[日本WS DAY5つくば]

テーマ:IMAGINE FOR THE FUTURE

 当日は、『IMAGINE FOR THE FUTURE』をテーマにつくばスーパーサイエンスシティ構想の目指すゴールを筑波大学鈴木健嗣教授からお聞きした。また中心市街地を街歩きしながら、中心市街地が抱えるポテンシャルを考えた。サマリーディスカッションでは、今後開発される70街区を対象地に、どのような用途・機能で開発していくべきかを話しあった。


〇キークエスチョン

①つくばスーパーサイエンスシティ構想のゴールとは何か?

②つくば市中心市街地の抱える、強み・弱みとは?(ハード面・ソフト面に分けて考える)

③将来、70街区はどのように活用・開発されていくべきか?

つくば 概要

 つくば市は茨城県の南西部に位置し、東京から北東に約50kmの距離に位置している。人口は約25万人で、転入超過率が一般市で1位などTX沿線開発の影響でファミリー層を中心に人口増加が進んでいる。また約7千人の外国人が居住しており、全国有数の外国人住民率(3.2%)を誇る。つくば市は「研究学園地区」と「周辺開発地区」から構成される。研究学園地区は科学技術の中核拠点であり、筑波大学などの高等教育機関、150以上の国・民間の研究機関、200以上のスタートアップ企業、研究機関に勤務する人数は約20,000人、博士号取得者は8000人存在する。対して周辺開発地区は水と緑の自然豊かな土地を有しており、つくば市は自然環境に囲まれた最先端都市である。  

訪問場所

・co-en
・つくばスタートアップパーク
・つくばエキスポセンター
・ITF.F(IMAGINE THE  FUTURE .  FORUM)
・70街区(ななまる公園)
・つくば三井ビル
・つくばカピオ
・竹園西広場公園
・ろくまる公園

co-en

概要
つくば市はセンタービルのリニューアルの一環としてつくばセンタービルを拠点に、成長する企業や活動する人々、多様な働き方をする人々などを応援することを目的に拠点「co-en」をオープンした。第3セクター「つくばまちなかデザイン株式会社」を施設内には貸しオフィス、コワーキング、キッチン、イベント、ギャラリー、物販の6つの機能をそろえている。

〇当日の様子
・鈴木健嗣教授「スーパーサイエンスシティ構想」
 午前中に、筑波大教授でもあり、つくばスーパーサイエンスシティ構想の全体統括者(アーキテクト)でもある鈴木健嗣先生にお話しいただいた。つくばスーパーサイエンスシティ構想を用いてつくば市がどのような社会を実現したいのか、鈴木先生の実体験に基づいた説明などをお話いただいた。

・小林さん「つくばのまちの変遷、課題、ペデを活かした取り組み」
 昼食後、(株)つくばまちなかデザインの小林さんからお話いただいた。つくば市は新しくできた街であることから人と人のつながりが少ないという課題があり、つくばまちなかデザインがつなぐ役割を担っていることやつくばで育った小林さんだからこそ感じる、つくばの面白いことや課題をお話いただいた。 

つくばスタートアップパーク

概要
企業家、大学、研究機関、投資家、金融機関等のスタートアップに関わる多様な人々が集まり交流するスタートアップ推進拠点。つくば市は企業数が少なく、法人税の税収が低い。大学生が卒業後、東京に就職することにより卒業後定住率が低い。また市内にいる多くの研究従事者や学生が気軽に集まり、交流する場や、起業家を総合的に支援する場所が不足するなどの課題がある。そこでつくば市は、大学・研究機関が集積するつくば市の強みを活かし、テクノロジー系のスタートアップ支援を核とした多様な起業ステージに対応するインキュベーション施設であるスタートアップパークを開設した。

〇当日の様子
当日は、休日で中に入ることはできなかったが、以前ウタ先生が追従ロボットを体験する様子を動画で見せることや図を用いてつくば市のスタートアップ企業一覧の説明を行った。


つくばエキスポセンター

〇概要
つくばエキスポセンターは万博を記念する恒久施設として建設された。つくば万博終了後は、最新の科学技術や身近な科学などに親しんでもらうことを目的に科学館として再オープンし、子育て世代に特に親しまれている。

