ーマ

オニノヤガラの花

菌従属栄養植物の進化過程の解明

植物であるにも関わらず、光合成をおこなわずに菌に依存して生育する菌従属栄養植物は、葉が無かったり、特殊な菌根菌相を示すなど、特異な形態や生態を示します。これらの性質は植物として非常に特殊で興味深いものですが、その遺伝的な背景はあまり知られていません。私は、菌従属栄養植物とその近縁な非菌従属栄養植物のゲノムを解読・比較し、その特異な形態の遺伝的背景を明らかにしようとしています。

シュンランの花

ラン科シュンラン属の系統進化

25,000もの種を含み、様々な形態・生態を示すラン科植物ですが、多くのグループでその系統関係は明らかになっていません。私は、属内に着生種と地生種、独立栄養性の種と菌従属栄養性の種、C3型光合成を行う種とCAM型光合成を行う種をそれぞれ含むシュンラン属に注目し、その系統関係と各形態の進化の過程、それぞれの形質が種の多様化に与える影響を検討しています。

甲虫の標本

昆虫類の分類・系統進化

激しい種分化が起こっているものの、形態的な特徴の乏しさからその多様性が見過ごされてきたトビケラ類、ナガレトビケラ属を中心に分子系統解析を行っています。この属は交尾器の形態が多様で、交尾器形質の変化が種分化に与える影響を考える上でも重要なグループです。

その他に、多くの昆虫類について地理的距離が遺伝的距離に与える影響や、外来集団における遺伝的多様性の低下について検討しています。