東武東上線とは

東武東上線とは

東京都豊島区「池袋」をターミナルとして、埼玉県は首都圏屈指の観光スポット小江戸「川越」を経て、秩父への玄関口となる「寄居」へ至る、全長75キロの路線です。途中の坂戸からは、関東三大梅林の1つとして有名な「越生梅林」のある越生町へと至る、東武越生線(10.9キロ)を支線として有します。

正しく路線分類すると、東武東上線(85.9キロ)

東上本線(池袋~寄居:75キロ)+越生線(坂戸~越生:10.9キロ)となります。

車内放送や沿線住民から「東上本線」と呼ばれることはまずなく、

東上線」呼ばれ親しまれています。

※当サイトでも、特段の場合を除き「東上本線」という表現は用いません。

詳細な沿線紹介は、

BVEデータ公開ページを参照ください→沿線概要

特徴

東武本線と呼ばれる「浅草」をターミナルとして、日光・鬼怒川、あるいは伊勢崎方面と向かう、スカイツリーラインなどの路線網とは独立しており、1914年の開業時は「東上鉄道」と呼ばれる別の鉄道会社でした。東上線の「東」は東京、「上」は上州で現群馬県の渋川を意図し、ひいては上越国境を越えた新潟・長岡方面への路線計画がありました。この計画は実現なりませんでしたが、東上線+八高線+上越線として、ほぼ同じルートで、同じ鉄路としてつながりました。

1920年に東上鉄道は東武鉄道に合併されたものの、その後も東武鉄道内における東上線の独立色は強く、2015年までは「東上業務部」なるものが池袋に存在していました。徐々に区別はなくなりつつありますが、使用車両・列車種別・各放送・サインなど、今でも本線とは大きく異なる雰囲気を醸し出しています。

東武鉄道と言えば、私鉄最長の複々線かつ高架の線路を、日光・鬼怒川・伊勢崎方面へ向かう特急スペーシア・リバティ・りょうもうが、颯爽と走っているイメージを思い浮かべる方も多いかと思いますが、東上線池袋駅の乗降客数は東武鉄道で1位営業係数も約60という全国的に見ても良好な数値、東武鉄道全線では1位となっています。また、沿線戦略として重要なJR山手線との接続駅「池袋」を、東武鉄道で唯一有します。本線系統が観光要素もある中距離都市間輸送を担うのに対し、東上線は「純通勤路線」と言えるでしょう。因みに定期・定期外輸送の比率は定期が約65%、定期外が約35%です。

総じて、特急用車両も無い地味な通勤路線ではありますが、東武グループの根幹をなす重要なドル箱路線、そして埼玉県西部民の重要な足として機能しております。

池袋から12キロ地点の埼玉県・和光市では、東京メトロ有楽町線副都心線と、その先東急東横線みなとみらい線との相互直通運転を実施。そのため、埼玉県側からは池袋だけではなく、池袋~市ヶ谷~有楽町~豊洲~新木場池袋~新宿~渋谷~自由が丘~武蔵小杉~横浜~元町中華街の各方面へも、乗換不要で行くことが出来ます。全長75キロのうち池袋から64キロ先の小川町までは、東急・メトロからの直通車一部を除き、全列車10両編成の大量輸送体系となっており、都心と郊外・ベッドタウンを繋ぐ通勤路線として機能しています。その他の線区(東上線小川町~寄居、越生線)ではワンマン対応8000系4両編成によるワンマン運転が行われています。

近年では、首都圏着席ライナーブームのパイオニア的存在、「TJライナー」にも使用されるL/Cカー=50090系による無料クロスシート特急、「川越特急」が2019年に新設。川越ひいてはその先、国営公園「森林公園」、和紙(細川紙)がユネスコの無形文化遺産に登録されていることで有名な小川町、登山等のレジャーが盛んな寄居・秩父方面へのインバウンド・観光需要を積極的に取り込み、観光色を強めようと画策しているようです。休日朝下りの快速急行などには、山靴を履いたハイカーや折り畳み自転車、ゴルフクラブケースなど持った旅客が多く見られます。

沿線概況マップ

国土地理院地図をもとに、当方にて加工・編集

並行して走る鉄道はなく、路線図の通りほぼ一直線で走りますので、首都圏→各目的地へは基本的に最短時間・距離で結びます。観光地川越へのアクセスも、JR・西武に対して運賃・所要時間共に断トツで最短・最安です。一方輸送障害時の代替路線も殆どありません。

東上線とほぼ同一ルートで関越自動車道(E17)が並走します。森林公園~つきのわ間では交差もします。IC/SAの名前も東上線と被るものが多く、起点の練馬IC=東武練馬駅、川越IC=川越・川越市駅、鶴ヶ島JCT=鶴ヶ島駅、嵐山小川IC=武蔵嵐山駅+小川町駅、寄居PA=寄居駅などがあります。

2022年現行