SURVEY
ワークショップ開催に先立つ2020年11月、オーガナイザーは『AI倫理』のよくあるテーマのうち、重要だと思われるテーマについてアンケートを実施しました。
In November 2020, prior to holding the workshop, the organizers held a poll asking respondents to choose which common topics in “AI Ethics'' were important to them. Results in English are below.
アンケート調査まとめ
25歳以下の回答者は、25歳以上の回答者よりも「公平性」を重視
25歳以上の回答者は、25歳以下の回答者よりも「安全性」や「プライバシー」を重視
25歳以上と25歳未満の共通の課題は「悪用や誤情報」
回答者
回答者80人（オーガナイザーの知人のネットワークにアンケートを送った後）
性別：男性78.2％、女性19.2％、無回答2.6%
平均年齢： 42.13歳（標準偏差＝14.54）
テーマの説明
プライバシー
Web閲覧履歴や購買履歴、SNS投稿や移動履歴などの個人情報をAIに学習させることで、個人にカスタマイズした商品のリコメンドや健康維持など利用者に最適なサービスの提供が可能となっている。
災害対策や医療分野においては円滑なデータ共有も必須である。個人情報の利用に関してはサービス提供企業だけではなく、政府やプラットフォーマー企業によって不正な使用が行われないよう制限されている。
しかし、近年、AIが様々な分野で使われるようになっていく中、個人情報の目的外利用や外部への無断提供などの事件が生じている。
公平性
膨大なエントリーシートや医療診断、裁判の判例など大量のデータを学習させることで、人事担当者や医者、裁判官など専門家の判断支援サービスの提供が可能となっている。
専門家や担当者の負担軽減効果がある一方、AIの予測可能性が完全ではなく、データの不完全性から特定のグループに対して不公平な判断傾向を示すことも指摘されている。そのため、AIは支援サービスであり最終判断は人間が行うべきなどユーザー側で利用制限されている。
しかし、近年、AIが様々な分野で使われるようになっていく中、AIによる不当な差別や不公平な判断などの事件が生じている。
悪用や誤情報
ユーザーが写真や音楽のデータを加工して動画を投稿したり、ユーザーの書き込みを学習して、そのユーザーに合わせた発言ができるAIサービスの提供が可能となっている。ユーザー同士での共有で楽しめる一方、偽データの流通による社会の混乱が指摘されている。そのため、悪用されないためにも加工情報であることの注意喚起やファクトチェックなどの試みがプラットフォーマーなどによって行われている。しかし、近年、このようなサービスが多くの人に使われるようになっていく中、偽データや誤情報による事件が生じている。安全性
自動運転車や無人の公共交通機関などでAIサービスが導入され、高齢化社会や働き方改革等の困難な社会問題の解決という面でも期待されている。一方、AIの予測性能の不完全性や環境変化の影響による誤認識も指摘されている。そのため、AIサービスの開発者や公共機関では安全性の確保や問題発生時の適切な対応、被害者への補償が議論されている。しかし、近年、このようなサービスの社会実装が進む中、自動運転車による事故などが生じている。尊厳
故人の画像や音声などのデータをもとに、その人そのものの表現や絵画など特定のスキルを再現するAIサービスが可能となっている。これは、「亡くなった人にもう一度会いたい」「新作を見たい」というニーズを満たす一方、尊厳を侵害しているなどの問題も指摘されている。そのため、故人の情報保護法の在り方についての議論が行われているほか、AIサービスの開発者や遺族、メディアなどは関係者間の合意形成が求められている。しかし、このようなサービスの社会実装が進む中、有名人や一般人を含めた様々な人のAIによる「よみがえり」に関して反対の声が上がっている。未来の仕事
AIに学習させることで高度な技術の伝承を行ったり、仕事の無人化・高速化を実現することが可能となっている。ビジネス競争力確保だけではなく、働き方改革等の社会課題の解決という面も含む一方、「AIに仕事を奪われる」や「AIへ過度に依存することで、人間がAIを制御できなくなる」などの懸念が指摘されている。そのため、AI導入においては、技術利用の再教育や、政策関係者による技術的失業等への対応などが検討されている。しかし、近年、AIが様々な分野で使われるようになっていく中、技術によって仕事を奪われることを懸念する人たちが声を上げる事件が生じている。アクセス
AIを始めとする技術の利活用を進めるために必要な高速な通信網や大量なデータの整備が可能となっている。これにより、イノベーションの促進や社会課題解決が期待されている。一方、インフラの未整備や情報アクセスの不便さが、より情報/経済格差を加速する可能性が懸念されている。そのため、都心や先進国だけではなく、地方や新興国における開発支援や高齢者・障碍者支援の対応が進められている。しかし、近年AIの社会実装がAIの先進国で進む中、イノベーションに成功した国・企業がデータを独占的に収集して競争環境が維持されなくなる事例が生じている。Results (English)
In November 2020, prior to holding the workshop, the organizers held a poll asking respondents to choose which common topics in “AI Ethics'' were important to them.
Key takeaways from the survey
Respondents under 25 years old valued fairness more than respondents over 25 years old
Respondents under 25 years old valued safety and privacy less than respondents over 25 years old
Misuse and misinformation were shared worries among respondents over and under 25 years old
Respondents
80 respondents (after the survey was advertised on the organizers' professional networks)
Gender breakdown: Men - 78.2%, Women - 19.2%, No response - 2.6%
Average age: 42.13 years old (standard deviation = 14.54)
Theme Descriptions
Privacy
By training AI on personal information including web history, purchase history, SNS data, and travel information, it is possible to provide services that are optimized to each user, including customized product recommendations and personal fitness guidance.
Seamless data sharing is also essential in the fields of disaster prevention and healthcare. To prevent unauthorized use of personal data, restrictions have been placed by governments, platform providers, and service providers.
As AI has been used in various fields in recent years, there have been incidents where personal information was used for purposes other than what was intended, or provided to third parties without consent.
Fairness
By learning from a large amount of data including resumes, medical diagnoses, and court precedents, AI can support decision-making by human experts, such as HR managers, doctors, and judges.
While this can reduce burden on human experts, AI predictions are imperfect, and incomplete data can lead to unfair decisions about certain groups. For this reason, users of AI have constrained its use, with some treating it merely as a support tool and leaving final decisions up to people.
In recent years, as uses of this type of AI has increased, there have been numerous incidents of unfair discrimination and judgement.