東京大学大学院数理科学研究科では19世紀末~20世紀初頭に教材として作られた石膏の幾何学模型を保有しています。本展示に合わせて、3点の石膏模型を紹介します。
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/models/2次曲面の一種です。表面に描かれた曲線は共焦点座標系を表し、楕円体の主曲率線のネットワークとなっています。ある点において曲面の曲がり具合(曲率)はその点からどの方向に進むかによって異なりますが、それが最も大きい値と小さい値(これを主曲率と呼びます)を通る方向を主方向と呼びます。主方向は直交することが知られており、主方向に沿って描いた線を主曲率線と呼びます。主曲率線は主に整然とした四角形状のグリッドのネットワークを作りますが、いくつかの点の周りでは特別な形となる部分があります。このような特異点は臍点(せいてん)とよばれる点で、楕円体には4個あります。— 舘知宏
東京大学大学院数理科学研究科蔵。1910年頃購入。平均曲率一定の曲面の一つです。平均曲率とは、主曲率の平均値であり平均的にどのくらい膨らんでいるかを表す値という事ができます。シャボン膜でできた極小曲面は平均曲率が0の曲面です。またシャボン膜を空気で膨らませた形は平均曲率が正で一定の曲面となります。オンデュロイドは径方向の曲率と軸方向の曲率がその総和を保ちながら振動していると捉えることもできます。— 舘知宏
東京大学大学院数理科学研究科蔵。1910年頃購入。ガウス曲率が負で一定の曲面の一つでベルトラミの擬球(ぎきゅう)とも呼ばれています。ガウス曲率とは、主曲率の積であり、正であれば椀型、零であれば単曲面、負であれば鞍型になります。ガウス曲率は曲面を引き延ばさない限りは曲げたりねじったりしても変化できない「内在的性質」であることが「ガウスの驚異の定理」として知られています。擬球はガウス曲率が負で一定の回転面ですが、上部は無限に続きますが、下部はラッパ状の部分が水平に開いたところで曲面が終わり、折り返し始めます。— 舘知宏
東京大学大学院数理科学研究科蔵。1910年頃購入。photo:Choku KIMURA