ろう者。大学教員・研究者。
八百屋の息子として生まれ、経済的には決して恵まれているとはいえない家庭で育ちました。それでも両親は、学ぶことの素晴らしさや、私が「学びたい」と願う気持ちを決して否定しませんでした。学ぶことは、新しい世界を知り、それまで見えていなかった道を見つけ、自分の人生を切り拓く力になる――そのことを、両親の姿勢と自らの歩みを通して実感してきました。
自身のろう者としての経験を原点に、日本と米国で精神保健、ろう者学、障害学などを学び、大学における教育と研究に携わってきました。米国のろう者・難聴者のための大学であるギャローデット大学では、大学院教育、研究、プログラム運営などに12年間にわたって従事しました。また、大学での講義や研究活動に加え、市民向けの講演や研修を通して、専門的な知見を分かりやすく社会に伝える社会活動も行ってきました。海外の研究や実践を日本に紹介するとともに、日本のろうコミュニティが培ってきた経験や知識を国内外に発信することを大切にしています。
学びと研究を重ねるなかで、ろう者の経験や知識は、一部の専門家だけが扱うものではなく、私たちが社会のあり方を捉え直すための大切な視点であると考えるようになりました。
一方、日本国内では、ろう者学やろう文化について体系的に学べる機会が、まだ十分に広がっているとはいえません。大学や研究機関のなかにとどまりがちな知識を、ろう・難聴者、手話を学ぶ人、教育・福祉・医療などに携わる専門職、そして関心をもつ市民と共有し、共に考えられる場をつくりたい。その思いから「ろう地図」を立ち上げました。
両親が私の「学びたい」という思いを大切にしてくれたように、学ぶ意欲をもつ人が、その背景や置かれた状況にかかわらず、新しい知識や世界に出会える場をつくりたいと考えています。
専門的でありながら、すべての方々に開かれていること。一人ひとりの経験を大切にしながら、国内外の研究や新しい視点に出会えること。「ろう地図」を、さまざまな人が手話で学び、語り合い、自分なりの道を見つけられる場所に育てていきます。
個人ホームページは、こちらより:https://www.drtakayama.com/