"Athemore"
最初にして最大の一歩
"Athemore"
最初にして最大の一歩
2026/2/11
先日、ついに私が最初に翻訳を担当させていただいたAces Games様のゲーム「Athemore」の実機確認プレイを行いました。
この記事では私の実際の活動について、個人的な感想を交えながらより詳細を皆様にお届けできるよう実機ならではの改善事例などを報告いたします。
開発者/ゲーム紹介
itch.io:Aces Games
Aces Games様は私のプロジェクトに最初に協力してくれたインディーゲーム開発者様です。デンマークに拠点を置き、ソロでゲーム制作活動を行っています。
彼はゲーム制作に対する拘りを有しており、現代にはないレトロゲームの独自のゲームプレイのメカニクスを重視しており、プレイヤーに対する挑戦的な内容や、プレイヤーの行動がゲームに影響を与える、そういった構成を好んでいます。
今回私が翻訳させていただくことになった「Athemore」もまさにそのような設計になっております。プレイヤーはフィールド上にちりばめられている手記とアイテムを参考にゲームをプレイしますが、その結末は一つではありません。プレイスタイルによって十以上存在するエンディングのどれかにたどり着きます。
Steam Link:Athemore
また、足を止めて思考することが多い本作ですが、ゲーム内には世界観を壊さないように各所にヒントも散りばめれており、理不尽な難しさは無くバランスの取れた難易度を実現できていると実機プレイで実感できました。
ただ、ホラーゲームとしてのクオリティがとても高いので、びっくり系に弱い方は要注意です。
UI・フォントの最適化
ゲームを起動してすぐに私はゲーム内言語を日本語に設定しました。その瞬間、自信が翻訳したテキストが初めてゲーム画面に映され、とても胸が熱くなりました。私にできるのはテキストを用意するところまでで、実際にゲーム内への繁栄は自分一人では成し得られないことです。誰かが自分の活動に協力してくれている、それを形にしてくれているということを実感し、本当にうれしくなりました。
しかし、やはり単にテキストを見るだけでは気が付くことができない翻訳のニュアンス、表現方法があることにもすぐに気が付きました。例えば、日本のゲームでも英語のテキストを残すことはとても多いです。特に、設定画面やUIのテキストはそういった傾向がとても強いです。また、ゲームの世界観を統一するために、あえてゲーム内テキストを英語のままにすることも少なくありません。
本作の画面右下には戦利品を集めた「Loot」という表示があります。私はゲームをプレイするまで一先ず「戦利品」と翻訳しましたが、実際にゲームをしていると画面に映る遺跡の世界観と日本語のフォントはあまりにミスマッチでした。そのため、実機プレイ後は「戦利品」は原文の「Loot」という表記に戻しました。
また、メニュー画面のUIのサイズが大きくて文字が被ってしまう、見えなくなってしまうという問題と、漢字の表記が現代の日本のものと異なることを報告し、迅速に対応していただきました。企業と違い、Discordを用いて「会話を行っている」からこそできる連携を実感しました。
Tips:漢字には意味は同じでも現代では使われない古い字体、あるいは日本では使われない中国で使用される字体があります。これらは基本的にユーザーの体験を損ねるものではありませんが、こういった修正箇所は実機プレイを通さないと確認することが不可能です。今回の例:神(現代)/神(修正していただいた中国の字体)
このように、実機での確認を行うことで大幅な品質の向上を図れることを実感しました。
左・修正前/右・修正後
バグの発見と報告
これは私が翻訳作業を行う前の話ですが、Aces Games様から参考のためにAthemoreをプレイさせていただいたときの話です。翻訳作業に取り掛かる前に世界観を知るためゲームをプレイしましたが、シンプルながら雰囲気のあるゲーム性に私はプレイを楽しみながらAthemoreについて理解を深めました。
しかし、一度閉じたゲームを再びプレイしようとセーブデーターを読み込もうとしたとき、ロードが100%で止まりゲームが進まなくなりました。あらゆるパターンでロードの不具合を試したところ、いくつかの条件でロードができなくなってしまうことに気が付きました。それについて報告したところすぐにバグに関する詳細な状況を確認していただき、今なおバグの修正にご尽力いただいているとのことです。
また、実際に翻訳を確認するための実機プレイではマップ上に置いてあるオブジェクトのメッシュの一部の面が裏面になっていて非表示になっている個所も発見し、それについても報告をしました。
私の役目はデバッグではなく翻訳である、というスタンスを持っていたので最初は報告をためらいましたが、Aces Games様が快くそれらのバグに対応してくれたおかげで私は新たなサービス拡大の道に気が付くことができました。そして事業の内容を単に翻訳ではなく、翻訳を始めとした日本市場への進出へ移すアイデアを思い付き、今はそれらの活動計画も並行して進めております。
実際にゲームをプレイして見えたこと
私はテキストを翻訳している際、十分なクオリティでの翻訳をできていると自信を持っていました。しかし、それは早計でした。
実機プレイ後わずか数分で世界観に合わせたいくつもの修正箇所が見つかり、微調整を行い整えたものだけではなく、開発者様に直接連絡するほどの大幅な、あるいは特殊な変更もしました。
言葉だけではなくフォント、文字の見え方、表示のタイミング、位置、あらゆる要素がユーザー体験に直結していることを実感し、私が最も重視すべきは「書く」ことではなく「見る」ことだと理解しました。
今なお実機プレイを続け翻訳の確認を行っておりますが、より一層Aces Games様、そして現在ご協力していただいてる開発者様方と連携し、クオリティの高いサービスの提供に努めたいと、そう思わずにはいられない大きな一歩でした。