cocoa
self&field research association
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about cocoa
糸から場を作る
「cocoa self & field research association」は、福岡県糸島市志摩岐志を舞台に展開する、ファッションスクールcoconogacco主宰・山縣良和による新たな研究と実践の場です。装いは私たちの生活の一部であり、また自己を表現する営みとも言えます。cocoaは「ファッション」を軸にしながらその枠組みを大きく捉え、ひろく各界からゲストを迎えて新たな人間像や営みを参加者と共に考えていきます。中国の歴史書『魏志倭人伝』に登場する伊都国と推定され、シルクロードの中継地、ユーラシア大陸への玄関口に位置する糸島市。この地には、かつて朝鮮半島と地続きだった玄界灘に面し、豊かな自然環境と緩やかな都市化の流れが併存する環境があります。cocoaは糸島を拠点としつつ、開催場所を固定することなく、様々な土地の歴史・文化・伝統、そして自己と他者のルーツに向き合う人々の知恵を集積し、研究を行います。ここでは、参加者同士のアイデアが交換され、ゲストと参加者のフラットな交流の中から新たな物語が紡がれていきます。そこでの営みは折り重なり、内面を深め、世界と静かに響き合います。
cocoaの「a」は、はじまりの「a」です。cocoaは1日のはじめに緊張の糸をほぐす飲み物です。都会の喧騒から離れ、自分が触れるもの、取り込むものに敏感になること、ブレークとスタート。普段とは一味違う体験の場にぜひご参加ください。
history of cocoa
cocoaは、ファッションスクールcoconogaccoの分校として2011年から数年にわたり福岡の自然豊かな場所を拠点に開校したのがはじまりです。日常の喧騒を離れた環境の中で、自らの表現を探求する参加者たちが、多彩なゲストと共に自己と社会に深く向き合える少人数制の学びの場を提供してきました。個性豊かな参加者がそれぞれの創造性を育んだ結果、世界的なファッション・コンペティションの入選者を生むなど、修了生は現在もさまざまなフィールドで活動を続け、cocoaでの学びを活かしながら、それぞれの表現を広げています。
philosophy
ファッションをデザインするとは何か?いつの頃からか、僕のなかで大きな疑問となりました。その疑問を解くにあたり、ファッションとは何かをもう一度考えなければいけません。人の心を揺り動かし、共感した感情が集まり、ファッションという現象が生まれます。頭だけで 考えるものでもないですし、感情だけでも、身体だけのものでもない。ファッションとは、とても複雑に入り組んだ社会の心、感情や環境から生まれるものだと思います。そして、ファッションを自分の本質となる価値観と美意識を持って、表現していくのがファッションデザイナーです。ファッションを感じ取り、また表現していくためには、私たちも心を真っ白にして感じ取る心、学んでいく姿勢、環境づくりが大切だと思います。このような気持ちから正直な姿勢と自由な心でファッションを感じ、デザインを学べる環境を創りたいと思います。
山縣良和
moderators
山縣良和 (writtenafterwards デザイナー、coconogacco代表)
1980年鳥取生まれ。2005年セントラル・セント・マーチンズ美術大学ファッションデザイン学科ウィメンズウェアコースを卒業。在学中にジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務める。2007年4月自身のブランド「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」を設立。2009年春夏より東京コレクションに参加し、2009年にアーネム・モード・ビエンナーレ(オランダ)のオープニングファッションショーを務める。2012年、日本ファッション・エディターズ・クラブ賞新人賞を受賞。2015年日本人として初めてLVMH Prizeノミネート。 デザイナーとしての活動のかたわら、ファッション表現の実験と学びの場として「coconogacco」を主宰。2016年、セントラルセントマーチンズ美術大学ファッションデザイン学科との日本初の授業の講師を務め、2018年より東京藝術大学にて講師を務める。2019年、The Business of Fashionが主催するBOF 500に選出。
家安香 (デザインディレクター、Edelkoort East株式会社 代表取締役)
関西学院大学法学部を卒業後、ブルガリジャパンで顧客マーケティング、フェリシモで商品企画とブランディングを経て、2004年よりオランダのデザインアカデミーアイントホーフェンでデザインを学ぶ。Aldo Bakkerに師事し、プロダクトデザイン・エキジビションデザインを学ぶ。2007年卒業後、Ilse Crawfordが主宰するロンドンのインテリアデザインオフィスstudioilseでトルコでのカーペットリデザインプロジェクトを担当したのち、 同年6月よりパリのトレンドユニオン(創設者:Lidwij Edelkoort)で勤務。2008年2月よりトレンドユニオン日本支店代表となり、2010年にEdelkoort East株式会社を立ち上げる。顧客はファッションはもちろんライフスタイル、サービスなど幅広く、数年先の傾向に対しての戦略づくり、デザインワーク、さらにはCMやカタログなどユーザーとクライアントをつなぐツールとしてのビジュアルデザインやコピーライティングを行っている。また山梨県富士吉田のテキスタイル産地では長年客員研究員活動に携わっている。個人的には日本の素材や技法の研究を続けており、イタリア・フィレンツェのモード専門学校Polimodaで短期コースを担当する。
guides
大草桃子(cocoa第1期生)
福岡生まれ。writtenafterwardsのクリエイティブチームに参画。2014年よりcoconogaccoでも講師を務め、多くの受講生と関わる。
comment
初めて参加したcocoaの会場はお寺だった。観音様の後光を背にファッションを語るという不思議な体験から始まり、その後も学びの場は変化し続けた。海の家では突然の豪雨に見舞われ、急遽カラオケ店でのチュートリアルに。フェス会場では日没で作品が見えなくなり、皆でスマホのライトを灯した。刻々と変わる環境の中で、日々格闘しながら自分自身と表現に向き合った。同期の柔軟な発想に刺激を受けながら迎えた初の公開プレゼンテーション。海を望む山の中で、多彩なゲストに囲まれ、"飾らずに自分を表現すること"の大切さを実感した。
cocoaでの経験を通じて、「生きること」「立ち向かうこと」「楽しむこと」そのものが、ファッションでありクリエイティブであると確信した。最近、後輩から「大草さんのファッションは生き様系で好き」と言われ、cocoaで培った“雑草精神”が、自分のモットーそのものになっていることを改めて実感したのだった。
彌永裕子(cocoa 第2期生)
大学で染織や美術を学んだ後、cocoaでファッションを学ぶ。福岡を拠点にアーティスト活動を行いながら九州産業大学で非常勤講師を務める。
comment
福岡のいろいろな場所で行われるユニークな授業に、毎回のびのびした気持ちで臨んでいました。個人的に強く印象に残っている授業のシチュエーションは、大雨の海の家と滝行です。山縣さんをはじめ、さまざまな分野のゲストの方、一緒に通うcoconogaccoの受講生から刺激をたくさんもらう日々でした。入ったばかりのときに、ITS(International Talent Support。イタリア・トリエステで開催される世界的なファッション・コンテスト)のファイナリストに選ばれたcoconogaccoの受講生の手伝いをしました。福岡の片隅でみんなで手を動かしながら世界に通じるクリエーションはどんな場所からでも作り出すことができるんだなと深く感動したのを覚えています。場所を問わず、自分のいる場所をみつめて面白がることなど今の自分の活動に繋がるヒントをたくさんもらいました。