A: 昼間でも、青空の向こうには、夜間と同じく星はあります。 実は、望遠鏡を使うと昼間でも明るい恒星は見えてしまうのです。 このとき、夏であれは冬の星々が。冬であれはなとの星座が、というように半年ズレた星々が見えます。
日常的にそれらの星を見ることがないのは、星の明るさよりも青空の明るさの方が明るいからです。 しかし、だいたい1等星よりも明るい恒星であれば、天体望遠鏡を使うことで昼間でも観察することができるのです。
恒星からの光は天球上の 一点に集中しているため、明るい恒星だと空の明るさより明るくなります。小さな一点ですが、その場所を望遠鏡で拡大すると見えてしまうということです。
まとめると、天体望遠鏡を使うことで天体が見える理由は、天体が放射する光(電磁波)をレンズや凹面鏡で集めることで増幅し、観測者が測定できるレベルになるためです。
<もっと知りたい方へ>
恒星は自ら光(電磁波)を放射するため、その放射の特性を理解することが重要です。 恒星の放射は、主に熱放射と非熱放射の2つに分類されます。 熱放射は、天体の温度によって決まる連続的なスペクトルを持ちます。私たちが肉眼で恒星を眺める時、一般的には熱放射による光の方を感じます。非熱放射は、電波やX線で観測する際には特に重要になります。
星からの光をプリズム(分光器)で分解すると、恒星の表面にある元素の種類と量の応じて、連続スペクトル中に縞模様が見えます。この縞模様のパターンにより、恒星は様々な種類に分類されます。
A: 望遠鏡には「反射式」と「屈折式」があります(特殊なものとして「反射屈折式」というのもあります)。天体からの像を拡大するために凹面形状の鏡など“反射鏡”を利用した望遠鏡が「反射望遠鏡」です。像の拡大のためにレンズを組み合わせて作られたものが「屈折望遠鏡」です。「反射式」の場合、口径の大きな望遠鏡がつくれるというメリットがあります。
A: 「反射望遠鏡」のなかまです。19世紀にイギリスのジェームス・ナスミスさんによって考案されました。望遠鏡内に導いた光線を主鏡(放物面)で反射させ、それを鏡筒内の副鏡(双曲面)で反射させ、さらに平面鏡で光路を90°曲げます。この光線は、望遠鏡の架台の高度軸(望遠鏡を支えて回転させる軸)の内部を通り、鏡筒の外部に導かれ焦点を結ぶようになっています。したがって、この回転軸の先から覗くと像が見えることになります。望遠鏡がどの天体の方向を向いているかに依らず、覗き口がいつも同じ場所(高さ)になる事が特徴です。愛教大の60cm望遠鏡の場合、この回転軸に筒(平面鏡が内蔵された筒)が取り付けられていて、筒内の鏡で光路を曲げて筒先まで導いて、床の高さの覗き口から容易に観測できるようになっています。
A: 天球上の天体は、日周運動(地球の自転による見かけ上の天体の動き)に従って刻々と見える位置を変えて行きます。天体を望遠鏡で観測するためには、この動きに合わせて望遠鏡の向きを変えていかないといけません。このため、望遠鏡は「架台」とよばれる特殊な台に据え付けられています。
天球の任意の星に望遠鏡を向けるためには、「上下」方向と「左右(水平)」方向など、回転の軸が2つ必要です。望遠鏡を上下・左右に動かして天体を追尾するための架台は「経緯台式架台」といいます。愛教大の60cm望遠鏡の架台はこの方式です。一方で、二つの回転軸のうち一つを地球の自転軸に平行にした方式の架台もあります。これは「赤道儀式架台」と呼ばれます。愛教大の観望会で使用している小型望遠鏡の架台はこちらのタイプです。赤道儀式の場合、地球の自転軸に平行に設置した軸の周りに望遠鏡を動かせば、日周運動を容易に追尾できます。赤緯の異なる天体を観測したい場合には、もう一つの軸を利用して望遠鏡の向きを変えれば良いのです。
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「屈折望遠鏡」と「反射望遠鏡」にはどのような特徴があるでしょうか? それぞれのメリットとデメリットについて調べて下さい。
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経緯台式架台と赤道儀式架台のメリットとデメリットを調べてみよう。
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A: 重力が極めて強く、時間と空間(時空)が歪められた結果、私たちの宇宙から因果的に切り離された宇宙の別領域のことです。その境目は「事象の地平面」とよばれます。事象の地平面の内部にいったん入り込んだら、最も速い速度(光速)で脱出しようとしても、ブラックホールの内部領域から遠方に抜け出すことができません。
A: ブラックホールは、一般の恒星や惑星とは違って、何らかの物質から構成される「表面」というものがありません。宇宙飛行士がブラックホールの近くまで旅行しても、目の前に漆黒の世界が広がるばかりで、地平面を示す何の目印もありません。ブラックホールの近くを探検していて、ふと気がついたらブラックホール内部(地平面の内側)に入ってしまっていて地球に戻れない、という事もあるかも・・・。
ただし、ブラックホールの近くでは、強重力で時空が歪められる結果、光線は曲がって進むので、ブラックホール近くから観上げた星空の姿は歪んで見える事になります。その様子を観察することで、自分がブラックホールに対してどの位置にいるか判断できます。
A: 理論的には以下の3つの場合が考えられます。
1。大質量星の進化の最期の段階で誕生
2。 銀河が形成された時に誕生?
