各ツールはGitHubからDLすることが可能です。
APOLLO(Advanced Patent & Overall Landscape-analytics Logic Orbiter)は、特許情報の取り込みから前処理、多角的な可視化、レポート生成までをワンストップで行うオープンソースの統合分析プラットフォームです。
中央制御システムであるMission Controlにデータを取り込むと、SBERT(Sentence-BERT)による文埋め込みとTF-IDFによるキーワード抽出が自動的に実行され、以降のすべてのモジュールが共通の前処理済みデータを参照します。搭載するモジュールは9つ。ATLASによる出願動向の基礎統計、COREの論理式分類エンジン、Saturn VとEAGLEによる機械学習ベースのクラスタリングマップ、MEGAの技術動態分析、Explorerのテキストマイニング・共起ネットワーク分析、CREWの発明者・出願人ネットワーク分析、そしてVOYAGERによるAIレポート自動生成。
最新のv6では、論文・ニュース・政策文書といった非特許文献(NPL)を特許データと統合して分析するNEBULAモジュールを新たに搭載しました。技術の結晶である特許と、社会の期待を映すNPLを重ね合わせることで、単一の情報源では捉えられない技術と市場の接点を可視化します。また、複雑な分析結果からAIがインサイトを抽出するためのプロンプトを自動生成するAI Insight機能により、可視化の「その先」——グラフを「見る」だけでなく「読む」ことを支援します。
APOLLOはMITライセンスのもとGitHubで公開されており、誰でも無料で利用できます。
KATHERINE(Knowledge Agent for Tactical Hypothesis, Expert Reasoning, Insight and Next-gen Evidence)は、APOLLOの上流工程を支援する分析設計アシスタントです。
特許情報分析において、ツールの操作方法を習得し、データを取り込み、グラフを描くことはできても、「そもそも何を明らかにしたいのか」「どのような仮説を検証すべきか」という設計の部分が曖昧なまま分析を始めてしまうケースは少なくありません。設計なき分析は、きれいな可視化を生みますが、意味のある洞察にはつながりにくい。KATHERINEは、この課題に対応するために開発されました。
「こんな分析がしたいが、どう進めればいいか」という漠然としたニーズを入力すると、KATHERINEがAIとの対話を通じて質問を返し、やりとりを重ねるなかで分析の輪郭を明確にしていきます。最終的な成果物は、検証可能な仮説、適切な母集団設計、そして具体的な分析手順の3つです。これらはMarkdown形式でエクスポートでき、APOLLOでの分析に直接活かすことができます。
KATHERINEの設計思想は「補助輪」です。分析者の代わりに分析を行うツールではなく、分析者自身の思考を整理し、視野を広げるための対話相手として機能します。入門者にとっては仮説駆動型分析のプロセスを体験する教育ツールとして、経験者にとっては自分の思い込みを検証する壁打ち相手として、それぞれの段階に応じた価値を提供します。
APOLLO Liteと同様にブラウザだけで動作し、サーバーは不要です。Google Gemini APIを利用するため、APIキーの取得が必要ですが、無料枠の範囲で利用可能です。ツール名は、アポロ計画の軌道計算を担い、宇宙飛行士たちの命を支えたNASAの数学者キャサリン・ジョンソンに敬意を表して名付けられました。
APOLLO Liteは、ブラウザだけで動作する軽量な特許マップ簡易作成ツールです。
本家APOLLOはStreamlit上で動作する本格的な分析プラットフォームですが、環境構築やサーバーの準備が必要になります。APOLLO Liteは、その敷居を取り払うことを目的として開発されました。約1,050行のシングルHTMLファイルにすべてが収まっており、ダブルクリックで開くだけで分析を始められます。サーバー不要、インストール不要、依存関係なし。データはブラウザの外に一切送信されないため、機密性の高い特許データを扱う場合にも安心して利用できます。
搭載する分析モジュールは7つ。時系列分析、出願人ランキング、IPC分類ランキング、マトリクス分析(ヒートマップ・バブルチャート)、ツリーマップ、ライフサイクルマップです。機械学習によるクラスタリングやネットワーク分析、AIレポート生成といった高度な機能は搭載していませんが、特許マップの基礎となる分析は一通りカバーしています。出願人ランキングやマトリクス分析ではバー・セルをクリックすると該当する公報リストが表示される詳細表示機能も備えており、グラフの俯瞰から個別公報の確認までをシームレスに行えます。
APOLLO Liteは、本家APOLLOの縮小版ではなく、「軽量であること」に独自の設計思想を持つツールです。特許情報分析に初めて触れる方の入り口として、あるいは出先での簡易的な確認用途として、本家APOLLOとは異なる役割を担います。
APOLLO CAPCOMは、APOLLOの分析結果をClaude Codeに受け渡すための通信モジュールです。
APOLLOにはv5からVOYAGERというAIレポート生成機能がありましたが、その役割はレポートの「たたき台」を作るところまでに限られていました。対話的な深掘りができない、モジュールをまたいだ統合分析ができない、体裁の整った本格的なレポートまでは届かない。CAPCOMは、この「残り90%」の問題に取り組むために設計されました。
基本的な考え方は、定量的な前処理と分析はAPOLLO(Python)が担い、定性的な解釈と言語化はClaude Codeが担うという分業です。APOLLOで分析を進めると、各モジュールの結果がJSONとして自動的にセッションフォルダに蓄積されます。CAPCOMはこのフォルダに、データ本体に加えて、スキーマ定義(各JSONの読み方)、分析フレームワーク(4層分析モデルやクロスモジュール分析の手法)、exemplar(レポートの見本)、SKILL.md(全体手順書)を一式格納します。Claude Codeはこのフォルダの中身だけで、データの理解からレポート生成まで自律的に遂行できる設計になっています。
名前の由来は、NASAのCAPCOM(Capsule Communicator)。地上管制室と宇宙飛行士の通信を仲介する役職です。Streamlitの中にあるAPOLLOのデータと、ターミナル/デスクトップアプリにいるClaude Codeの間に立って通信を橋渡しする、という役割をそのまま名前にしています。
なお、全モジュールの分析結果を統合したレポートを生成する場合、Claude Codeが大量のコンテキストを消費するため、Anthropicの上位プラン(Maxプラン推奨)が必要になる場合があります。この点は今後の改善課題です。