールを発見することである。いわば、過去の経験から何を学ぶかである。大事なことは、経験に含まれるノイズを捨て、未来に役立つ本質を抽出する能力を人工的なシステムやソフトウェアに持たせることである。一方、「挑戦」とは新しい世界を獲得することである。生物もシステムも、同じ世界に適応しているだけでは「安住」であり、もし、環境が変化すればたちまち厳しい状況に陥る。環境の変化を予想し、それに備えること、たとえ予想できない環境変化を被ってもそれに対応できるように新しい種を蒔いておくこと、それが「挑戦」である。我々の研究のコンセプトは、この「賢さ」と「挑戦」をシステムやソフトウェアに組み込む方法を考えることである。