1 はじめに

BC1750年、Parnassus山の北を流れるCephisus川の上流で大洪水が発生した。

Ogygusに率いられたEctenesは、Cephisus川の下流へ移住して、Copais湖の南東に定住した。[1]

BC1580年、Hellenの父Deucalionの祖父に率いられたEctenesの一部は、Hyantesなどの他の部族によって圧迫されて、Boeotia地方から北へ移動した。DeucalionはThessaly地方北部を流れるPeneius川に南から流れ込むEnipeus川の源流付近に、Pyrrha (後のMelitaea)の町を創建した。[2]

Deucalionには、2人の息子たち、HellenとAmphictyonがいた。[3]

Hellenは、Phthiotis地方を治め、その地方の人々はHellenesまたはHellasと呼ばれた。[4]

Hellenには、3人の息子たち、Aeolus、Xuthus、Dorusがいた。[5]

BC1460年、Dorusは、Melitaeaの町からEnipeus川沿いに下って、Peneius川との合流地点の北側へ移住した。その地方は、Doris地方と呼ばれ、住人は、Doriansと呼ばれるようになった。[6]

BC1420年、Cadmus率いる大集団がThracia地方から南下して、Thessaly地方に侵入した。Doris地方に住んでいたDorusは、Doriansを率いて南へ移動し、Oeta山とParnassus山の間に定住した。[7]

その地方は、Doris地方と呼ばれるようになった。[8]

2 Dorusの子Deucalion

Hellenの子Dorusの息子はTectamusのみが伝えられているが、Deucalionという名前の息子もいたと思われる。つまり、BC1390年にThessaly地方からPelasgiansを追い出した者たちの父Deucalionである。[9]

BC1415年、Deucalionは、Oeta山とParnassus山の間のDoris地方から東側の海岸地方へ移住して、Opus湾近くに定住した。[10]

Deucalionは、Locris地方に初めて住んだGreekであり、Locriansの始祖であった。

Deucalionには4人の息子たち、Marathonius、Amphictyon、Pronous、Orestheusと、2人の娘たち、Protogenia、Thyiaがいた。[11]

BC1413年、Protogeniaは、Opus湾近くからThessaly地方のArneの町に住むHippotesの子Aeolusに嫁いだ。[12]

BC1387年、Thyiaは、Opus湾近くからThessaly地方のArneの町に住むHippotesの子Aeolusに嫁いだ。[13]

3 Deucalionの子Marathonius

BC1407年、Marathoniusは、Sicyonの町との戦いでArgosの町に加勢し、Sicyonの町のOrthopolisの娘Chrysortheを妻にした。[14]

Marathoniusは、BC2世紀の年代記作者Castorが伝えているSicyon王のリストに名を連ねている。[15]

しかし、それは、MarathoniusがSicyon王Orthopolisの娘婿であったためであり、実質的なSicyon王は、Aeolusの子Sisyphusの後裔たちであった。[16]

4 Deucalionの子Amphictyon

BC1410年、Amphictyonは、Opus湾近くから北西方向のThermopylae付近の海岸近くへ移住して、Antheia (or Anthela)の町を創建した。[17]

Amphictyonは、Chthonopatraと結婚して、2人の息子たち、ItonusとAetolusが生まれた。[18]

4.1 Amphictyonの子Itonus

4.1.1 Itonusの創建

BC1392年、Itonusは、Antheiaの町からThessaly地方のPagasetic Gulf西岸へ移住して、Itonusの町を創建した。[19]

少し前に、Aeolusの子AthamasがItonusの町の近くにHalusの町を創建していた。[20]

Itonusは、Athamasの父Aeolusの兄弟Dorusの子Deucalionの子Amphictyonの息子であった。つまり、Athamasは、Itonusの祖父の従兄弟であった。

4.1.2 Itonusの妻Melanippe

BC1391年、Itonusは、Itonusの町の西北西約60kmの所にあるCuarius川近くのArneの町から、Aeolusの娘Melanippeを妻に迎えた。[21]

BC1390年、大津波がThessaly地方の沿岸部に住むPelasgiansの町を襲い、Pagasetic Gulf の岸辺のHalusの町は津波によって洗い流された。[22]

Itonusの町は、津波の被害は免れたものの、住居を失ったPelasgiansに襲撃された。Itonusの妻Melanippeは、PelasgianのDiusによって、戦利品として連れ去られた。[23]

Dius率いるPelasgiansは、Dodonaを経由して、Italy半島へ移住した。[24]

