共依存とは
共依存とは、家族やパートナーなど、身近な人との関係に深くとらわれるあまり、相手の問題や感情を自分のことのように抱え込み、自分自身の気持ちや必要としていることが見えにくくなっている状態を表す言葉です。
相手を助けたい、支えたいという気持ちは、本来とても自然なものです。しかし、その思いが強くなりすぎると、相手の世話をすることや必要とされることに、自分の価値を感じるようになることがあります。
その結果、相手のためにしているつもりの行動が、かえって相手が自分で問題に向き合う機会を少なくしたり、自分自身が疲れ果ててしまったりすることもあります。
共依存に見られることのある特徴
「相手の世話をしすぎてしまう」
相手の問題を解決したり、困らないように先回りしたりすることで、「自分は必要とされている」と感じることがあります。
「自分より相手を優先してしまう」
自分の気持ちや希望を後回しにして、相手の感情や要求に合わせることが多くなる場合があります。
「相手の問題を引き受けてしまう」
助けようとするあまり、本来は相手自身が向き合うべき問題まで代わりに背負ってしまうことがあります。このような行動が、意図せず相手の問題の継続を支えてしまうことを「イネーブリング」と呼ぶこともあります。
「自分と相手との境界線が曖昧になる」
「これは自分の責任なのか、それとも相手の責任なのか」が分かりにくくなり、相手の気分や行動に自分の心が大きく左右されることがあります。
「嫌われることや離れていかれることが怖い」
関係を失うことへの不安から、本当は嫌だと思っていることでも断れなかったり、自分の気持ちを抑えたりすることがあります。
共依存的な関係が生まれる背景
共依存的な人間関係のパターンには、さまざまな背景があると考えられています。
たとえば、幼い頃から周囲の顔色をうかがうことが多かったり、「良い子でいなければ」「人の役に立たなければ」と感じながら成長したりした経験が、人との関わり方に影響することもあります。
ただし、背景や経験は一人ひとり異なります。特定の家庭環境や性格があれば、必ず共依存になるというものではありません。
回復に向けて
共依存からの回復は、誰かとの関係をただ断ち切ることではなく、**「相手ではなく、自分自身に目を向けていくこと」**から始まるとも考えられます。
共依存は、単純に「悪い人間関係」や「本人の弱さ」を意味するものではありません。これまで身につけてきた人との関わり方に気づき、自分と相手との間に健やかな境界線を育てていくことで、少しずつ新しい関係のあり方を学んでいくことができます。
回復とは、完璧に振る舞うことや、誰かのルールに従って行動することではありません。 回復とは、何よりもまず、私たちに選択肢があることを知り、選択の自由を自分に与えることです。
「境界線を意識する」
「自分にできること」と「相手に任せること」を少しずつ分けて考えていきます。
「自分の気持ちを大切にする」
「私はどう感じているのだろう」「私は本当はどうしたいのだろう」と、自分自身の気持ちや必要としていることに耳を傾けていきます。
「自分の人生へ時間とエネルギーを戻す」
相手のことだけではなく、自分の休息、趣味、仕事、人間関係などにも目を向け、自分自身の生活を大切にしていきます。
「必要に応じて支援につながる
カウンセリングや自助グループなど、安心して自分の経験を振り返ることのできる場が助けになる場合もあります。
回復は、一人で頑張らなければならないものではありません。
仲間と経験を分かち合いながら、自分自身を大切にする生き方を少しずつ学んでいくことができます。
焦らず、それぞれのペースで、いっしょに回復への歩みを続けていきましょう。