◎須藤 敏昭(大東文化大学名誉教授)
以下の柱立てでお話する予定です。
Ⅰ:ChatGPTのインパクトと「記号接地問題」
・「記号接地問題」とは何か
・各種の人工知能関連本を読んでみた
・今井むつみ著『言語の本質』と『学力喪失』を読んで
Ⅱ:戦後の学力論再考
・戦後の学力論と学力論争
・現行学習指導要領の学力観
・学力観対抗の構図
・「記号接地」と学力論
Ⅲ:技術教育のこれからを考える
・英国の技術教育の現在(CDTから、DTとComputinngへ)
・日本の技術教育の重点移動?(2017年版学習指導要領と今後)
・検定教科書を読んでみて(中学校「技術科」と高校「情報」)
・「技術」の学力とは
◎谷池真彦(つくば市立竹園西幼稚園園長、前つくば市立みどりの学園義務教育学校校長)
本講座では、つくば市の ICT 教育を先導してきた谷池真彦氏(前みどりの学 園義務教育学校校長、現竹園西幼稚園園長)による AI 活用実践の軌跡と、未来 に向けた挑戦を紹介します。一教員の関心やスキルに依存せず、学校全体で AI を活用するためにはどうすればよいのか。管理職として、校内にどのような機運 を生み出し、どのようなマネジメントが必要か。その具体的な取り組みと工夫に ついて、みどりの学園での実践を基に語ります。
加えて、定年後に就任した竹園西幼稚園では、紙と手作業に依存するアナログ な環境において、XR(AR・VR)技術を用いた革新的な実践を展開中です。AI や XR が幼児の「遊びこみ」や「探究心」にどのように寄与できるか、そして組 織風土が異なる現場でいかに変革を進めているかを具体的に解説します。
今、教育の現場に求められているのは、“技術を活用する力”ではなく、“技 術で共鳴を生み出す力”です。学校全体で取り組むための視座を得たい管理職 や実践的ヒントを求める先生方にとって、明日からの一歩に繋がる内容です。
◎京免徹雄(筑波大学)
Tokkatsuをはじめとする日本型教育の海外展開は、日本の学校に何を投げかけているでしょうか。本講座では、国際比較から浮かび上がった日本型教育の光と影に注目しながら、特別活動を要とするキャリア教育の課題と意義について検討します。
日本の子ども・若者のキャリア形成は急速に個人化しつつあり、それに呼応するように社会的・職業的自立に向けて「強い」個人を育成するキャリア教育政策が推進されてきました。しかし、現実には自立できている若者は一部にすぎず、中退者、若年無業者、早期離職者などメインストリームから外れ、孤立している者も少なくありません。
一方で、日本特有の学級集団や学校集団を生かした協同的な意思決定は、欧米の独立的自己観に立ったキャリア教育理論・実践に対するオルタナティブを提供しうるものです。人との関係性・つながりに基づく個人のウェルビーイングの向上は、困難を抱えている人に寄り添い、解決に向けて互いに支え合う、ウェルビーイングの高い社会の形成に寄与します。「自分の生活のため」に偏っている現代の若者の職業観も、意味ある他者との出会いや対話を通して、編み直していくことができるのではないでしょうか。
このように本講座では、意思決定を個人の自由と自己責任に全面的に帰するのではなく、よりよい人生と公正な社会の実現に向けて「ともに歩む」キャリア教育の可能性を考えていきます。
◎児島 高徳(大学非常勤講師(工業))
生徒の笑顔を思い浮かべながら、生徒の気分になって教材を体験してみませんか?インターネットにはさまざまな教材が紹介されていますが、やはり体験してみると理解が深まります。この講座では教材を作って理解して楽しめる講座です。プリントや作った物があるので、2学期の授業でぜひ生徒と一緒に楽しんでください。win版PCがあると便利です。なお、内容は変更される場合があります。
① 「暗号で遊ぼう」は生徒に人気の定番教材です。指を使って2進数を送り、暗号表を使って文字に変換しながら、楽しく2進数や10進数の変換を学びます。
② 「あるないカード」は「ある」「ない」と答えるだけで、なぜ答えが当たるのかを考えさせる教材です。
③ 「長文字で名刺を作ろう」では、ワードで文字を長く引き伸ばして暗号を作り、それを名刺にします。
④ 「ノギスの原理」では、バーニア目盛りの仕組みを体験できます。「1/19はどうしてなの?」という疑問も、実際に作ってみることでよく分かります。
⑤ 「六角形を描いて今何時」では2つの六角形をつなげて描くのは少し難しいですが、完成すれば手品ができる教材です。手品の原理を考えて公式も作ります。
⑥ 「レインボーぶんぶんゴマ」は回すと色が七色に変化するコマを作ると、光の三原色やLEDライトの原理について学びます。
⑦ 「スーパーボールですっ飛びストローロケット」はスーパーボールの落下エネルギーで軽いストローをロケットのように飛ばします。
◎濱野吉美(元つくば市立並木中学校技術科担当)
本講座では,前半に「材料と加工」における指導のポイントや失敗のリカバリーの仕方,技術室の整備方法などについて話を進めます。(特にのこぎりびき)
後半は,前半の指導のポイントを生かして600×100×12mmのアガチス材を使って「文庫本ラック」の製作を行います。背板は4mm厚のシナ合板を使用します。くぎ、接着剤等は用意します。可能であれば使い慣れたのこぎりやげんのうなどの工具をお持ちください。ない場合はお貸しします。
◎INPIT職員
◎川俣純(阿見町立朝日中学校)
特許検索難しいと思っていませんか? J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)は、日本で特許出願された特許や実用新案などを検索できるサイトです。実際に検索してみればわかりますが、とんでもなく大量の特許や実用新案が登録されています。そして、意外かもしれませんが、特許を検索することはとっても簡単です。
出願された特許には、多くの場合そのアイデアを説明するためのたくさんの図が添付されています。実際、自分の興味のある製品や、部活動の用具、文房具などの身近な特許であれば、その図で説明しようとしている内容がなんとなく類推できます。自分自身のこれまでの経験を総動員すれば特許の要約を読みこなすことも決して不可能ではないのです。
昨年度入学したばかりの中学1年生の最初の授業で特許を検索させてみました。1時間目の授業で特許検索に挑み、2時間目の授業では自分の調べた特許について班発表することができてしまい驚きました。
本講座では、特許庁で特許の審査を担当され現在はJ-PlatPatを運営しているINPITの職員の方に直接指導を受けながら、特許検索を体験いただきます。本物の特許を検索することで、教室を現実の技術の世界へとつなげましょう。
※講座を受講するためには、ノートPCやタブレット端末などネット接続ができる端末が必要です。