新型コロナウイルスの感染拡大により演奏会が次々と中止になり、練習場所も閉鎖され始めた2020年2月末。
いつまで続くのか分からない異常事態の中、ある若者がこう呟きました。
「コロナが落ち着いたらさ、有志でマーラーの『復活』の演奏会しようよ。中止になった、オケとか合唱団員を中心に。」
彼の言葉は多くの賛同を集め、すぐにSymphonieorchester der Auferstehung(通称:復活オケ)が結成されました。
全てはG.マーラーの交響曲第2番『復活』を演奏するために。
2021年は残念ながら演奏会を延期せざるを得ませんでしたが、2022年5月、再始動します。
冨平恭平先生と100人以上のアマチュア音楽家が集結し、コロナ禍からの「復活」への第一歩を踏み出します。
プロ・アマチュア問わず、週末になれば音楽家たちはコンサートホールを聴衆でいっぱいにして、何にも侵されることなく素敵な時間を届けていました。そこには多くの舞台・ホールスタッフの支えもありました。
ところが2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大は彼らの日常を奪いました。
彼らのために何かできることはないか、少しでも彼らを勇気づけることはできないか。そんな思いからこの企画はスタートしました。
しかし、4度の緊急事態宣言に変異株の出現、コロナウイルスの猛威はいまだ落ち着きません。また、大規模な楽曲なだけに、適切な感染対策、充分な広さの本番・練習会場の確保など企画実現への準備は難航しました。それでも、コロナ禍からの「復活」への第一歩を私たちで踏み出せれば、そんな想いで企画の開催に向けた準備を進めています。
演奏するG.マーラーの『復活』には、「愛しき神は、一筋の小さな光(ein Lichtchen)も与えてくれよう」という歌詞があります。この企画が、コロナ禍の文化芸術における小さな希望の光筋となれば幸いです。
最後に、この演奏会を企画するにあたりたくさんの方のご支援ご協力を賜りました。この場を借りて御礼申し上げます。
Symphonieorchester der Auferstehung
代表 小林尚暉
東京生まれ。東京藝術大学音楽学部指揮科卒業。指揮を高関健、田中良和、小田野宏之、ピアノを安芸彊子、迫昭嘉、秦はるひの各氏に師事。群馬交響楽団、東京シティフィルハーモニック管弦楽団、ニューフィルハーモニー千葉、東京フィルハーモニー交響楽団、東京ニューシティー管弦楽団、東京交響楽団を指揮している。ピアニストとしてもリサイタルの伴奏、録音や協奏曲の弾き振り、2011年4月、2012年8月、2014年8月、2016年9月、2018年7月には服部容子氏と2台ピアノの演奏会を行い好評を博している。2014年10月にはソプラノの安藤赴美子氏の伴奏をつとめたアルバム「appresso」がオクタヴィアレコードより発売されている。洗足学園大学ピアノ科、オペラ研究非常勤講師。オペラでの活動が多く、新国立劇場、東京二期会、藤原歌劇団、錦織健プロデュース、日生劇場などでの公演で副指揮者、合唱指揮者、コレペティトゥア、ピアニスト、プロンプターなどオペラに関わるあらゆる仕事をつとめている。コンサートでもレオシュ・スワロフスキー、下野竜也、パオロ・カリニャーニ、アンドレ・プレヴィン、広上淳一、山田和樹、尾高忠明、ダン・エッティンガー、シャルル・デュトワ、大友直人、チョン・ミョンフン、ヤクブ・フルシャ、ミハエル・プレトニョフ、ジョナサン・ノット、飯森範親、アンドレア・バッティストーニ、ユーリ・テミルカーノフ、秋山和慶、シルヴァン・カンブルラン、エリアフ・インバル、クリストフ・エッシェンバッハの合唱指揮を務めている。
2006年4月から2010年3月まで東京二期会専属音楽スタッフとして活動し、2010年8月より新国立劇場音楽スタッフ、2019年4月に新国立劇場合唱指揮者に就任。
団体名の„Symphonieorchester der Auferstehung“ とは「復活交響楽団」のドイツ語訳で、いわば『復活』のためのオーケストラです。
„Auferstehung“ は動詞„auferstehen“ が名詞化したもので、「(上に)昇る」「(目的を)達成する」などのニュアンスを持ちます。この言葉は楽曲内では宗教的な意味をもちますが、同時に企画の成功を目指した言葉でもあるのです。