力学的な合理性と施工のしやすさを考慮した曲面形状と分割の同時最適化 

力学的な合理性と施工のしやすさを考慮した曲面形状と分割の同時最適化
三木優彰, Toby Mitchell 2023
Simultaneous Optimization of Surfaces and Panelization for Structural Efficiency and Ease of Construction
Masaaki Miki, Toby Mitchell 2023

私たちは[Miki and Mitchell, 2022]で、引張りと圧縮の混在したシェル構造の合理的な形状の計算手法を提案しました。しかしそのままでは建設しやすいシステムを欠いており建設することができません。興味深いことに、提案手法による解は唯一ではなく広大な解空間を形成しており、その中には建設しやすい特別な形状が含まれていると考えられました。そこで私たちは提案手法を拡張し、引張り圧縮混合型シェルの形状の中から、力学的に合理的かつ施工もしやすい分割を与える特別な曲面を選び出すことに成功しました。これらの曲面は、コンクリートシェルや鉄とガラスによるグリッドシェル構造に直ちに応用可能です。 — 三木優彰

この研究では、高さzの平面座標(x,y)に関する関数としてシェル形状z(x,y)、その応力を表す応力関数φ(x,y)の関係を用いた設計がなされています。応力関数も抽象的な曲面ですが、その曲がり具合（曲率）がシェルにかかる応力テンソルを表しており、具体的には、応力関数の主曲率方向に力が流れることになります。したがって構造的な要求としては応力関数の主曲率方向にそろえたグリッドで構造材を配置したいという要求が生じます。一方で、シェル形状自体の曲率は構造の作りやすさと関係し、具体的にはシェルの主曲率方向に沿って分割するとシート材を曲げたパーツだけで構成できることが知られます。シェル形状と応力関数の主曲率方向を一致させることで力学的合理性と施工合理性を両立させる、というのがこの研究の肝になっています。 — 舘知宏

In [Miki and Mitchell, 2022], we have proposed a method for computing shapes of mixed tension-compression shells. However, the obtained shapes are not buildable because the method lacked a consideration of ease of construction. Interestingly, solutions generated by the proposed method are not unique but are forming a vast solution space. This implies the existence of special solutions that stand out among others from the perspective of ease of construction. With this as the research background, we further extended our method to identify special surface geometries that are structurally efficient and easy to construct. They can be readily applied to the designs of concrete shells and metal-glass grid shells. — Masaaki Miki