2020年8月17日に第二回超談話室を開催しました!今回はアレッポの石鹸を販売する太田昌興さんに登壇していただきました。また前回に引き続き、メイドインアースの前田剛さんにも来ていただきました。今回の超談話室では普段は聞くことのできない世界の状況について知ることができ、新たな学びにつながりました。このレポートを見て興味を持っていただけたら嬉しいです!
株式会社アレッポの石鹸とは1994年にアレッポで作られた石鹸を輸入するために有限会社アレッポの石鹸として三鷹市に創業し、26年この石鹸だけの販売を続けてきた会社です。太田さんは2000年に入社されましたが、その前は3人の方が代表を務めていました。
創業の年である1994年はバブルが崩壊して物の根本に立ち戻ろうという風潮が世間には広まっていました。そこで前からあった社会運動がバブル崩壊でつぶれたときに、”国際支援も良いけれど、アレッポで作られる良質な石鹸のようにせっかく世界にはいいものがあるのだからそれを世の中に送り出したらいいんじゃないか。”という考えの下動き出したのが始まりです。
アレッポはシリアの都市で、上の写真の左上辺りに位置しています。2011年ごろから、周辺の国々の影響を受けて紛争になりました。紛争によって、もとは2200万人くらいだったシリアの人口は1730~50万人まで減ってしまいました。また、半数以上の方々が家を失いました。
アレッポの石鹸はオリーブオイルとローレルオイルをアルカリ性の液体で固めて、現地の子供が上に乗って重りになり、切り分けた後、一年間熟成させます。昔は材料も手作業で作っていました。例えば強い水酸化ナトリウム水溶液は一週間かけてアルカリ性の液体から生成し、オリーブオイルは動物の中身をくりぬいて入れたりもしていました。
しかし工場は内戦によって、2012年に水やガスや電気が止まり、2016年には空襲でバラバラになってしまいました。
元々は、ラッカという場所を通りラタキアに石鹸を送っていましたが、2013年ごろからISの首都になってしまい通れなくなったので、2014年の1月にアレッポからラタキアへと工場を移しました。
シリアでは家業を手伝っているのは普通のことで、アレッポの石鹸の子供は約一週間単位でお小遣いをもらっています。学校にも行っており、子供自身もそれを誇りに思っているので悪い意味での児童労働には当たらないと考えてます。
しかし、シリアでは最近、学校の授業料が無料なのに学校に行けていない子供が増えているそうです。それは文房具などの授業以外でお金がかかってしまうからだと考えられます。太田さんもシリアの一番の問題は教育の欠如であるとおっしゃっていました。
シリアでは日本の十分の一くらいの値段で売っています。それは、シリアの市場は日本の市場よりも衛生管理に厳しくないため、衛生面を気にする日本向けの物よりも安く作ることが出来るからだそうです。またシリアでは、内戦前は1ドルが50シリアポンドくらいだったのに対し、内戦後は2500シリアポンドほどになったため、石鹸の輸出で安定して外貨が入ってくることは向こうの方々にとってとても重要なことなのだそうです。
太田さんは、SDGsの”10 不平等を無くそう”がアレッポの石鹸の活動に一番関わりのあるものではないかとおっしゃっていました。
元々シリアは、内戦前まで経済は良い傾向であったのですが、内戦が始まったことにより貧しい国というような印象を多く持たれるようになってしまったそうです。そのため、太田さんは”戦争を無くしたい”、”多様な価値観を認めたい”という思いから石鹸を通じてシリアを良くしていきたいと考えているそうです。
太田さんは、石鹸の良さを広めることと両立できるかが重要だと考えているそうです。太田さんの思いは、本当に良い商品だから買ってほしいということであって、内戦で大変だから支援のために買って欲しいと言うことではありません。良い商品だったら買った、そうしたらシリアについて知れた、というあくまでも石鹸が中心であって欲しいとのことでした。
・今の高校生は大きい問題が起こった時にあきらめがちになってしまうけれど、自分ごとにして自分には何ができるのかを考えるのが大事なのではないか。
・児童労働といってもこれはバイトや家業の手伝いなどと似ていると思う。話を聞いて見方が変わったので表面だけをみないで内部の事情などを詳しく学ぶ必要があると思った。
・今までシリアについて知る機会がなかったから今回本当のことを知れてよかった。
・児童労働を否定するのならそれと同時に周囲の人と一緒に解決策を考えていくことが大事だと思った。
最後に少人数の班に分かれて、自由に話し合いをしました。児童労働を完全否定するのではなく、みんなで解決策を考えることが大事なのではないかという意見や、物事を表面的にとらえずに国の内部の事情だったり、より詳しい所まで知ることが大事だという意見が出ました。
私自身はこの超談話室を通して、いままであまり知ることのなかったシリアの状況や、国際支援あり方を考え直すことができました。特に印象的だったのは、児童労働が一概に悪いとは言えないとおっしゃっていたことでした。私はいままで児童労働は悪いものだと思い込んでいたので、多角的な視点から考えることができ本当に良い機会でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました!