講師 / Lecturer
和泉 究 (宇宙科学研究所 准教授)
日時 / Date & Time
5月8日(水) 13:00-16:20, 14:50-16:20
5月9日(木) 13:00-14:30, 16:40-18:10
15:00-16:30(談話会)
5月10日(金) 13:00-16:20, 14:50-16:20
場所 / Room
W1-A-711,W1-B-211
講義概要 / Abstract
近年、重力波を用いた天文観測やその技術を応用した精密計測が成熟しつつある。本講義では重力波観測に関わる物理学および実験技術を対象に、最新の物理学の一角を俯瞰する。[Slides]
1. 重力波観測の近況概観
2. 重力波天文学
3. レーザー干渉計I〜III
4. 精密計測I〜II
談話会
講演題目 / Title
重力波の観測と技術 [Slides]
日時 / Date & Time
5月 9日(木) 15:00-16:30(談話会)
場所 / Room
W1-B-211
講義概要 / Abstract
Recently, astronomical observations of gravitational waves and precision measurement aided by relevant technologies are being matured. In this lecture series, we will overview such research fields with the focus on gravitational wave astronomy and physics, as well as relevant experimental technologies.
講師 / Lecturer
筒井 泉 (高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 ダイヤモンドフェロー)
日時 / Date & Time
7月26日(水) 13:00-14:30, 14:50-16:20
7月27日(木) 13:00-14:30, 14:50-16:20
16:40-18:10(談話会)
7月28日(金) 13:00-14:30, 14:50-16:20
場所 / Room
W1-B-212,W1-B-211
講義概要 / Abstract
量子力学の基礎を深く知り、その特性を活用することによって、未知の物理現象の発見や新しい科学技術への応用が期待されている。実際、2022年ノーベル物理学賞は、量子状態の特徴的な性質である「量子もつれ」の実証を通して量子情報科学への道を拓いた功績に与えられたが、基礎研究においても、近年、初期宇宙や素粒子物理などで「量子もつれ」の物理的意義が究明されるようになってきている。今後もこのような流れが続くものと考えられることから、本講義では、まず量子力学の基礎にどのような未解決問題があるか、またそれらと関連する物理現象とその解釈について解説する。その上で、現在、行われている量子力学の基礎研究の一端を紹介する。
(1) 量子力学の基本法則:何が問題か
(2) EPR論文と量子力学の不完全性
(3) 状況依存性、非局所実在性、Bell不等式
(4) 「量子もつれ」の物理から量子情報科学へ
(5) 自由意志定理とPBR定理
(6) 非局所性の物理:量子の相互作用とトポロジー
(7) 新しい量子物理量「弱値」とは
(8) 「弱値」を測る:「弱測定」と精密測定
(9) 量子現象の乱数性とは
談話会
講演題目 / Title
量子力学の基礎と高エネルギー物理との相互交流
日時 / Date & Time
7月27日(木) 16:40-18:10(談話会)
場所 / Room
W1-B-211
講義概要 / Abstract
近年、量子力学の基礎の研究は「量子もつれ」の性質や実証研究を通して量子情報科学への応用が進められ、最近では量子重力や初期宇宙、量子多体系の解明等に向けた研究が活発になされている。本講演ではB中間子を媒介として、これまで疎遠であった量子力学の基礎研究と高エネルギー物理との相互交流の可能性を示す2つの例を紹介したい。その一つはアハロノフの提案する新たな量子物理量「弱値」に基づくB中間子の崩壊寿命の延長であり、これを用いてCP破れ測定における精度の向上が期待される。もう一つはB中間子を用いたベル不等式の検証実験であり、これを通して(従来の低エネルギー光子を用いた実験では不明であった)高エネルギー領域における自然界の非局所実在性の確証が可能になる。
講師 / Lecturer
浦川 優子 (高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授)
日時 / Date & Time
11月24日(木) 10:30-12:00, 13:00-16:20