〇当日の様子
当日は、休日だったこともあり、多くの子どもや家族が訪れていてにぎやかな雰囲気であった。つくば万博当時の科学技術を楽しむ一方で、つくばらしい現代の最先端の科学がないことに疑問を抱く学生もいた。

ITF.F (IMAGINE THE FUTURE . FORUM)

概要
 ITF.Fは今後開発される、大学と企業が共同で開発研究と実証実験を行うことが可能な施設で、2027年の完成が目指されている。実験の利用がない日は、スポーツの試合やコンサートなどイベント開催のほか、展示場としても活用できるようにする。大学の研究力を活用し、企業や社会の課題を解決し科学を社会実装までつなげていくことを目指し、また「スーパーサイエンスシティ構想」とも連携し市の発展にも寄与を目指す。 

70街区(ななまる公園)

〇概要
70街区は敷地面積6haの大規模な国家公務員宿舎跡地。駅に近い希少な空間を活かし、住宅だけでない複合的な都市機能の誘導に向け、研究学園都市の研究成果や人材の集積を活かした交流の場や新モビリティサービス、住民サービスのデジタル化など最先端の技術を街区単位で実現できる社会実装の場となるようなイノベーション拠点の形成が検討されている。 

つくば三井ビル

〇概要
つくば三井ビルは、つくば市で一番高い建物(高さ88m、地上19階建て)でオフィスビルの機能を持つ。

〇当日の様子
つくば市中心市街地と周辺市街地の差を視覚的に見ることができた。また今回は訪れることのできなかった筑波大学の場所を紹介したり、良好なつくばの景観を写真で撮る学生も多かった。 

竹園西広場公園

〇概要
竹園西広場公園は、研究学園都市建設に合わせて整備され、設備の老朽化が進み、市による再整備が追いついていない状況にあった。そこでつくば市と住宅デベロッパーのフージャースコーポレーションが公民連携でリノベーションを実施した公園。フージャースが、自費で費用を負担して公園の芝生等を整備、市に寄付。マンション内の公園側にベーカリーカフェを誘致し、公園と切れ目のない空間を作るなどマンション住民にとっても地域住民にとっても親しみやすい公園を目指している。リニューアル後の公園が地域のコミュニティ形成の拠点となるように芝生を育てるボランティアグループ「つくばイクシバ!」をフージャースが創設した。芝生の基本的な管理はつくば市が行い、さらに豊かな芝生にする取り組みを地域の有志が担う。

ろくまる公園

〇概要
ろくまる公園は、竹園西広場公園と同様の課題があった。新しいマンションが建設される際に利用者が増えることが想定され、居心地によい公園とするためにつくまち・つくば市・不動産会社が官民連携でのリニューアルを決めた。ペデストリアンデッキと公園の関係性(安全性)や敷地境界の考え方など、筑波研究学園都市の特徴や今までに育った自然をなくすのでなく、今までに培った環境を残しながら次世代へつなぐと共に、市民と一緒に創り、地域の核となる新たなコミュニティの場をつくるというリニューアルコンセプトである。

ディスカッション

 〇目的
1日の中で、専門家講義でつくばスーパーサイエンスシティ構想の目指す目標像やまちあるきをして中心市街地の特徴(ポテンシャルや課題)を把握してもらった。その中で、70街区という中心市街地に近くポテンシャルの大きい場所を今後どう活用していくのがよいかディスカッションすることで、つくば市の目指す未来について考えることを目的とした。

〇結論
 スーパーシティの全体統括者である鈴木先生のお話の中で、スーパーシティ構想で実現していく政策のひとつひとつが市民の困りごとを把握し、解決していくものである。これまで、人々は市役所に手続きを直接行くなど、各施設を巡らなくてはならなかったが、これからは、いつでも・どこでも手続きができるようにしていくとおっしゃっていた。しかしデジタル化が進むほど、人と人とのつながりは希薄化していくため、サードプレイス的な機能を都市が持つことが必要となってくる。つくばまちなかデザインの小林さんは、中心市街地活性化のための取り組みやサードプレイスをデザインする重要性を紹介いただいた。専門家の方々にお話いただいたような取り組みが組み合わさることで、つくば市の未来を創り、Design the future togetherにつながっていく。