たった ひとり で、美術館をつくる
行きたかったのは「ガラスの向こう側」
美術館でみるキラキラした洋服たち
きらびやかな洋服とは対照的に
私の顔はくもっている
" なぜ、美しいのだろう? "
私は それ が知りたかった
触れて、確かめてみたい
着て、感じてみたい
分解して、覗いてみたい
わずか数センチのガラスケースは
あまりに厚く、あまり遠く
透明なのに、なにも見えなかった
・
涙がこぼれた20歳の夜
100年前の洋服を初めて分解したとき
自分が追い求めていた美しさに出会った
胸が熱くなって涙が頬をつたう
美しさの理由は外ではなく、中に隠れていた
美術館では出会えなかった美しさを
私は私の言葉で、私の手で
多くのひとに伝えたいと願った
・
ここにはガラスケースなんてない
手を伸ばせば展示品に触れることができる
鼻を近づけて嗅ぐことも
絹の擦れる音を聴くことも
着心地を味わうことさえも叶う
「100年前の感動を100年後に伝える」
そのために私は生きていく
" 全身で感動を浴びる "
それが 半・分解展
ガラスの向こう側で、あなたを待っている
今回の展示テーマ
「お直し・リメイクの歴史」
「下着の手仕事」
「軍服の内部構造」
「下着の手仕事」
「軍服の内部構造」
この3テーマを軸として
18世紀半ば~19世紀初頭のスーツやドレス
19世紀末の軍服や下着を中心に
約50点を展示いたします
お直しリメイクの歴史では、ただ綺麗なだけではない
興味深いスーツやドレスを紹介します
世紀を跨いでリメイクされた奇形ドレス
全て解いて再構築された従者のコート
背中を編み上げに直したアビ・ア・ラ・フランセーズ
など
創意工夫に満ちたお直し、リメイクの歴史と
そこに垣間見える「階級差」を表現します
・
対して「下着」はお直しやリメイクとは無縁でした
ドレスやスーツのように何度も使いまわすことはなく
最後はボロ雑巾になるか紙の原料にされます
だからこそ、手仕事の質がちがうのです
「白さ」を追求した下着は
過酷な洗濯や漂白に耐えうる縫製技術が必須です
少しでも縫製経験がある方
そしてプロの職人の方
下着の縫い目をみて絶望してください
ミシン誕生前夜、究極の手仕事がここにあります
・
「内部構造」は半・分解展における最も重要なテーマです
美の本質は内部構造に隠されています
下着は軽やかに一枚で仕立てられます
内部に構造なんてありません
ところが「軍服」は、構造のミルフィーユ
十枚以上の布が複雑に重なり合い
軍服の造形美を構築しているのです
下着と比較展示することで
軍服の " 異常構築 " が際立ちます
・
半・分解展の展示品は
国内の服飾美術館に引けを取りません
イギリス Fashion Museum Bath
アメリカ FIDM Museum
に展示されていたドレスを買い取ったり
フランス Palais Gallieraをはじめ
イギリス Victoria and Albert Museum
アメリカ The Metropolitan Museum of Art
に所蔵品を提供するディーラーから展示品を買っています
半・分解展にお越しいただければ
世界基準の歴史的衣服を堪能できます
そして、その衣服に触れることができる
視覚のみならず、触覚で歴史をご堪能ください
2024年展示は閉幕しました
また来年にお会いしましょう
どなたでも、なんどでも参加できるミニレクチャー
18世紀のドレスを あなたの目の前で
こんなのアリ?リメイクとお直しの歴史学
はっきりいって大好きです
フィティシズムに酔いしれろ
毎晩19時スタート、裏側の美学
ミニレクチャー 一覧表
人数限定!半・分解展の特別レクチャー
知的好奇心を刺激する超マニアな世界へご案内
自らの手で歴史を刻む!新たな挑戦を初めよう
最終日にだけ見られる!?すべての裏側
展示に足を運んでくれた皆さまの感想をまとめました
衣服標本家 長谷川 彰良