第6回環境シンポジウム

水資源の持続可能なアクセスを求めて -日本の現状と国際協力-

プログラム

12時00分~ 受付開始

13時00分~ 開会

総合司会

 石井 晴夫 / シンポジウム企画委員長 東洋大学経営学部教授

開会の辞

 松園 俊志 / 東洋大学国際地域学部教授

学長挨拶

 東洋大学長 松尾 友矩 / 東洋大学国際地域学部教授

13時20分~ 基調講演

途上国の”水の衛生”の改善のために

 橋本 和司 / 国際協力銀行開発セクター部長 質疑応答

14時40分~ パネルディスカッション

日本と国際協力ーその現状と展望

コーディネーター

 山下 りえ子 / 東洋大学現代社会総合研究所所長
 東洋大学法学部教授

パネリスト

16時10分~ 総括コメント

 山谷 修作 / 東洋大学経済学部教授

16時20分~ 閉会の辞

 青木 辰司 / 東洋大学社会学部教授

16時30分~ 閉会

メッセージ

橋本 和司

 途上国の貧困削減のために世界が2015年までに達成すべき8つの目標を定めたミレニアム開発目標(MDGs)の中で、水と衛生に関連する目標としては、「2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生施設を継続的にに利用できない人々の割合を半減する。」と謳われています。途上国の5人1人にあたる11億人が安全な水へのアクセスを持っていない、又、2人に1人にあたる26億人が、基礎的な衛生設備を利用できない、と言われています。これらの人口を半減させることが、MDGsの目標となっているのです。
「水と衛生」は、日本の政府開発援助(ODA)の重要な支援分野の一つです。国際協力銀行は、日本のODAの中の有償資金協力(円借款)を担当していますが、円借款においても上下水道は中心的な対象分野となっています。特に、近年は、人々の衛生環境の改善だけではなく海や河川・湖などの公共水域の水質の改善にも関係がある下水道に対する支援が増えてきていますが、実は、途上国における上下水道分野に対する支援には、日本では想像もつかないような難しさがあります。本基調講演では、こうした日本のODAによる途上国の「水と衛生」支援の実情と課題についてわかりやすく報告します。

山下 りえ子

 21世紀前半の世界で、水資源の持続可能な開発・利用・循環の総合的管理は共通の懸念といえます。コップ一杯の貴重な「安全で衛生的な水」が私たちに届くまでの技術、協力支援、情報。日本は、国内外でどのような活動を行い、また困難な課題を抱えているのでしょうか。我が国の水質・水環境保全行政、および国際協力(ODA)のプロジェクトと実施に関する各専門家をお迎えして、多角的に議論します。

太田 進

 環境庁に入庁後、水環境行政に数度にわたり携わってきました。
 当初は排水規制が主要な業務でしたが、水質汚濁の状況も改善を見せ、行政も水質保全から水質、水量、水生生物、水辺地を含む水環境の保全に重点を移しています。環境基本計画においても、「環境保全健全な水循環の確保に向けた取組」が重点分や制作プログラムの1つとなっています。
改善の遅れている湖沼におていも、水辺の植生の保全や農地、市街地等から流出する汚濁物質の削減などが重要な課題となっています。また、水環境の保全と持続可能な利用、身近な水とのふれあいを通じた豊かな地域作り、さらには地下水の涵養能力の向上等が求められており、これらの取り組みについて紹介します。

坂田章吉

 Jica地球環境部では、水資源及び防災に関して、途上国に対する技術協力を実施しています。
 安全な水は人々の健康な生活に不可欠であるにもかかわらず、世界の中で11億人は安全な水にアクセスできないといわれており、途上国では女性や子供が水汲みに多くの時間を費やしています。Jica地球環境部では、このような状況の改善を目指し、農村の井戸の維持管理に関する指導、都市の浄水場運転に関する指導を行っています。
また、洪水や津波等の水に関連した災害が近年頻発しており、これらに関する防災に対する協力も行っています。この他に、過剰揚水による地下水の枯渇や流域の荒廃による水資源への悪影響も見られ、水資源の管理を総合的に行う総合的水資源管理に関する協力も実施しています。

北脇 秀敏

 衛生工学が専門。環境分野のコンサルタント、世界保健機関(WHO)環境保健部、東京大学工学部客員助教授などを経て1996年に東洋大学に奉職。上下水道や廃棄物処理などの環境衛生分野でフィールドに根差した国際協力の実践と適正技術の研究を行っています。
 学術研究に加えてODA案件の作業管理やNGOの運営、青年海外協力隊員や専門家の養成、途上国技術者の研修や途上国支援のための指針作りなどさざまな分野で途上国と係わってきました。その課程でモザンビークでのJica村落給水・衛生設備プロジェクト、インドのJBIC下水・公衆トイレ整備案件の評価、ミャンマーでのNGOによる井戸堀プロジェクト、ドミニカやモンゴルなどにおけるJica廃棄物処理案件、モロッコやインドネシア等における浄化槽普及のための調査などを行ってきました。これらアジア、アフリカ、中米の約30カ国でのプロジェクトを通じて草の根レベルから政策決定レベルまでさまざまな経験をすることができました。今後はこれらの途上国経験をできるだけ多くの学生に伝え、国際協力を志す若者を育てていきたいと思っています。

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