Reiji SUZUKI(鈴木麗璽), Ph.D.
准教授
名古屋大学大学院情報学研究科
複雑系科学専攻
創発システム論講座
Contact:
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院情報学研究科棟513号室
phone/fax: +81-52-789-4258
e-mail: reiji@nagoya-u.jp
メンバ
Reiji Suzuki (Associate Prof.)
Zineb Alhamer (D3)
Shinji Sumitani (D3)
Hiroo Watanabe (M2)
Takahiro Banno (M2)
Zhao Hao (M2)
Ryo Furuyama (M1)
Kenta Asakura (M1)
Riku Shimamoto (M1)
Masaya Hiramoto (M1)
Souichiro Hirata (B4)
Kota Ishigami (B4)
興味の対象
この世界は,たくさんの要素が集まって,互いに影響しあうことで出来上がっています.このとき,各要素を見ているだけでは予測が つかないような特性が,集まり全体の特徴として現れることを創発現象と言います.この創発現象は,生命を生命らしくする大事な特徴の一つだと考えられてい ますが,果たしてどのようなメカニズムで生じているのでしょうか?コンピュータの中に人工世界(社会)を作り出し,その中で繰り広げられる主体間の相互作 用の様子を観察することで,創発的な現象が生じる鍵となるメカニズムを明らかにしようとしています.具体的には次のようなトピックに焦点を当てて研究して います.
プロジェクト
進化と学習の相互作用,ボールドウィン効果
生物には,個体レベルの学習と,集団レベルの進化という2つの適応的なプロセスが存在します.これらがどのような関係を持っているか,また,その関係がど のように変化してきたかは,いわゆるLamarck的な獲得形質の遺伝の是非に端を発する100年以上前から議論されてきた生物学的に重要な問題となって います.もちろん,現在では獲得形質が遺伝する仕組みの存在は否定されていますが,それでもなお,生涯のうちで個体が環境と相互作用することで生じる表現 型の変化=表現型可塑性が,遺伝子レベルの進化に大きな影響を与えうるということが示されています.この研究室では,進化と学習の相互作用のひとつであるボールドウィン効果と呼ばれる現象に注目し,進化の過程に対する学習の役割のダイナミックな移り変わ りについて,抽象モデルを用いて解析しています.
現在では,特に,科研費新学術領域「共創的コミュニケーションのための言語進化学(代表:岡ノ谷一夫(東大))」において,C01班「言語の起源・進化の構成的理解(代表:橋本敬(JAIST))」の分担研究者を担当し,「言語能力の生物進化と文化進化の相互作用」について研究しています.
進化とニッチ構築
「生物は(進化の過程で)自らを環境に適応するように作り変えてきた」という話をよく耳にしますが,最近,「生物は自らが適応的になるように環境を作り変 えてきた」という新しい考え方を取り入れた研究がなされてきています.このような,生物がもたらす環境の改変はニッチ構築と呼ばれ,バクテリアの動物質の 分解から,トリやビーバーなど多くの動物の巣作り,人間の文化的活動まで至る所で存在し,ニッチ構築を行う生物やその周りの生物たちの進化の過程に大きな 影響を与えてきたと考えられます.そこで,ニッチ構築を考慮した環境との相互作用に注目した人工生命モデルを構築し,そこに存在する普遍的な進化ダイナミ クスを明らかにしようとしています.
協力行動の創発と進化,空間的局所性,ネットワーク構造の進化
利己的な集団において,どのようにして協力行動が生じるかは,繰り返し囚人のジレンマゲームをはじめとして,さまざまな文脈で議論されてきました.我々 は,個体間の相互作用の関係とその進化が協調行動の創発に与える影響に注目し,その共進化の過程の解明を目指しています.
仮想生物の進化
二次元・三次元の仮想空間で,ブロックや細胞が集まってできた仮想生物の進化の様子を観察することで,生命の新奇性(今までない機能や構造が生まれること)や,多様性(個体間や種間で生命の特徴に違いがあること)について理解を深めようとしています.いわば,仮想生物を使った「エコ・デボ・エボ(生態・発生・進化)」理解への取り組みです.上記のコミュニケーションの進化やニッチ構築の進化なども,シンプルなモデルと同時に,仮想生物アプローチで研究しています.
related resources (in Japanese)
野鳥の歌を介した相互作用の理解
野鳥は春から夏の繁殖期にかけて,縄張りの主張や求愛のために雄が歌を歌います.我々は歌を介した種間・個体間の相互作用に興味を持っていて,人工生命モ デルやAI技術を活用した理解に関する基礎的研究を行っています.具体的には,種間において,同時に歌うことを避ける時間的重複回避行動の適応的意義を エージェントベース進化モデルを用いて調べています.また,最近では,名古屋大学の演習林(稲武フィールド)やカリフォルニアにおいて,マイクロホンアレイ を用いて実際の歌行動を録音し,ロボット聴覚ソフトHARKを用いて分析することも始めています.
院生募集
以上の方針のもと,名古屋大学人工生命ラボラトリィ鈴木ユニットで修士課程の研究をしたい人は,名古屋大学大学院情報科学研究科複雑系科 学専攻に入学する必要があります.興味のある方は気軽にこちらま でお問い合わせください.