世話人 長谷川雅康(元鹿児島大学)・竹谷尚人(東京都立北豊島工科高等学校定時制)・石田正治(愛知県豊川工科高等学校)
例年と同様に、技術史の教材化により技術の学習が身近になり、豊かになる事例を交流するほか、外国の博物館等の見聞を共有します。今回も日本技術史教育学会との共催で行います。
予定される報告は、石田 正治「「通信技術の歴史とその遺産」は講座「歴史の中の衣佐美送信所-通信技術の始まりから現代まで-」の内容から抜粋して報告される。
堤 一郎「日本における産業用鉄道・軌道の輸送史的変遷と産業技術史的意義― 鉄軌道の分類と事例-」は2023年度技教研大会で報告した「ものを「運ぶ」ための技術史」の継続である。同氏の問題意識は、中学校技術分野の学習指導要領に「運ぶ」技術やその歴史についての記載が何も見いだせない。人の生産活動はものと情報の両面についての,ある状態から他の状態への移動である。
ここに技術の根幹を担う「運ぶ」ことの大切な役割を見いだせる。「運ぶ」ことの意義と意識付けを義務教育の課程で明確に学ばせることは重要な事項であると。
長谷川 雅康「アルブラ/ベルニナのレーティッシュ鉄道体験記」スイスの東部グラウビュンデン州の州都クールからサンモリッツを経てティラーノに至るレーティッシュ鉄道(2008年世界文化遺産登録)に乗車した記録。登録基準(ⅱ)「技術と自然の調和を示す優れた例」、同(ⅳ)「19世紀末から20世紀初頭にかけての鉄道技術の発展を示す顕著な例」として登録された。その意味を考察する。技術史の授業実践報告を募集している。
(文責:長谷川雅康)
世話人 横尾恒隆(元横浜国立大学)・木下 龍(千葉大学)・西 美江(関西女子短期大学)
D分科会では、今年アメリカ合衆国に関する2本、韓国1本の報告が予定されています。
1.現代アメリカ合衆国における本質主義に基づく技術学教育の形成過程(木下 龍・千葉大学)
本報告では、1990年代以降のアメリカ合衆国における本質主義に基づく技術学教育の形成過程を、国際技術学教育協会(以下ITEA、現ITEEA)による『技術学的リテラシーのための標準』(2000年、以下STL)の作成過程に焦点をあて検討します。ITEAは、1994年に、「すべてのアメリカ人のための技術学教育プロジェクト」(TfAAP)に着手し、全米規模での普通教育としての技術教育のスタンダードであるSTLを、6度の改訂を経て、2000年に出版するに至りました。この報告では、この作成過程を分析することで、現代アメリカ合衆国における技術学教育の現段階を探ります。
2.米国カリフォルニア州における高大接続(西美江・関西女子短期大学)
本報告では、カリフォルニア州の「ゴールデン・ステート・パスウェイ・プログラム」と「デュアル・エンロールメント(二重在籍)拡大」に向けた取り組みを事例とともに紹介すます。これはわが国でいえば分野別の高大接続に位置づくもので、パスウェイの実施に伴う質や公正性、持続可能性を確保するための実践的な戦略とともに、その実態を取り上げます。
このほか本分科会では、韓国職業能力研究院のアン·ジェヨン先生から、「韓国の未来の職業教育訓練の方向性と課題」についての報告も予定されています。
(文責:横尾恒隆)
世話人 坂田桂一(鹿児島大学)・直江貞夫(元埼玉県公立中学校)・平舘善明(帯広畜産大学)
今日の閉塞感漂う社会に生きている子ども・青年たちは、何に悩み、苦しんでいるのだろうか。何が彼らの発達を阻害してしまっているのだろうか。私たちは技術・職業教育に携わる立場から、今日の子ども・青年を見つめ、彼らの思いや願いに寄り添いながら、彼らの健やかな発達を促す手だてを探っていきたい。
本分科会では上記の基本方針のもと、技術・職業教育を軸としつつ実践と理論の両側面から子ども・青年の発達について検討を行ってきました。
今回は直江貞夫世話人が昨年に著した『いじめの芽を摘むフローとコミュニケーション』(一藝社,2024)をもとに、子ども・青年の発達とその教育について考えます。
