発表スケジュール・要旨招へい参加者による発表)


2月24日(土) 15:15~17:15 発表①、②、③、④

2月25日(日) 09:20~11:50 発表⑤、⑥、⑦、⑧、⑨


テーマ:  中東欧の日本語教育に関わる、実践報告、研究発表、機関紹介

発表時間: 25 分(発表 20 分、質疑応答 5 分)

使用言語: 日本語


※時間は中央ヨーロッパ時間(CET/ UTC+1/ GMT+1)です。


※発表順は今後変更の可能性があります。

2月24日(土) 15:15~17:15 発表①、②、③、④

発表① 最初のステップ・日本語を勉強することと教えること

プトノキ・アンドレアルーマニアティミショアラ西大学

 ルーマニアのティミショアラ西大学人文学部で去年10月開設された東洋研究センターと日本語・文学学科で行われている授業、文化活動、イベント等について発表になります。東洋研究センターの下で2021年から既にいくつかのゲスト・スピカ―講座、イベント等、そして日本研究(いわゆる日本語と日本文化)の授業も教えられていたことがありましたが公式的に日本語・日本文学プログラムとしてルーマニア教育省の認定を受け取ったのは去年の秋学期だけなっています。その結果として10月以降25人の学生たちが入学試験を取ってプログラムの最初の一年生になった。 センターと学科としての目標、そして今教えられている授業とその教員、作用されている教材と教え方の紹介がさせていただきたいと思います。さらに 学生たちの意見と将来の希望も紹介したいです。最後になって、日本語の学生から教員(助教)に移動した私の体験とその挑戦にも触れさせていただきたいと思います。

発表② 日本語道

タシェヴァ・アンドレアナ(ブルガリア、「こころ」日本文化センター)

 まず、自己紹介をいたします。私はソフィア大学の日本学科の出身で、一年間東京学芸大学で留学してきました。日研生としてプチ研究もしました。文楽の技芸員になる方法を研究しながら、改めて意識したのは日本語にも日本の伝統芸術のように長い稽古が必要だと思います。その上に、日本語・日本文化は二つの別物じゃなく、当たり前に一体となった存在です。ですから、教師としての目標は教え子と一緒に日本語の道を歩み、日本文化のミステリーをまた一緒に解いていくことです。 こう語りながら、現在に務める機関も紹介いたします。新しくできた日本文化センターというところや自分の役割やセンダーの活動などについて発表いたします。そして、私はまだ若くて、教師としての経験が浅いのですが、できる範囲で今まで教えたコースの学生の中、日本への興味や日本語を勉強したい動機をまとめて、日本語の難しい点とそんなに難しくない点も紹介してみます。例えば、ブルガリアは漢字圏の国じゃないので、うちの教え子と一緒にどうやって漢字の壁を破れていきます。一応、発表はこのような流れとなると思います。

発表 観光日本語・ビジネス日本語における実践プロジェクトの試行報告

飯田 朋子クロアチアユライ・ドブリラ大学プーラ

 本発表では、ユライ・ドブリラ大学プーラ(以下、本大学)における観光日本語・ビジネス日本語の授業で行った、実践的な日本人への発表及びインタビュープロジェクトの試行報告を行う。 本大学では、学部1年次に観光日本語1・2、学部2年次に観光日本語3・4、学部3年次にビジネス日本語1・2の授業が開講されており、これらは連続性のある授業として扱われている。これは、クロアチア共和国における観光産業の需要を鑑みた授業展開である。本発表では、基礎学習と、ある程度の応用実習を終えた学習者を対象に行った、日本人との実際の交流を図る実践的な授業内実習プロジェクトの試行について報告する。具体的には、観光日本語1・2・3において観光日本語の基礎を学び、ある程度の応用実習を終えた観光日本語4の履修生(学部2年生)は、日本人ゲストに対してクロアチア共和国に関するガイド・紹介を行い、その後日本人からの質問や疑問に答え、対応した。また、観光日本語1~4までを学び、ビジネス日本語1においてビジネス日本語の基礎を学んだビジネス日本語2の履修生(学部3年生)は、ビジネスの場で使われる日本語を用いて、日本人ゲストに対して仕事についてのインタビューを行った。 観光日本語・ビジネス日本語という専門性の高い日本語を用いて実践的な実習を行うことで、それまでに行ってきた基礎学習を自らのものとすることが可能である。加えて、これは総合的な日本語運用能力を高めることにも繋がる。今回の試行をもとに本プロジェクトの有用性を検証し、より良いプロジェクト実践へと繋げていく。

発表 日本語教育におけるChatGPTの活用法と可能性 ースピーチスタイルの指導を中心にー

ホルヴァート・ダーヴィドハンガリーブダペスト商科大学

 ChatGPTの一般公開以来、外国語教育を含む様々な分野で大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)の使用が注目されている。また、ChatGPTは実際の事実と異なる情報を提示することがあるものの(いわゆる「幻覚」)、文体的な正確さや丁寧さなどの面で優れたアウトプットを提供するとされている。 本発表では、日本語教育の現場におけるChatGPTの具体的な活用事例をいくつか紹介し、特にスピーチスタイルの教え方の観点からその有効性を探る。既存のテキストを特定のスピーチレベルに合わせて書き直す例や、教室での活動案に役立てる例を紹介する。さらに、LLMの使用における問題点や将来の可能性についても触れる。

2月25日(日) 09:20~11:50 発表⑦、⑧、⑨

発表 日本語の授業で教える日本文化

アタナシウ・バナー・イワナ(ルーマニア、イオン・クレアンガ高校)