Melanippeは、Italy半島南部のMetapontiumの町まで連れて行かれ、その地で2人の息子たち、BoeotusとAeolusが生まれた。[25]

戦争捕虜となった娘から息子が生まれた例として、つぎのものがある。

OeneusとPeriboeaの息子Tydeus、HeraclesとAstyocheの息子Tlepolemus、HyllusとIoleの息子Cleodaeus、AlcmaeonとMantoの息子Amphilochus、PleuronとXanthippeの息子Thestiusなどがある。[26]

4.1.3 Pelasgiansの追放

Itonusの父Amphictyonは、PelasgiansをThessaly地方から追い出すために同族を結集した。

参加した部族は、つぎのとおりであった。[27]

Deucalionの子Amphictyon率いるDorians。

Aeolusの子Hypseusの子Deimachus率いるPelion山近くのMagnesians。

Melanippeの父Aeolus率いるPhthiotians。

Hellenの子Xuthusの子Ionの息子たち率いるIonians。

Delphi周辺に住むPhocians。

ThermopylaeとOpusの町の中間のくぼ地に住むLocrians。

Thessaly地方のMalians、Dolopes、Perrhaiboi、Aenianians。

これらの部族は、後にArgosの町のAcrisiusによってAmphictyonsとして組織された。[28]

Deucalionの子Amphictyonに追われたPelasgiansは、Thessaly地方から各地へ移住した。[29]

Pelasgiansは、BC1560年にArgosの町からPelasgusの娘Larisaの家族に率いられてThessaly地方へ移住して来て、170年間住んでいた。

4.2 Amphictyonの子Aetolusの子Physcius

Amphictyonの子Aetolusには、息子Physciusが生まれた。[30]

Physciusは、Proetusの娘Maeraと結婚して、息子Locrusと娘Thebeが生まれた。[31]

BC1370年、Physciusは、Locris地方にPhyscusの町を創建した。[32]

Physcosの町は、Thermopylae付近のAsopus川の近くにあったと思われる。[33]

Physciusの娘Thebeは、Asopus河神の娘であった。[34]

4.2.1 Physciusの娘Thebe

BC1332年、Thebeは、Boeotia地方のEutresisの町に住むEleutherの子Zethusに嫁いだ。ZethusとThebeには、息子Neisが生まれた。[35]

BC1325年、Zethusは、双子の兄弟Amphionと共に、Labdacusの子Laiusの後見人Lycusが統治するCadmeiaの町を攻めて、町を占領した。[36]

その後、Amphion一家は悪疫のために死に、ThebeもZethusとNeisを失った。[37]

ZethusがCadmeiaの町の下方につくった町は、Thebeの名前に因んで、Thebesと呼ばれた。Thebesの町のNeistan gateは、Thebeの子Neisに因んで名付けられた。[38]

また、Proetidian gateは、Thebeの母Maeraの父Proetusの名前に因んで名付けられた。[39]

4.2.2 Physciusの子Locrus

Locrusは、Physcusの町に住み、Cambyse (or Cabye, Protogeneia)と結婚して、息子Opusが生まれた。[40]

BC1325年、Locrusは、義兄弟たち、AmphionとZethusと共にThebesの町へ遠征した。[41]

この遠征の後で、Locriansの一部は、Boeotia地方へ移住した。Aristotleは、LelegesがBoeotia地方を領したと伝えている。[42]

Locrusの名前に因んで、Locrusの住む地方は、Locris、その地方に住む人々は、Locriansと呼ばれるようになった。[43]

4.2.3 Locrusの子Opus

BC1262年、Opusは、Physcusの町からThermopylaeとEuripus海峡との間へ移住してOpusの町を創建し、息子Cynusをもうけた。[44]

Opusは、町の住人を各地から募集し、Argosの町やThebesの町、Arcadia地方の町やPisaの町から人々が移住して来た。Opusは、移住者の中で、Phthiaの町から移住して来たActorの子Menoetiusを最も尊敬して、Menoetiusを自分の後継者にした。[45]

4.2.4 Lelegesの誕生

Leleges (or Lelegians)が、Locrusの名前に因んで、Locriansと呼ばれるようになったという伝承がある。[46]

しかし、Locris地方に住む人々が、Lelegesと呼ばれるようになったのは、Opusの町の創建後と思われる。

Opusの町には、Doriansの他に、Argives、Thebans、Arcadians、Myrmidonsが住んでいた。彼らは、混血して、特定の種族に属さない人々に与えられた名称であるLelegesと呼ばれた。[47]

