現代社会総合研究所「スポーツの現代的課題」プロジェクト 第1回研究会
2015年12月1日(火)17時00分~19時30分
於 東洋大学白山キャンパス 8号館中2階第二会議室
報告1では、本プロジェクトの基本方針が示された後、法律の分野において、スポーツがどのような問題を提起しているかについて、アメリカで公刊されているケースブックの紹介という形で示された。その内容は、主としてプロジェクト・ペーパーNo. 2においてまとめられている。
報告2では、スポーツに伴う危険の回避・防止のために、いかなる規定が競技ルールに定められているかに着目した報告がなされた。すなわち、スポーツ競技における安全・危機管理システムという視点から、それぞれのスポーツの特性によって、どのようなルールが定められているかを分類整理し、その上でそれぞれの問題点を考察することの重要性が指摘された。その際の分類方法のひとつとして、(1)非接触チーム・スポーツ(バレーボール等)、(2)非接触個人スポーツ(陸上、スキー等)、(3)接触チーム・スポーツ(ラグビー、バスケットボール等)、(4)接触個人スポーツ(柔道、相撲、ボクシング等)、(5)特殊スポーツ(馬術等)が提唱された。更に、安全管理の対象についても、ⅰ選手、ⅱ審判、ⅲ観客、ⅳ施設等に着目していくことが重要であるとした。その上で、馬術競技における安全・危機管理システムの特徴について説明があった。まず、その最大の特徴は、人と馬が競技者とされ、共に安全管理の対象となっている点である。特に、馬に対する虐待行為には詳細な定義規定が定められ(国際馬術連盟・一般規定142条によれば、過度に鞭で打つこと、電気ショックを与えること、過度・執拗に拍車をかけること、疲労している馬を競技に出場させること、十分な飼料・水を与えないこと、障害を落下させたときに過剰な痛みを与えること)、「馬のウェルフェア」を第一としている。その他、馬の健康状態、用具についての定め、馬に対する以外にも、選手に関して、用具、年齢、それぞれについての安全・危機管理、更には、施設やコース、観客に対する安全・危機管理について、実際の条文に基づき、パワーポイントを駆使して丁寧な紹介がなされた。
報告1,2の後、各人が専門分野を通して今後のプロジェクトの方向について様々な意見交換を行った。