 本論文でもっと大きい「日本語の授業で教える日本文化」という研究の内容を紹介したいと思います。外国語を教えるときに文法、文字、語彙だけたりなくて、その国の考え方や礼儀、習慣なども伝えて必要と思っています。特に日本の場合に言語より社会又は日常生活のルールのほうが大切です。日本語の教師の見方又は専門文学を研究したら、言葉や文法を教えるときにあらわさなければならない文化がたくさんあります。しかし、本発表に次のことについて話したいと思っています:1. 日本と最初の出会い → 挨拶、お礼、自己紹介2. さん、様、君、ちゃん 3. 日本語の代名詞とその使い方4. 家族と家族の言葉5. 丁寧語と普通の日本語(普通系)6. 敬語

発表 異年齢層における日本語の学習過程の比較:10~13歳グループと14歳~16歳グループの比較分析

コス・ピア(スロベニア、リュブリャナ大学)

 発表では、さまざまな年齢の学生がいかに効果的に日本語を学んでいるかについてお話ししたいと思います。私が現在教えている2つのグループを使って、両方のグループにおける異なる教授法とこれまでの仕事の過程を比較します。2つのグループは、14歳から16歳までの生徒がいるグループ1と、10歳から13歳までの生徒がいるグループ2です。 年齢が近いとはいえ、どちらのグループも非常に異なり、学習の過程もグループによって異なります。 グループ1とグループ2でどれだけ進歩したか、そして日本語をどれだけ効果的に学んできたかについてお話ししたいと思います。グループ1は1年間日本語を学んでいますが、一貫性のない勉強のため、最初から学んだことを繰り返さなければなりませんでした。 グループ1の生徒は単語を覚えるのが早く、新しい単語やフレーズを覚えることにも熱心であることが明らかです。第2グループの学生は完全に初心者です。 ひらがなを覚えるときに、覚えることの問題が出てきました。 生徒たちは単語を比較的早く覚えていますが、覚えるプロセスはより長いです。 そこで、私は両方のグループで日本語を学ぶ過程と、両方のグループで使用する教授法を比較したいと思います。 

発表⑦ Z世代学生がひらがなを「書いて覚える」ことをどのように考えているか ー事例研究・北マケドニアのスコピエ聖キリル・メトディウス大学の課外日本語コースでー

小林 篤史(北マケドニア、聖キリル・メトディウス大学)

 本稿は北マケドニアの首都であるスコピエの聖キリル・メトディウス大学における課外授業の日本語学習者の属性を明らかにし、ひらがなを書いて覚えることをどのように捉えているか、アンケート調査をもとに定量かつ定性的に分析されている。主な質問項目は、基本的な人口統計に加えて、日本語学習経験、課外授業として日本語を選択した理由、伸ばしたいスキル、さらに、ひらがなに関して「書いて覚える」という行為に焦点をあて調査した。データ分析結果は、日本語を選択した理由として最も多かったのが「日本文化が好き」(19人・86.4%)で、二番目が「日本へ旅行に行きたい」(18人・81.8%)、三番目が「なんとなく楽しそうだったから」(14人・63.6%)であった。この結果は、国際交流基金が行っている海外の日本語教育の現状調査結果の東欧全体、また北マケドニアの国別調査結果の高等教育における日本語学習の目的を概ね支持した。加えて、Z世代の課外日本語コース受講者は文字を書いて覚えることに肯定的であった。さらに、仮説検証においてノンパラメトリック検定を採用し、「講師態度と学生の文字学習動機」と「文字を書くことによる記憶定着性の認識」という両変数間で、スピアマンの順位相関分析において、有意な正の比較的強い相関関係があることが明らかになった。本研究は北マケドニアにおける大学日本語教育の発展に貢献し、学生が求める授業を展開するための視座を提供している。

発表 ウクライナにおけるコロナ禍とロシアの侵略の日本語教育への影響

アサドチフ・オクサーナ(ウクライナ、タラス・シェフチェンコ記念キーウ国立大学)

 本稿ではコロナ禍やロシアの侵略の中でのウクライナにおける高等教育制度、つまり日本語教育への影響について述べる。まず、遠隔通信教育(リモート教育)の短所や長所を明らかにした上で、ぞれぞれについて具体的に検討する。そして、タラス・シェフチェンコ記念キエフ国立大学を例に取り上げ、当大学での対策を紹介し、極東・東南アジア言語文学科で作成されたブレンディッドラーニングテクノロジーについて概要を解説する。更に、この世界的なパンデミックやロシアの侵略が、将来世代の教育にどんな影響を与えるかについて考察し、問題を提起する。

発表⑨ プーラ大学におけるキャリア教育活動のプロジェクトに関する報告

イレーナ・スルダノヴィッチ(クロアチア、ユライ・ドブリラ大学プーラ)

 キャリア教育は、教育過程において学生がキャリア計画に積極的に参加できるようにするために、計画された指導と実践のカリキュラムを通じて外国語学習プログラム内で考慮される重要な一面である。本発表は、欧州社会基金プロジェクト「キャリア開発のための専門実践」(From student practice to early career development=Stručnom praksom do ranog razvoja karijere)の一環として、ユライ・ドブリラ大学プーラ人文学部アジア研究科の日本学のプログラムが実施した様々なキャリア教育活動について報告するものである。本プロジェクトは、就職経路やキャリアに関する講義・ワークショップ、日本語ガイドや日本語通訳付きの模擬旅行ツアー、オンラインツアー、教師と学生の学術学会への参加、日本語学習者向けの職業実践のためのガイドブックの作成など、キャリア開発の様々な側面を扱っている。