4.2.5 Opusの子Cynus

BC1260年、Cynusは、Opusの町から、Opus湾近くへ移住して、Cynusの町を創建した。[48]

BC1260年、Cynusの娘Larymnaは、Cynusの町から東側のCephisus川の河口近くの町へ嫁いだ。その町は、彼女の名前に因んで、Larymnaと呼ばれるようになった。[49]

Larymnaの町は、Opus地方に属していたが、Thebesの町の勢力が強くなると、Boeotia地方に属するようになった。[50]

4.2.6 Cynusの子Hodoedocus

Cynusの子Hodoedocus (or Odoedocus)は、Cynusの跡を継ぎ、Hodoedocusの跡を彼の息子Ileusが継承した。[51]

BC1250年、Ileusの兄弟Oileus (or Oeleus)は、Cynusの町から西方の内陸部へ移住して、Narycusの町を創建した。[52]

BC1245年、IleusとOileusの異母兄弟Calliarusは、Cynusの町の近くに自分の名に因んだCalliarusの町を創建した。[53]

4.2.7 Trojan War時代

OileusとEriopisとの間の息子Ajax (or Aias)は、父の跡を継いでNarycusの町に住み、Locriansを率いてTroyへ遠征した。[54]

BC1220年、Ajaxの異母兄弟Medonは継母Eriopisの兄弟を殺害して、Narycusの町からThessaly地方のPhylaceの町へ移住した。[55]

その後、Medonは、Magnesiansを率いてTroyへ遠征した。[56]

5 Deucalionの子Pronous

BC1390年、Pronousは、兄弟のAmphictyonと共に、Thessaly地方からPelasgiansを追い出して、Thessaly地方に定住した。[57]

Pronousの子Hellenの子Neonusの子Dotusは、Thessaly地方のDotium平原にあったDotionの町に自分の名前を与えた。[58]

Pelasgiansが去った後のDotium平原には、Peneius川近くに住んでいたPerrhaiboiやAenianiansが移り住んだ。[59]

Pronousは、Pelasgusの娘Larisaの子Phthiusの後裔が去った後のPhthiaの町に住んだ。[60]

5.1 Pronousの子Hellenの子Neonus

Neonusは、Phthiaの町を継承し、Cletor (or Clitor)の娘Eurymedusaを妻に迎えて、2人の息子たち、DotusとMyrmidonが生まれた。[61]

Myrmidonの後裔については、『Myrmidonsの系譜』に記述する。

5.2 Pronousの子Hellenの子Hippocoon

AD1世紀初期の著作家Hyginusは、Nestorの父Neleusの父の名前をHippocoonとしている。しかし、Neleusの父はAeolusの子Cretheusであり、Hippocoonは、Cretheusの妻Tyroの前夫の名前であった。[62]

HippocoonとTyroの息子Amythaonは、Eleia地方へ移住する前に、Thessaly地方のPylusの町に住んでいた。[63]

Pylusの町は、Thessaliotisにあり、PelasgianのCrannonが創建したCrannonの町の近くにあった。[64]

Pylusの町は、BC1390年にThessaly地方内に住んでいたPelasgiansが追い出されてから創建された町であった。BC1340年、HippocoonがPylusの町を創建したと推定される。[65]

5.3 Hippocoonの子Amythaon

BC1303年、Amythaonは、Thessaly地方からEleia地方へ移住して、Pylusの町を創建した。[66]

BC1292年、Amythaonの息子たち、MelampusとBiasは、Eleia地方の南へ移住して、Lepreatic Pylusの町を創建した。[67]

BC1290年、MelampusとBiasは、Argosの町へ移住した。[68]

BC1275年、Biasの息子と思われるHyettusは、Argosの町からBoeotia地方へ移住して、Hyettusの町を創建した。[69]

BC1247年、Melampusは、Megara地方へ移住した。[70]

BC1204年、Melampusの後裔Alcmaeonは、Acarnania地方へ移住してArgos-Amphilochicumを創建した。[71]

5.4 Hippocoonの子Pheres

BC1303年、Hippocoonの子Pheresは、Phyllusの町からIolcusの町の近くへ移住してPheraeの町を創建した。[72]

5.5 Hippocoonの子Aeson

BC1300年、Hippocoonの子Aesonは、Phyllusの町からPagasetic Gulf近くへ移住して、Aesonis (or Aeson)の町を創建した。[73]

