多胞体上ハミルトンパスの音表現

多胞体上ハミルトンパスの音表現
常泉宏陽 2023
Musical Expression of Hamiltonian Path on Polychoron
Hiroaki Tsuneizumi 2023

数列に対応する音を順に再生し、数列の変化をグラフ上の経路として可視化したループ映像作品です。ここでは5文字の順列とCメジャーのペンタトニックスケールを、5桁のグレイコードとリズムを対応づけました。数列を頂点に、数列の変換規則に辺を対応させたグラフは多胞体となり、5次元から3次元に投影して表示しています。2作品とも一定の条件を満たしながら数列を少しずつ変化させて全ての組み合わせを1回ずつ経由し、最終的には一番最初のパターンに戻ってくる仕組みになっています。そしてその過程は、グラフにおけるハミルトンパスとして現れます。— 常泉宏陽

本作品は音階とリズムの二種類を扱っています。音階作品はペンタトニックスケール(5音の音階)の音を一音ずつ使った5音小節を、5!=120通りの組み合わせを列挙する音楽です。隣り合う音の入れ替えの操作のみで、すべての組み合わせを一回ずつたどることが可能で、これはomnitruncated 5-cellと呼ばれる120個の頂点を持つ5次元図形のハミルトン路(すべての頂点を一回ずつ通るパス)をたどることになります。n音の音階はn次元のpermutohedronとよばれる図形になります。常泉さんは「数学と音楽」の取り組みでは、12音技法の数え上げを探索したことがきっかけとなり、本作品につながりました。
リズム作品は5拍子での1(拍)と0(休)で表されるので2^5=32通りのパターンになります。こちらは拍の1と0の置き換えによって移り変わっていくルールが適用されています。したがってこの作品は5次元立方体のハミルトン路の可聴化という事もできます。このパターンはグレイコードとしても知られています。— 舘知宏

Zome Tool 多胞体
常泉宏陽 2023
Polychoron Assembled with Zome Tool
Hiroaki Tsuneizumi 2023

映像に登場するOmnitruncated 5-cellの模型を、Zome Toolを用いて制作しました。映像と模型で形状は少し異なりますが、頂点のつながり方は一致しています。Omnitruncated 5-cellの頂点は1から5の数字を並べ替えた順列に対応しており、頂点数は5!=120となります。 切頂八面体や六角柱が面を共有する構造を持ちます。常泉宏陽

 photo:Choku KIMURA