はじまりのシナリオと出会ったその時。
まだ専用のキャラクターを使って遊ぶという発想がないままに、
既存の冒険者で遊んで激しく後悔したのは何年前の話になるのだろう。
トーベルシリーズという1つのSFファンタジーが一旦の終幕を迎えたことは、本当に奇跡だと思っていました。
何故ならば最終の更新からもうかなりの年月が過ぎて、
このシリーズの名前は膨大な新作シナリオの山に埋もれかけていたからです。
魅力的な話を多く展開しつつも、主人公の未来は不明なまま。
シナリオは長く更新されることもなく、月日だけが立っていけば自然と存在を知る者が少なくなるのは必然です。
それに、知っているものが名前を出したとして、かなり古いシナリオをどれほどの人がプレイしてくれるのか。
特定の固有設定が強いが為に、プレイヤーを選びがちの独特なシナリオ群は、万人に受けるものでは無いでしょう。
それでも既に遊んだプレイヤーが、時折おすすめを聞かれて名前を出す良シナリオ。
そういう立ち位置だったトーベルシリーズは、しかし、一度危機を迎えていました。
公開先HPの消失。
シナリオの喪失。
かろうじて維持されていたシナリオ群は、接続先を失ってネットの藻屑と消えた……と悲観した日々。
しかし、この令和4年。
はじまりのシナリオが更新されてからはや20年という月日が経っていたある日に、
まさかの奇跡がおきたのでした。
シナリオ作者様からの最終話の発表。
プレイした人ならば、マクウェルという冒険者が再び息を吹き返したのを確かに確認した筈です。
シナリオ制作は非常に大変な作業です。
膨大な数の素材を集め、シーンを作り上げ、1つの物語を編み上げる。
プレイ時間よりも遥かに長大な時間を使ってシナリオを社会人生活の中で組み上げるのは、
同じ経験のある人は勿論、プレイ専門の人でも想像に難しくはないことでしょう。
昔はCardWirthで遊んでいたけれど今はもう遊んでいない人、というのはきっととても多い。
戻ろうとしても、今の生活ではなかなか難しい人だって少なくはないはずです。
そんな中でも、長く離れた場所に再び戻ってきてくれた事に、最大限の感謝を申し上げます。
そして素晴らしいシナリオを再び届けてくださったことや、
更には、まさかの最新作まで続けて公開してくださったことにも。
どうかこれからも、トーベルシリーズが細々と続いていく事を願いつつ、
最後の挨拶と代えさせて頂きます。
トーベルシリーズ完結記念ファン企画『宙<ソラ>の邂逅』 企画主
九十九 一