BC1247年、Aesonの子Jasonは、Aesonisの町からCorinthの町へ移住した。[74]

BC1237年、Jasonは、Corinthの町からCorcyra島へ移住した。[75]

6 Deucalionの子Orestheus

BC1410年、Orestheusは、Opus湾の近くからOzolian Locris地方へ移住した。[76]

Orestheusの子Phytiusの子OineusがAmphissaの町に住んでいたことから、Orestheusの定住地は、Amphissaの町であったと推定される。[77]

Orestheusには、息子Phytiusが生まれた。

6.1 Orestheusの子Phytiusの子Oineus

BC1356年、Phytiusの子Oineusは、Lesbos島に住むMacareusの娘Amphissaを妻に迎えて、息子Aetolusが生まれた。[78]

Aetolusの住む町は、母の名に因んでAmphissaと呼ばれた。[79]

6.2 Oineusの子Aetolusの子Andraemon

BC1266年、Aetolusの子Andraemonは、Calydonの娘Protogeniaを妻に迎えて、息子Oxylusが生まれた。[80]

6.3 Andraemonの子Oxylusの子Andraemon

BC1222年、Oxylusの息子Andraemonは、Calydonの町からOeneusの娘Gorges (or Gorge)を妻に迎えて、息子Thoasが生まれた。[81]

Andraemonの義父OeneusがAetolia地方から追放された。[82]

BC1202年、Andraemonは、Tydeusの子Diomedesと共にAetolia地方を奪い返した。[83]

Andraemonは、Ozolian Locris地方とAetolia地方を支配し、多くのLocriansがAetolia地方へ移住した。[84]

6.4 Andraemonの子Thoas

BC1202年、Thoasは、Aetolia地方を治めるために、Amphissaの町からCalydonの町へ移住した。[85]

Thoasは、Aetoliansを率いてTroyへ遠征した。[86]

6.5 Thoasの子Haemonの子Oxylus

Oxylusは、HeracleidaeのPeloponnesus帰還時に案内役を務めた。[87]

BC1105年、Oxylusは、Aetoliansを率いて、Elisの町へ移住した。[88]

この時、Oxylusと共に移住した人々は、Endymionの子Aetolusと共にElisの町からAetolia地方へ移住した人々の子孫であった。

BC29年、RomeがAetolia地方に住んでいた人々をNicopolisの町へ移住させようとしたとき、大部分の人々は、Amphissaの町へ移住した。[89]

7 Locriansの居住地の広がり

BC1415年、Locriansは、Opus湾近くで誕生した。

BC1410年、Opus湾近くに住んでいたLocriansは、Thermopylae付近へ移住して、Antheiaの町を創建した。

BC1405年、Opus湾近くに住んでいたLocriansは、Ozolian Locris地方へ移住して、Amphissaの町を創建した。

BC1392年、Thermopylae付近に住んでいたLocriansは、Thessaly地方のPagasetic Gulf西岸へ移住して、Itonusの町を創建した。

BC1390年、Thermopylae付近に住んでいたLocriansは、Thessaly地方のPhthiaの町へ移住した。

BC1340年、Phthiaの町に住んでいたLocriansは、近くへ移住して、Pylusの町を創建した。

BC1303年、Thessaly地方のPylusの町に住んでいたLocriansは、Eleia地方へ移住して、Pylusの町を創建した。

BC1292年、Pylusの町に住んでいたLocriansは、Eleia地方の南へ移住して、Lepreatic Pylusの町を創建した。

BC1290年、Lepreatic Pylusの町に住んでいたLocriansは、Argosの町へ移住した。

BC1275年、Argosの町に住んでいたLocriansは、Boeotia地方へ移住して、Hyettusの町を創建した。

BC1262年、Thermopylae付近に住んでいたLocriansは、Opus湾近くへ移住して、Opusの町を創建した。

BC1250年、Opusの町に住んでいたLocriansは、Opusの町とThermopylaeの間の内陸部へ移住して、Narycusの町を創建した。

BC1247年、Argosの町に住んでいたLocriansは、Megara地方へ移住した。

Pylusの町に住んでいたLocriansは、Corinthの町を経由して、Corcyra島へ移住した。

その後、Phthiaの町に定住していたLocriansから、Myrmidonesが誕生した。

8 ギリシア暗黒時代

Locriansは、Epicnemidian LocrisとOzolian Locris地方に居住していた。

また、Locriansは、Boeotia地方、Acarnania地方、Corcyra島にも住んでいた。

おわり