ASD傾向のお子さまは、理解力が低いわけではありません。
むしろ、興味のある分野では非常に深く考えたり、細かいところまで正確に覚えたりする子もいます。
ただし、勉強の場面では次のようなつまずきが起きやすくなります。
学校や塾では、基本的に全体のペースで授業が進みます。
先生が説明する。
周りの子が問題を解く。
時間になったら次へ進む。
分からないところがあっても授業は止まらない。
ASD傾向のお子さまは、この「周りに合わせて進む」ことが苦手な場合があります。
分からないところをじっくり考えたい。
納得しないと次に進めない。
急に当てられるのが怖い。
周りの音や視線が気になる。
質問したいけれど、タイミングが分からない。
その結果、分からない部分が積み重なります。
そしてある日、急に、
「もう無理」
「行きたくない」
「分からない」
「やりたくない」
となることがあります。
ASD傾向のお子さまは、分からないことがあっても質問できないことがあります。
理由はいろいろあります。
何が分からないのか言語化できない
質問するタイミングが分からない
先生に話しかけるのが怖い
周りに聞かれるのが嫌
「こんなこと聞いていいのか」と考えすぎる
うまく説明できないから黙ってしまう
保護者さまから見ると、
「分からないなら聞けばいいのに」
と思うかもしれません。
でも、ASD傾向のお子さまにとって「質問する」はかなり高度な行動です。
分からないことを自覚する。
言葉にする。
相手に伝える。
返答を理解する。
さらに聞き返す。
この一連の流れが負担になります。
だから、家庭教師では、こちらから丁寧に確認する必要があります。
「どこが分からない?」ではなく、
「ここまでは大丈夫?」
「この式の意味は分かる?」
「この言葉は聞いたことある?」
「今、止まったところはここかな?」
という形で、本人が答えやすいように分解します。
ASD傾向のお子さまは、見通しがあると安心しやすい一方で、急な変更に弱いことがあります。
今日は数学をやると思っていたのに、英語になった。
いつもと違う先生だった。
授業時間が変わった。
学校で急に予定が変わった。
親に突然「今から勉強しなさい」と言われた。
こうした変更が、本人にとって大きなストレスになることがあります。
保護者さまから見ると小さな変更でも、本人の中ではかなり大きい。
そのため、ASDのお子さまには、
を事前に分かるようにすることが大切です。
ASD傾向のお子さまには、完璧主義が強い子もいます。
間違えたくない。
中途半端に出したくない。
全部分かってから始めたい。
答えが合っているか不安。
ノートをきれいに書けないと嫌。
一問分からないと先に進めない。
その結果、何も進まないことがあります。
保護者さまから見ると、
「少しでもやればいいのに」
「全部完璧じゃなくていいのに」
「まず出せばいいのに」
と思うかもしれません。
でも本人にとっては、「不完全な状態で出す」ことがとても怖いのです。
この場合、必要なのは根性論ではありません。
を少しずつ積むことです。
ASD傾向のお子さまの中には、学校では一見問題なく過ごしているように見える子もいます。
授業中は静か。
先生の指示には従う。
大きなトラブルはない。
成績も極端に悪くはない。
でも、家に帰ると崩れる。
疲れて何もできない。
イライラする。
親に強く当たる。
急に泣く。
部屋から出てこない。
宿題ができない。
これは、学校でかなり無理をしている可能性があります。
「学校でできているんだから、家でもできるはず」と考えると、本人はさらに追い詰められます。
ASD傾向のお子さまには、外で使い切ったエネルギーを考慮した学習設計が必要です。