Time Measurement vol.1

野老朝雄、堀山貴史 2021
Asao Tokolo, Takashi Horiyama 2021


組市松紋(東京2020エンブレム)は正12角形を充填する菱形3種類を骨格とし、菱形を辺の中点を結ぶ長方形で半分ずつ二色に塗り分けることでできています。3種類で計60個の菱形を正12角形の中に隙間なく重なりなく敷き詰めるには、570,702,721,864通りの組み合わせがあります [Windomら 2005], [Hamanaka, Horiyama, Uehara 2017]。この膨大な個数の敷き詰めをよく見てみると、1つの頂点の周りの3個の菱形を見つけてクルッと回すという微小な変化で、別の敷き詰めが得られることが分かります。Time measurement vol. 1では、アルゴリズムの設計と理論的性能保証の分野での「列挙アルゴリズム」や「組合せ遷移」に関する技法を活用しながら、時の流れに沿って敷き詰めの世界をそぞろ歩きします。敷き詰めが少しずつ移ろいつつ、何気ない顔で1時間に1回だけ最初とピッタリ同じ敷き詰めになり、そしてまた、何事もなかったように時が進みます。— 堀山貴史