トピックス
木材用塗膜の潜在的劣化の非破壊検出のための中赤外分光法と機械学習
中赤外線分光法と機械学習を組み合わせることで、木材コーティングの目に見えない（潜在的な）劣化を非破壊的に検出する画期的な手法を実証しました。この研究は、従来の方法では検出できない微妙な変化を識別し、持続可能な木材保全への道を開きます。材料の寿命を最大限に延ばし、費用対効果の高いメンテナンスを確保することで、木材を賢く長く使うための重要なステップとなります。
（表紙に選出されました）
Mid-Infrared Spectroscopy and Machine Learning for Nondestructive Detection of Inapparent Deterioration in Acrylic Waterborne Coatings for Wood
Yoshikuni Teramoto, Takumi Ito, Chihiro Yamamoto, Toshiyuki Takano, Hironari Ohki
セルロース誘導体が自発的に形成する液晶ミクロスフィア
可逆的付加開裂連鎖移動（RAFT）重合で作ったブロック共重合体をヒドロキシプロピルセルロースにグラフト共重合し，セルロース誘導体分子性液晶ミクロスフィアを初めて明確な形で調製できました。
Topological Transition in Spontaneously Formed Cellulosic Liquid-Crystalline Microspheres in a w/o Emulsion
Arindam Chakrabarty , Kazuma Miyagi, Monali Maiti, and Yoshikuni Teramoto*
容器リサイクル樹脂特性を利用した酸変性樹脂の開発
容リ樹脂をフィラー充填プラスチック複合材料の相容化剤に変換（10倍の価値にアップグレード）し，産業利用できる生産システムを構築しました。（環境省 環境研究総合推進費補助金（3K 153010）による成果：化薬アクゾ株式会社，トクラス株式会社，静岡大学との共同研究）
Profitable Mass-Production of Acid-Modified Recovered Resins for Value-Added Mechanical Recycling as a Compatibilizer for Composites
Yuta Sunaga, Shinji Ogoe, Kenji Aoki, Hirokazu Ito, and Yoshikuni Teramoto*
セルロースナノファイバーのマイクロ流体分析ペーパーデバイス（µPAD）モジュールとしての応用
TEMPO酸化セルロースナノファイバーの酸素バリア性とチクソトロピー性を活用し，μPADに搭載する不安定分子の安定保蔵とインクジェット印刷を実証し，有機リン農薬半定量キットを構築しました。（第一工業製薬株式会社との共同研究）
Cellulose Nanofibers as a Module for Paper-Based Microfluidic Analytical Devices: Labile Substance Storage, Processability, and Reaction Field Provision and Control
Rina Murase, Sally Kondo, Takeo Kitamura, Yohsuke Goi, Masayuki Hashimoto, and Yoshikuni Teramoto*
ナノセルロースとポリマーの複合化の総説を発表しました
ナノセルロース（ナノクリスタル (CNC)・ナノファイバー (CNF)）とポリマーの複合化に関する，2018年までの約6年間の論文を中心に250報以上をカバーしています。
Recent Advances in Nanocellulose Composites with Polymers: A Guide for Choosing Partners and How to Incorporate Them
Arindam Chakrabarty and Yoshikuni Teramoto*
Polymers 2018, 10(5), 517; doi:10.3390/polym10050517
セルロース誘導体液晶固定化フィルムの室温でのデュアルメカノクロミズムを達成
プロピオニル化ヒドロキシプロピルセルロース系のコレステリック液晶フィルムが，室温でもデュアルメカノクロミズムを発現することを見出しました。
Exploration of immobilization conditions of cellulosic lyotropic liquid crystals in monomeric solvents by in situ polymerization and achievement of dual mechanochromism at room temperature
K. Miyagi and Y. Teramoto*
セルロース誘導体液晶固定化フィルムのデュアルメカノクロミズム
エチルセルロース系コレステリック液晶フィルムが，力学刺激によって広範囲に色調が変化するばかりでなく，円二色性の反転をも示すことを見出し ました。この論文はInside back cover（内裏表紙）に採用されました。
Dual mechanochromism of cellulosic cholesteric liquid-crystalline films: wide-ranging colour control and circular dichroism inversion by mechanical stimulus
K. Miyagi and Y. Teramoto*
キチン系マイクロパターニング細胞培養基板
構造多糖のナノクリスタル（NC）の寸法が一般的なインクジェットインク顔料サイズ（~100 nm）と同等であることに着目して，未開拓であったNCのインクジェット印刷に着手し，微細成形技術を確立しています。細胞接着性に富むキチン系NCを，適切な基板上にインクジェット印刷すれば，得られるNCマイクロパターン形状に応じて動物細胞の接着形態を誘導できます。細胞組織の形状制御，生命科学的事象のモニタリング，薬物のスクリーニングなどへの応用が可能です。
Simple Inkjet Process To Fabricate Microstructures of Chitinous Nanocrystals for Cell Patterning
Shuntaro Suzuki and Yoshikuni Teramoto*
セルロースナノファイバーをベースとした高伸縮・温度応答ハイドロゲル
セルロースナノファイバー（CNF）の表面を修飾して，水への高度分散と重合能を両立させることができます。そこに水溶性のビニルモノマーを共存させて重合に持ち込むと，修飾物が高密度架橋点として働き，ビニルポリマーネットワーク中に効果的に取り込まれます。得られるゲルは90 %以上が水ですが，ゴムのように20倍以上に伸縮が可能です。
Stretchable composite hydrogels incorporating modified cellulose nanofiber with dispersibility and polymerizability: Mechanical property control and nanofiber orientation
Ryosuke Kobe, Shinichiro Iwamoto, Takashi Endo, Kouzou Yoshitani, YoshikuniTeramoto*
相容化剤の役割の解明
ウッドプラスチック（WPC）をはじめとするフィラー充填プラスチック複合材料に少量添加される相容化剤が，複合体中でどのように働いているかを，分光測定や熱分析により解明しつつあります。
Direct spectroscopic detection of binding formation by kneading of biomass filler and acid-modified resin
Saori Niwa, Yasuko Saito, Mizuki Ito, Shinji Ogoe, Hirokazu Ito, Yuta Sunaga, Kenji Aoki, Takashi Endo, Yoshikuni Teramoto*