グリッドの組み合わせによる可変曲面構造 

グリッドの組み合わせによる可変曲面構造
西本清里, 舘知宏 2023
Transformable Surface Mechanisms by Assembly of Geodesic Grids
Seri Nishimoto, Tomohiro Tachi 2023

細長い部材をグリッド状に並べて回転ヒンジで接続すると、パンタグラフのように変形する機構が作れます。そしてこのグリッドの動きは、平面の伸び縮みとして捉えることができます。

グリッドを適当な多角形で切り取ると、伸縮する多角形が生まれます。このとき、多角形の辺も伸び縮みします。そのため、多角形どうしを辺でつなげると、それぞれの伸び縮みが連動し、全体が同時に変形します。グリッドの切り取り方を工夫すると、平面から立体へ滑らかに変形できる多面体を作ることができます。— 西本清里

西本の提案した正四面体の正三角形分割[Nishimoto et al. 2022]によるかごめ編み(3軸編み)は静的な構造です。この3軸編みの1軸を抜いた2軸の編みは、組紐や織布の構造でパンタグラフ状の動的な機構となります。一方向に引っ張るとその直交方向に伸びるというパンタグラフ変形が組紐の伸縮性や布の柔軟性、あるいは沖縄の伝統的なおもちゃの指ハブのように思いがけない動きに寄与します。このような伸縮の運動をコントロールし自在な曲面を平面から構築することで、新しいメカニズムや建築の構法を生み出そうとしています [Nishimoto & Tachi 2023]。— 舘知宏

— Seri Nishimoto

— Tomohiro Tachi

S. Nishimoto, T. Horiyama, T. Tachi, Geodesic Folding of Regular Tetrahedron  2022S. Nishimoto & T. Tachi, Transformable Surface Mechanisms by Assembly of Geodesic Grid Mechanisms, in Advances in Architectural Geometry 2023, pp. 221--234

Transformable Grids - Cube

西本清里、舘知宏 2023
Transformable Grids - Cube

Seri Nishimoto, Tomohiro Tachi 2023


菱形で切り取った平面グリッドを六面組み合わせた機構です。平坦状態から立方体、平行六面体へと変形します。

面と面の間はピンジョイントとなっており、各面は平面を保ったまま変形が可能です。— 西本清里

— Seri Nishimoto

photo:Choku KIMURA 

Transformable Grids - Tetrahedron

西本清里、舘知宏 2023
Transformable Grids - Tetrahedron

Seri Nishimoto, Tomohiro Tachi 2023


グリッドを正方形で切り取り、同じものを2枚かさねて接続したシンプルな機構です。ねじるような動きによって平面(二面体)から四面体へ変形します。グリッドのパンタグラフ変形によって各面の面内形状が変化すると、接続された2面は平面を保てなくなるため、部材が面外方向に曲がりながら立体化します。 — 西本清里

— Seri Nishimoto

photo:Choku KIMURA 

Transformable Grids - Dome

西本清里、舘知宏 2023
Transformable Grids - Dome

Seri Nishimoto, Tomohiro Tachi 2023


平坦状態からドーム状の曲面へと展開することができる作品です。

辺長の等しい四辺形で構成された多面体を目的形状とし、平坦状態(菱形タイル)から目的形状へ展開可能となるよう各面のグリッド角度を逆算することで設計しました。— 西本清里

— Seri Nishimoto

photo:Choku KIMURA