直江世話人は、技術科の授業だけでなく、学校行事や学級活動などにも力を注いできました。直江世話人は本書にて次の様に述べます。「生徒は、学校が常に楽しくワクワク感に満ちた場であることを願っている。生徒の地味で真っ当な願いに応えることができるのは学校の教師のみである。」このように生徒の願いとその成長、発達に寄り添い続けた直江世話人の豊かな経験と理論をもとに、技術・職業教育の枠を飛び越えて、子どもが夢中になれる活動を軸に、生徒間のコミュニケーションを深めることの意味について検討しましょう。
世話人 川俣純(阿見町立朝日中)・依田実(船橋市立御滝中学校)・笹倉千紗子(桜美林中学校・高等学校)・吉澤康信(足立区立入谷南中学校)
レポートを作って発表するまでは準備ができないけど、自分の教材や授業を一部だけでも見てもらいたい。そんな要望に応えます。F分科会では、教材の実物や、ノートPCにある授業のプリントや写真などを共有しながら、気軽に交流することができます。他の分科会で十分に語ることができなかった教材について語っていただくこともできます。写真や動画を見せていただくだけでも、話題が弾みます。可能であれば、ぜひ教材や生徒作品の実物をお持ちください。無理なら写真や動画でもOKです。3Dプリンタや栽培やロボコンなど技術教育に関わるものならばどんな内容でも紹介可能です。
昨年度は、都心の私立中学校で屋上栽培を実現するまでの取り組みを紹介いただいたり、3Dプリンタを活用して鋳造実習を実現する授業などを紹介いただいたりしました。今年度も皆様の刺激的な取り組みの紹介をお待ちしています。
F分科会では、こうした新たな教材や授業の種となるちょっとした実践の紹介が可能です。ぜひ参加されてご自身の取り組みを報告してみませんか。皆さんの参加を心からお待ちしています。
※教材や紹介したい授業がある方は、大会3日目分科会直前までに世話人までお願いします。
世話人 井川大介(北海道・遠軽町立遠軽中学校望の岡分校)・尾高進(工学院大学)
本分科会に関するこの間の動向として、東京都がこの3月に発表した「東京都特別支援教育推進計画(第二期)第三次実施計画~共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進~」(以下、第三次計画)があります。この中で、知的障害特別支援学校高等部普通科における教育課程の類型化や職業教育の充実が謳われています。これらの施策の実施状況について注視する必要があると思われます。
全国で障害児・者の技術・職業教育に携わっているみなさん。障害児・者の技術・職業教育に関心を寄せているみなさん。ぜひこの分科会にご参加下さい。そして、特別支援教育のことや実践報告のことだけではなく、日頃の悩みなども含めてざっくばらんに交流しませんか。
世話人 田中喜美(東京学芸大学名誉教授)・疋田祥人(大阪工業大学)
1.分科会の位置づけ
学校における教育実践の水準は、担当教員の力量によるところが大きく、現在の日本の技術・職業教育も、本会会員に代表される貴重でかつ優秀な教員の奮闘によって支えられているといえます。そのため、こうした技術・職業教育を担う教員をどう養成するかという教員養成のあり方は、技術・職業教育を深いところから規定するものとしてきわめて重要な問題として認識しなければいけません。
また、近年では、教員の「養成・採用・研修の一体化」を図る政策が推し進められてきており、技術・職業教育を担う教員の採用や現職研修に関わる問題についても看過できない問題となっています。
こうした問題関心から、本分科会では、技術・職業教育を担う教員の養成・採用・研修をめぐる諸問題についての検討や実践交流を行ってきました。
2.今大会での内容
今大会では、青木麟太郎会員より、(仮題)「勤務から4ヶ月の授業や研究室運営における試行錯誤」として、若手の大学教員が小・中学校の教員養成でどういった指導や失敗をしたかについてご報告いただく予定である。
その他、会員のみなさまからのご報告もお待ちしています。ご報告を希望される方は、7月12日(土)24時までに世話人代表の疋田(yoshito.hikidaアットoit.c.jp)にメールにてご連絡ください。(”アット”を”@”に変えてください。)
大学で教員養成を担っている方だけでなく、教員養成・採用・研修に興味・関心のある方でしたらどなたでも参加可能です。多くの方々の参加をお待ちしています。(文責:疋田)