16:40-18:10(談話会)
11月25日(金) 10:30-12:00, 13:00-16:20
場所 / Room
W1-B-212,W1-B-211,W1-D-315
講義概要 / Abstract
暗黒物質の有力な候補として近年注目を集めるアクシオンについて講義する。標準宇宙論の基礎的な内容について概観したのち、以下のトピックスを議論する。
- 準備:宇宙論の基礎
- 強いCP問題とアクシオン
- 暗黒物質としてのアクシオン
- アクシオン暗黒物質の構造形成
- アクシオンとインフレーション
- アクシオン暗黒物質探索
談話会
講演題目 / Title
New scenario of QCD axion clump formation
日時 / Date & Time
11月24日(木) 16:40-18:10(談話会)
場所 / Room
W1-B-211
講義概要 / Abstract
The QCD axion acquires the potential through the non-perturbative effect of the QCD matters around the QCD phase transition. During this period, the direct interaction between the axion and the QCD matters sets in. Focusing on the impact of this direct interaction, we discuss two scenarios where the fluctuation of the axion can rapidly grow, potentially leading to the formation of axion miniclusters even if the Peccei-Quinn (PQ) symmetry was already broken during or before inflation.
講師 / Lecturer
南部 保貞 (名古屋大学 大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 准教授)
日時 / Date & Time
10月5日(月) 13:00-17:30
10月6日(火) 13:00-15:00
16:30-17:30(談話会)
10月7日(水) 13:00-17:30
場所 / Room
W1-B-212
講義概要 / Abstract
重力が支配する系での量子効果が重要となる現象として、宇宙初期のインフレーションにおける原始ゆらぎの生成やブラックホールの蒸発などが知られている。これらの物理を「情報」という立場から捉え直す試みが近年さかんに行われている。本講義では量子情報理論の基本的概念の導入から出発し、その手法が重力が関与する現象に対してどのように応用されるかを紹介する。
講義内容 / Contents
(1) 量子力学の基本原理
(2) 隠れた変数とBell不等式
(3) 情報理論:エントロピーと情報量,シャノンの定理,量子操作と完全正値写像
(4) 量子もつれ
(5) ガウス状態の量子力学:量子操作とBogoliubov変換,量子もつれと状態の分離可能性
(6) 応用:曲がった時空での場の量子論と粒子検出器のモデル
(7) 応用:インフレーション起源の量子ゆらぎ
(8) 応用:重力の量子性を捉える試み(量子重力のデスクトップ実験の紹介)
談話会
講演題目 / Title
初期宇宙とエンタングルメント [Slides]
日時 / Date & Time
10月6日(火) 16:30-17:30(談話会)
場所 / Room
W1-B-212
講義概要 / Abstract
宇宙の加速膨張期を与えるインフレーションモデルは、現在の宇宙に存在する大規模構造の形成に必要な初期ゆらぎを生成するメカニズムを提供すると考えられている。宇宙の加速膨張を引き起こすインフラトン場の量子的励起により、空間曲率のゆらぎが生成される。そしてそのゆらぎの波長は、宇宙膨張に伴って因果関係を決めるハッブル地平線長さを超えるマクロなスケールまで引き延ばされる。このような長波長ゆらぎは,量子的な性質を失い統計的には古典的ゆらぎと区別がつかなくなると考えられている(原始量子ゆらぎの古典化仮説)。もしこの量子古典転移が起きたとすれば、インフレーションによって生み出された量子起源のゆらぎを初期ゆらぎとして用いることで、重力不安定性に基づいた宇宙の大規模形成を古典力学を用いて追跡することができる。実際、インフレーションモデルに基づいた現代宇宙論の構造形成シナリオは、原始量子ゆらぎの古典化を前提として成立している。本講演では、非局所的量子相関であるエンタングルメントを用いて原始量子ゆらぎの古典化がどのよう理解されるかを紹介する。