3。 宇宙が誕生した時に、同時に誕生?
天体観測的に形成の様子が観測された事はありません。
A: 存在すると考えられています。実際、ブラックホール存在を示す天体観測は多数あります(ブラックホール候補天体と呼ばれます)。現状では、それらの天体観測は間接的な証拠に留まっており、直接的な証拠のためにはより突き詰めた天体観測と理論的研究が求められます。
(補足)近年、「重力波の検出(ブラックホールの合体とされています)」「ブラックホール影の撮像」「銀河系中心の京大重力源の発見」などの大発見がもたらされています。これらはブラックホールの存在を観測的に強く示唆しています。とはいえ、ブラックホールが歪める時空の測定という意味では、まだまだ検証しなければならないことが残されています。今後の継続的ブラックホール 観測の試みが不可欠なのです。
ブラックホール存在の証拠、およびブラックホール時空の探査のためには、主として以下の方法が進められています。
1。ブラックホールの周りの天体の様子を調べます。
▸ ブラックホールを周回する星の軌道運動
▸ ブラックホールに落下するガスが明るく輝く様子を調べます
2。重力波の観測と波形の研究
これ以外にも狭い領域に大質量が集中しているという観測によって、ブラックホールの候補天体は多数見つかっています。おそらく全ての銀河の中心には巨大ブラックホールがあります。
A: あらゆる物質が中心に向かって落下しています。ブラックホール内部に特別な構造体はありません(ほぼ真空)。このことを観測的に確認する事は不可能です。
▸ 数学的には「時間」と「空間」の役割が入れ替わります。
▸ ブラックホールの中心には「特異点(密度が無限大)」があります。 そこでは我々が今知る物理法則は適用できず、新しい物理理論が必要と されます。
A: 足からブラックホールに落ちていくとして、ブラックホールに近づく程、足側と頭側の重力の差が大きくなるため(この力は「潮汐力」とよばれます)、人の体は引き伸ばされる事になります。この力(潮汐力)はブラックホールの大きさ(質量の大きさ)に依ります。
小さなブラックホール(恒星と同程度の質量をもつブラックホール)の場合には、足と頭の重力の差がとても大きくなって、 人の体は引きちぎられてしまいます。生きたままブラックホール内部に侵入するのは無理そうです。
大きなブラックホール(銀河の中心にあるような巨大ブラックホール)の場合には、人体に作用する潮汐力はさほど大きくないため、生きたままブラックホールに侵入できます。ただし、地平面を超えてしまったら落下し続ける事になります。いずれ中心の特異点に接近すると潮汐差が増大していくため、落下の途中で人体は引きちぎられる事になります。
もし、侵入したブラックホールが”超”巨大なブラックホールであれば、引きちぎられるまでの時間も長くなるため、ブラックホール内部で人生を全う出来るかもしれません。ブラックホールの内部の様子を論文にまとめることも出来そうですが(ノーベル賞級の業績!?)、地球の学会に報告する事は出来ません(笑)。
A: ブラックホール周りの重力は強力であり、何でも吸い込んでしまう訳ですが、それはブラックホールに近づいた場合の話です。ブラックホールから十分離れていれば、直ちに引き込まれる事はありません。宇宙飛行士などが重力で引き込まれそうになっても、離れているうちは、ロケット噴射などで脱出できます。
もしも、我々の「太陽」が突然同じ質量のブラックホールに置き換わったとしても、地球はいままでと同様の軌道上を運動します(吸い込まれる事はありませんのでご安心を)。
A: ブラックホールは一般相対論として導かれた「アインシュタイン方程式」の数学 的な解として以前から予言されていました。当時は、この宇宙にそんなものが(ブ ラックホールが)本当に存在すると考える人はほとんどいませんでした。
しかし、50年くらい前に X線天体衛星 を使用した天体観測が可能になったお かげて、ブラックホールらしき天体が続々と見つかるようになりました。そして 今では、他の方法の観測結果も考慮して、そのいくつかは実際にブラックホール なのだろうと考えられるようになりました(ブラックホール候補天体)。
さて、ホワイトホールについてですが、実はこれもアインシュタイン方程式の 数学的な解として導かれております。ただし、その存在の可能性は観測的には示 されておらず、また、ホワイトホールを作り出す理屈も見当たらないので、この 宇宙に実際にあると考えている研究者は少ないです。数学的な興味から研究を進 めている研究者はいます。
「土星の日周運動 」の動画 <ここをクリック> : (後藤 要)
天底望遠鏡 R130sfに6.3mmのアイピース(接眼レンズ)をつけ、Vixenの拡大撮影アダプターを使用して撮影しました。カメラはニコンのD750です。
天体望遠鏡を固定して土星を観察すると、日周運動のため土星は望遠鏡の視野の中を移動していきます。その様子を撮影しました。つまり、望遠鏡をのぞいていると、実際にこの速さで画面の中を動いていくんです! うかうかしていると、土星は見えなくなってしまいます。
この動画では、画面の左端から右端まで2分35秒かけて移動します。まったりと癒されてください・・・
編集にて上下左右を反転させているので、東から西に移動している様子がわかりやすいかと思います。
<準備中>
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